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MADMED[ライブレポート]脈々と受け継がれる“MEDiCiNE”の系譜が暴れ出す“MAD”な7人の狂宴「今日からこの7人で“MADMED”という名前を背負っていきます」

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MADMED[ライブレポート]脈々と受け継がれる“MEDiCiNE”の系譜が暴れ出す“MAD”な7人の狂宴「今日からこの7人で“MADMED”という名前を背負っていきます」

MADMEDが、1月27日(月)に渋谷WWW Xでお披露目公演<Gauze>を開催した。

この日、那月邪夢を中心とする7名は、MAD MEDiCiNEのDNAを受け継ぎながらも、新たな世界を切り拓くかのような圧巻のパフォーマンスを披露。熱狂が渦巻くソールドアウトの会場に、鮮烈な存在感を刻みつけた。

本記事では、グループの覚悟と野心がぶつかり合ったこの一夜の模様をお届けする。

・MADMEDの写真 20枚

撮影:ミヤタショウタ

“三ヶ月の命から、MAD MEDiCiNEへ MAD MEDiCiNEから、MADMEDへ 大切に引き継がれてきた始まりの曲です”

という文言とともに公開された、MADMED「完全犯罪※420」MV。三ヶ月の命というアイドルユニットはMAD MEDiCiNEへと派生し、MAD MEDiCiNEはMADMEDへと生まれ変わった。《僕が君だけのMEDiCiNE ok?》と最後の節にあるように、脈々と受け継がれるMADでMEDiCiNEな系譜のアイデンティティがこの楽曲にある。

ストーリー仕立ての同MVの中で登場する容疑者・那月邪夢の資料には、“2025年1月27日都内にてパーティがある模様。場所は東狂都渋谷区×××周辺”とあった——。

2025年1月27日(月)、MADMEDのお披露目公演<Gauze>が開催された。

心電図の音がノイズ混じりのゴシックファンタジーに染め上げられていくSE「Gauze」が鳴り響く中、2人ずつ手を取り合ってステージに登場していくメンバー。そして最後に邪夢が登場し、ステージ中央に陣取るとそのまま「MAD DOCTOR」へ傾れ込んだ。

妖々と歌い出す天噛ミ妖メ(アマガミアヤメ)からニヒルな猿馬 虎(エンマトラ)、架空使てんる(カクシテンル)と凸(テトリ)の飄々とした掛け合い、グループの支柱となる邪夢からの真っ直ぐな芯を持った深ゐ沼(フカイヌマ)へ、サビでグッと前へ出てくる、おなかぺこの危うさ……と紡がれる7人のボーカリゼーション。そこからはキャッチーで明瞭なサビへと展開していく。音数は少ないが禍々しい雰囲気とメルヘンライクな空気が継ぎ接ぎで錯綜する楽曲だ。そんな楽曲「MAD DOCTOR」のつかみどころのなさ、そして7人の勇猛な姿に呑み込まれながら、声を出すことさえも忘れるオーディエンス。初めて耳にする曲への戸惑いと初めて目にする7人への期待感、はたまたMAD MEDiCiNEを熱心に応援してきた中には、MADMEDについて懐疑的に思っている者も少なくはないはずだ。そうしたさまざまな想いが蠢くようにソールドアウトでパンパンになった会場内は異様な雰囲気に包まれる。しかしながら想像以上の7人のインパクトを前に呆気に取られている、という状況が正しいのかもしれない。

天噛ミ妖メ<Gauze>WWW X(2025年1月27日)
架空使てんる<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

“みなさんはじめまして、MADMEDです。今夜はみなさんの記憶に刻み込んであげましょう”

邪夢が邪悪な笑みを浮かべながら囁いた。陽気なデジタルビートが襲い掛かる。「まじかるはっぴえんど」と名付けられた楽曲は、ハイテンポでリズムに合わせて細かい音符が乱高下しながらファンタジックな高貴さを醸す楽曲だ。MAD MEDiCiNE節を随所から想起させるキャッチーに転がっていくメロディと詞を武器にリズミカルに7人が歌い踊る。

凸<Gauze>WWW X(2025年1月27日)
深ゐ沼<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

キレのある鋭い動きとハンサムな歌声で魅了する、虎。愛嬌を振り撒きながらもカッコいいにも振れる、ぺこ。歌もダンスもハイスキル……というわけではないのに異様なほどに目を惹く、自分の魅せ方を完全に理解している、凸。妖艶さを備えダークな声質を持った隻眼の悪魔(ライブでは眼帯をしていないが)、妖メ。端麗な容姿ながらも不可思議オーラを放ちその歌声もその表情も不思議な力を持っている、てんる。そして何をしでかすかわからずについ目を追ってしまう、沼。

猿馬 虎<Gauze>WWW X(2025年1月27日)
おなかぺこ<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

魔王・邪夢の牙城は崩れることがあるのではないだろうか……。それが、私が初めてMADMEDのパフォーマンスを目撃した、本番数日前のゲネプロでの感想だった。無論それはいい意味であり、MADMEDが邪夢のワンマングループではないということでもある。それほどまでに6人のメンバーのキャラクターは強烈であり強力なパフォーマンスをしていた。その印象は本番のステージでより深くなり、確信に変わった。

“さあ、声出していこうかァァー!!

