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おや？Yutoriがまた上方修正だ。D2CアパレルのYutoriが、業界をざわつかせている。老舗アパレルが見て見ぬふりをする「正論経営」。それが今、結果として数字に現れてきた。

巳之助が大メーカーの上層部と話をしても、Yutoriの話題になると皆、言葉を濁す。なぜだかわかる？理由は簡単。この会社のやっていることが「正論すぎる」からだ。次の中間決算（第2四半期）発表予定日は、いよいよ今日11月13日木曜日。果たしてどんな内容になるのか、巳之助も興味津々だな。

■突出した数字と「二枚看板」
2026年第1Q（4〜6月）の決算で、売上高32億3600万円（前年同期比＋190.5％）、営業利益2億9100万円（＋739.9％）。四半期として過去最高だ。

快進撃の主役は2つ。2025年1月にローンチした「9090 girl」と、昨年Yutori傘下入りした「Her lip to（こじはるプロデュース）」だ。ドレスや香水、ランジェリーまで展開し、1Q売上14億4600万円（全体の44.7％）。中国EC→台湾POPUP→直営店展開と、アジアでの成功パターンを着実に歩む。

■ブランドを競わせる「Yリーグ」
Yutoriには、おなじみ社内リーグ制度「Yリーグ」がある。ブランドごとの月商や成長率をランク分けし、下位は即退場。上位には広告費と人員を集中投下する。まるでJリーグの昇格降格制度のように、勝ち残りがすべてだ。1Q末には下位8ブランドをマッハ撤退。その分の人員・予算はすぐに二枚看板へ再配置された。結果、売上総利益率63.2％、営業利益率9.0％まで改善した。

■「ハグレモノをツワモノに」──好きの経営が数字を動かす
Yutoriの根幹にあるのは、社長・片石貴展氏が掲げた理念「ハグレモノをツワモノに（TURN STRANGER TO STRONGER）」だ。社員56人のうちアパレル経験者はわずか10人。それでも成長できたのは、経験ではなく「好き」を原動力にしているからだ。SNSで火をつけ、リアルで売る。その感覚が数字を押し上げている。

■老舗アパレルが語らない「正論」
老舗アパレルは、不採算ブランドでも看板や在庫を守るため撤退に時間がかかる。「社員配置」「店舗契約」「取引先配慮」、どれも正しいが、スピードを失っている。一方、Yutoriは四半期で決断する。在庫評価損を即時処理し、人員を翌週には新ブランドへ異動。これができるのは、SNSで顧客の反応を即座に掴めるD2Cモデルだからだ。ブランドが倒れてもフォロワーは残る、これがYutoriフリークの実態だ。

■SNSを味方につけた正論主義
彼らの戦い方は、広告代理店ではなくフォロワーと共にある。UGC（ファン投稿）がそのまま広告になり、ブランドの再生産サイクルを生む。撤退も立ち上げも、ファンが次の箱に移るだけ。これこそ、他社が真似したくてもできない仕組みだ。
やっていることは正論そのもの。だが他社は、真似した瞬間に競争とスクラップ＆ビルドの渦に巻き込まれる。だから誰も口に出さないのが現状だ。

■巳之助の株価の見立ては？
株価は年初来高値付近をつけたあと、現在2,835円（11月12日終値）。短期では利益確定の売りも出ているが、成長ストーリーは崩れていない。巳之助の押し目買いの目安は2,600〜2,800円。二枚看板の「9090 girl」と「Her lip to」の売上構成比がさらに拡大すれば、再び3,000円台を固め、次の高値トライも十分に狙えるだろう。

そして、巳之助が最近Yutoriのために編み出した「得意のフレーズ」で締めよう。もう「ゆとり」ではない。イスを奪いにいく「イスとり」だ。

プロフィール：いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約１億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み！の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。