【高知グルメPro】卵の甘みと香りが際立つ!自らが育てた卵でオムライスを作る「Ocho(オーチョ)」フードジャーナリストの高知満腹日記
「冬の卵はうまいんです」。
オムライスをいただき、思わず「おいしい」と、つぶやいた僕に向かって、ご主人の西奥起一さんはにこやかに話された。
ここは高知市から東に車を1時間弱走らせた香美市香北町にある、古民家を改築したカフェ「Ocho (オーチョ)」である。
カフェの他に、キャンプ、アウトドア用品の販売、四万十川のパックラフト川旅キャンプツアーも出かけていらっしゃるとのことで、カフェと併設されているコーナーにはアウトドアグッズが整然と飾られている。
メニューを開けば、「自然卵のオムライス」、「卵のせキーマカレー」、「プリン」の三品と、至って潔い。
早速、その三品をお願いした。
オムライスが運ばれる。
その姿は、まん丸のドーム型で、オムレツはいわゆる“たんぽぽ風”と呼ばれる裏返しでライスの上に覆いかぶさっている。
手前には、生クリームを流したデミグラスソースが敷かれていた。
外光に照らされて、艶々と輝く半熟卵が美しい。
だが見惚れているわけにはいかない。さあ、いただこう。
スプーンを口に運んだ瞬間、「おいしい」と、思わず呟いた。
卵の美味しさをまず感じたのである。
完璧な半熟のオムレツは、黄身の味わいが深く、胸がうずく。
さらには、デミグラスは優しく、出過ぎていない。
チキンライスもあっさりとした塩梅で、ソースもチキンライスも、卵の繊細で穏やかな甘みを引き立てようと配慮されている。
それゆえに、極めて卵の美味しさが引き立つのであった。
聞けばご主人は、鶏を80羽、自分で育てているのだという。
TOSACO(地元のクラフトビール)のビールの搾りかすと老人ホームの残飯を回収・発酵させて、餌にしている。
そうすると鶏の体がアルカリ性になって、おいしい卵を産むのだという。
「冬の卵はうまいんです」。
先ほど言われた言葉を、噛みしめながらオムライスを食べ終えた。
次はキーマカレーである。
オムライスと同じように、白いご飯の上には裏返した半熟卵焼きがかぶされている。
その麓には、キーマカレーが注がれていた。
これまた、穏やかである。
辛さやスパイス香はあるものの、塩気は淡く、優しい旨味が潜んでいて、半熟卵と馴染む。
店内の静かな落ち着いた空間にも、自然に溶け込んでいる。
そんなキーマカレーであった。
最後はプリンをいただいた。
しっかり焼かれたプリンである。
プリンを口の中に入れ、10回ほど噛んだあたりで、卵の甘みがグッとせりあがってくる。
同時に卵の香りが立ち上がる。
卵のたくましさがそのまま投入されたプリンである。
食後にお話を伺った。
茨城から高知へ移住して店を始められたようで、その前はメキシコにいらっしゃったという。
なるほど、だからスペイン語で店名をつけられたのか。
飼っていた犬を遊ばせるために茨城の郊外に移住し、大手の養鶏の仕事に就かれたのだという。
だがそのやり方にショックを受け、自分の家の卵は自分で作ろうと決意し、カフェもやりたいと、色々探して高知にたどり着いたのだという。
そして、もう17年になる。
自分が育てた卵でオムライスを作る。
そんなことをされているのは、日本でこの店だけかもしれない。
今度は、その卵を使った目玉焼きやフレンチトーストをぜひ食べさせてください。
店舗情報
Ocho(オーチョ)
住所:高知県香美市香北町永野207
電話:0887-59-3759
※営業時間・休日はお店のInstagram、Facebookでご確認ください。
Instagram:https://www.instagram.com/ocho_oc/
Facebook:https://www.facebook.com/ocho8.cafe