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映画やドラマなどの性描写や体の露出シーンに関わる専門職「インティマシー・コーディネーター」とは?

アットエス

安心して演じられる環境を整える西山ももこさんに聞きました

最近「インティマシー・コーディネーター」という言葉を見聞きする機会が多くなってきました。この職業について、セーフセットジャパン合同会社代表社員の西山ももこさんにSBSアナウンサー影島亜美が聞きました。

影島:インティマシーとは英語で「親密さ」を意味し、性的なシーンを俳優が安心して演じられるように調整する職業がインティマシー・コーディネーターです。改めて、仕事について教えてください。

西山:映画やドラマ、最近は舞台でも起用される機会が増えていますが、、いわゆる性描写や体の露出があるシーンに関わる仕事です。性的な場面に限らず、温泉や銭湯など裸体が出るシーンなども対象です。そういった場面がある時に、事前に調整を行うのが主な役割です。

出演者と監督の橋渡し役

影島:出演者と監督の間に立つ仲介役ということですね。

西山:そうですね。まず、監督がどういう演出をしたいのかをヒアリングした上で、その演出に対して出演者がどう感じるのか意見や希望を聞き、「ここまでならできる」「これは避けたい」といった内容を整理します。そして本番前に双方納得した状態で進められるようコーディネートします。

影島:インティマシー・コーディネーターという職業は、いつ頃から存在しているのですか?

西山:世界的には2018年頃から始まったと言われています。日本では2020年に導入され、比較的早い段階で取り入れられたと思います。私は2020年の秋に資格を取得しました。

影島:現在、日本には何人くらいいるのでしょうか?

西山:正確な数は把握しきれていませんが、多分数人ですね。需要が増えているので、これから多分増えていく仕事だと思います。

本番前の準備が大切

影島:具体的に、映画やドラマの制作にどういった形、段階を踏んで関わるのですか?

西山:まず、依頼を受けた段階で台本をもらいます。該当シーンだけでなく全体を読み込んで、私が立ち会うか否かに関係なく「これってどういうシーンなんだろう」というのを全部ピックアップします。その後、監督に質問し、ト書きで何が起きるのかを明確にした上で、俳優部と話し合います。俳優と話した上で、また演出に戻すこともあり、事前にどういうふうに撮るのか分かるようにして撮影当日を迎えます。

影島:下準備がとても重要なんですね。

西山:そうですね。本番が重要だと思われがちですが、私たちにとっては事前作業がより大切です。どのような同意が取れているか、何が話し合われているかで本番が変わってくる感じですね。

出演者が当日「難しい」と感じたら?

影島:そうなんですね。本番を迎えて苦労することもあるんじゃないですか?

西山:やっぱり人間って、事前に話をした時は「大丈夫」だと思っていても、時間が経つと「やっぱりちょっと嫌だな」と感じることはあると思うんです。当日でも嫌だと思ったら正直に言えるようにコミュニケーションを取ることを大事にして、出演者が無理をしなくて済むようにしています。

影島:もし出演者が本番前に「難しい」と感じた場合、どう対応されるのですか?

西山:まず代案について監督と話し合い、できる限り、やりたくないと思ったものに対して改善できるような対処法を取りたいと思っていますね。

地上波ドラマの制作現場にも広がり

日本に数人しかいないインティマシー・コーディネーターの一人、西山ももこさん(左)


影島:日本の映像制作現場で、インティマシー・コーディネーターを取り巻く環境には、どのような変化を感じますか?

西山:私が資格を取得した頃は、この仕事がどのように広がるのか、実際に仕事があるのか不安でした。しかし、2022年頃から急速に広がり、今では地上波ドラマにも起用されるようになりました。少しずつスタンダードになりつつあります。

影島:今後、解決していくべき課題はありますか?

西山:起用する側の意識や広がってきたからこそ、各自の理解の統一をしていかなければと思います。インティマシー・コーディネーターをどういう時に起用し、どう活用するか、勉強会などを通して制作側の意識を高めていけたらと思います。

影島:俳優の身体面や精神面をケアしながら、演技に集中できる環境を作っている素敵な仕事だと思いました。

西山:ありがとうございます。ただ、インティマシー・コーディネーターはメンタルケアの専門家ではありません。心理士やカウンセラーではないので、そこはしっかり線引きをして丁寧に対応しないと今後、弊害を招くのではないかと感じています。

影島:最後に、インティマシー・コーディネーターの育成状況について教えてください。

西山:日本でも始まっており、弊社では現在、新たに2人をアメリカのトレーニングに送り出しています。今後、少しずつ日本でもトレーニングが受けられるようになり、育成方法は増えていくと思います。業界全体が良い方向に進んでいけばいいなと思います。

影島:本日はありがとうございました。

※2025年1月15日にSBSラジオ「IPPO」で放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……西山ももこさん
インティマシー・コーディネーター。

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