戸惑いを隠しきれないフロアの士気を奮い立たせるように邪夢が叫ぶ。聴き慣れた8ビットサウンドが飛び交った。MAD MEDiCiNEからの人気曲「MAD GAME」だ。“待ってました!”と言わんばかりに湧き上がるフロア。アッパー気味にリアレンジされたビートに合わせて7色のペンライトが激しく揺れ動く。

自己紹介を挟み、悲壮感に溢れた邪夢の歌声から始まる「私ノ人生、台無シ。」。ストリングスやオルガンの音色が散りばめられたゴシックな雰囲気に包まれた楽曲。メンヘラチックに負の感情で突き刺していく恨み節。アダルトな色香も漂う同曲で、MADMEDはMAD MEDiCiNEとはフェーズのまったく異なるものであることをありありと証明した。

そして「らぶぎみ」がドロップされると、フロアから大きな歓声が上がる。アッパーなサウンドが反復するハンマービートによって、さらに強力になったMADMEDバージョンに昇華されている。地を突き上げる重低音がフロアを揺らし、多くの腕とコールが上がった。リアレンジされたサウンドはもちろんのこと、7人編成を活かした“ヘ”の字を模した奥行きあるシンメトリーのコレオグラフィも楽曲の持つキャッチー性と、新しい楽しさを生み出していく。

最後に送られたのは「完全犯罪※420」。受け継がれてきた楽曲で新しい幕開けを誓うようにラストを飾った。《甘い毒を舐めて》と、てんるのフレーズがねっとりと耳に残る。

MADMEDとしてリアレンジされた既存曲の数々は総じてキックが強調されているが、ダンスビートよりもボディビートであり、頽廃的でインダストリアルな雰囲気が楽曲を支配する。サウンドの傾向としては、デジタル基盤であることは変わらずも、聴き心地は異なる。エレクトロなポップロック色の強かったMAD MEDiCiNE だったが、MADMEDではEBM(エレクトロ・ボディ・ミュージック)に寄せている印象だ。中でもこの「完全犯罪※420」はドラムンベース的なアプローチであったり、パーティ感に溢れたテクノ要素が強い。パワーアップしたというより、異なるベクトルへ進んだ、そう思わせてくれるアレンジメントである。メロディライン自体が強い曲であり、従来のアレンジイメージも強いが、いい意味で楽曲のグルーヴが大きく変わっているので、これからライブでどういうノリを生み出していくのか楽しみである。

那月邪夢<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

MAD MEDiCiNEの看板と、那月邪夢という絶対的な存在とともにステージに立つという重積はどのようなものであったのだろうか。そんな6人が最後に1人ひとり、胸の内を述べた。

天噛ミ妖メ:
私はずっとマドメド(=MAD MEDiCiNE)さんの楽曲、世界観が大好きでいつも私の支えになってくれました。こうしてステージに立ちたいと思えたのもマドメドさんがあったからです。これからはみんなの心の支えになれるよう、私たちの音楽を届けていきたいと思います。

深ゐ沼:
私はアイドルをやったことがなくてまだまだ未熟なんですけど、これから精一杯頑張っていきますので、どうぞ見守ってください。

凸:
この体制になったからには、“マドメド”を汚さないように傷つけないように、そして新しいものに変えながら守っていきたいと思っています。言葉に重みを持って頑張らせていただくので、MADMEDにならせてください。MADMEDになって私は強くなるので、あなたの絶対にならせてください。

おなかぺこ:
私は本当にマドメドのことが好きで、このメンバーもみんなのことも本当に大好きで。やっと自分の居場所ができた気がして、これからも努力し続けるので、応援していただけると嬉しいです。

猿馬 虎:
こうやってたくさんの人たちとスタートが切れたことを誇りに思います。これからもステージから僕たちの想いを、みなさんに届けられるようにしていきますので、これからもよろしくお願いします。

架空使てんる:
誰かのものを引き継ぐのは生まれて初めてやるんですけど、尊敬の気持ちと感謝の気持ち、全部忘れずに。だけど、新しい7人で創っていくもので超えられるような、みんなにいいなと思ってもらえるように進化し続けるので、僕たちのことをずっと見ていて応援してくれたら本当に嬉しいです。

最後に邪夢が“今日からこの7人でMADMEDという名前を背負い、頑張っていきますので、みなさんよろしくお願いします!”と締め、MADMEDのお披露目公演<Gauze>は幕を閉じた。

MADMED<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

MADMEDをMAD MEDiCiNEと比べてしまうのはナンセンスとは理解しつつも、比較してしまうのは致し方のないこと。だが、あの5人のMAD MEDiCiNEが1月7日(火)に1つの完成型として結実したからこそ、MADMEDという新たなフェーズに突入したのである。圧倒的なアイドルキャリアを持った邪夢と並んだ6人の気合いと可能性は充分に伝わったお披露目であったし、MAD MEDiCiNEとは異なる魅力を存分に感じられたライブだった。この記事が出る頃には対バンイベントなどで、多くの人にそのポテンシャルを魅せつけていることだろう。

グループとしてはまだまだ荒削りではあるが、今後どう進化を遂げていくのか楽しみで仕方ない。

終演後、ステージのバックスクリーンに映し出されたのが「完全犯罪※420」MVだった。

短編映画のようなストーリー展開。秘密倶楽部の少女誘拐サスペンス……。那月邪夢率いるMADMEDの7人と刑事、警察との攻防。冒頭で述べたようにさまざまな伏線も張られている。“東狂都”はあのMVと同じ場所だ。MADMEDと書かれた招待状、仮面で顔を隠した男たち、最後に伸ばした邪夢の手は救いなのか、それとも……⁉︎。

MADMED<Gauze>WWW X(2025年1月27日)

MADMED<Gauze>

2025年1月27日(月)
渋谷WWW X

SE Gauze
1.MAD DOCTOR
2.まじかるはっぴえんど
3.MAD GAME
4.私ノ人生、台無シ。
5.らぶぎみ
6.完全犯罪※420

東名阪ツアー<MAGiCAL×MEDiCAL>

3月8日(土)名古屋X-HALL
3月22日(土)大阪ESAKA MUSE
4月7日(月)東京 Veats Shibuya(ファイナル)

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