【沼垂ビール高野社長が講義】新潟大学経済科学部でアントレプレナーシップの授業、学校の垣根を超え他大学生や高校生も参加
沼垂ビール株式会社の高野善松社⻑
新潟大学で7月5日、アントレプレナーシップ教育の一環として、沼垂ビール株式会社の高野善松社⻑を講師として招いた授業が開かれた。同授業には新潟大学の学生だけでなく、開志専門職大学の学生と県立新潟商業高校の生徒も参加し、高野社長とのディスカッションを実施。大学間連携や高大接続も兼ねた取り組みとなった。
新潟大学経済科学部では今年度、全学部の学生が履修できる「起業・創業のための会計入門」を開講。若者がビジネスを立ち上げる際に必要な会計などに関する知識を学ぶ内容となっており、約300人が履修している。
その第6回では、新潟市中央区の沼垂地域でマイクロブルワリーを起業した沼垂ビールの高野社⻑が特別講師として授業。高野社長は新潟大学を卒業後、銀行員や中小企業のコンサルティング業務などを経験し、その後生まれ故郷へUターンして2016年に沼垂ビールを立ち上げた。また、レトロな町並みの観光地として人気が再燃している同地域の、立役者の一人でもある。
今回の講義では、自身の経歴や起業当時の心境などを交えながら、会社設立までの道のりを解説。高野社長は講義の中で「起業を決めたときの想いや動機、その時感じた不条理や悔しさが重要で、(起業の)エネルギーになる」と語った。「そういった想いを一般化して社会や地域の課題として認識すると、それを事業化できるのではないかとひらめく。自分自身が(社会へ対して)おかしいと思ったことを突き詰めると、それがビジネスのチャンスになる」(高野社長)。
経営の具体的な話から、起業の理念や地域でのビジネスの方法まで、幅広い話題を学生たちへ伝えた
今回の授業では新潟大学の学生のほか、開志専門職大学の学生と新潟商業高校の生徒も参加。授業の後半のディスカッションでは、高校生からも高野社長への質問が次々と上がった。
授業を企画した新潟大学経済科学部の有元知史准教授は「大学間連携と高大接続の取り組みとして、今回は開志専門職大学講師の東城歩先生と、新潟商業高校に声をかけさせてもらった。起業は、やはり特別なものというイメージがある。多くの人に起業の世界を見てもらい、背中を押す機会になれば。また、こうした勉強は大学からではなく、もっと早い時期からでもいいのではないかと考えたことも理由」だと話す。
授業に参加した開志専門職大学4年生の男子学生に感想を聞いてみると「(高野社長は)ミッションという言葉を重要視されていた。やりたいことや夢中になることを見つけたら、周りも巻き込んで行動することで形につながるんだな、と感じた」という。
また、「将来は新潟で地域活性化のために起業をしたい」と語る新潟商業高校3年生の女子生徒は「実際に働いている人の話を聞ける場は少ないので、高校生のうちに聞いておきたいと思って今回参加した。高野社長の話を聞いて、会社として、経営のフレームワークはすごく大切だと知った」という。
起業家からリアルな話を聞くことで、起業の理念から経営の具体的な部分まで知ることのできる機会になったようだ。有元准教授によると、今後もこうした学校同士の連携の動きは継続していきたいという。
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