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【倉敷市】【11/15(土)〜26(水)開催】東京2025デフリンピック 〜 岡山県から四人の選手と監督が出場 〜

倉敷とことこ

【11/15(土)〜26(水)開催】東京2025デフリンピック 〜 岡山県から四人の選手と監督が出場 〜

昨年(2024年)フランス・パリで開催されたオリンピック・パラリンピックに日本中が大注目したことが記憶に新しいですが、2025年11月15日(土)からは聴覚障がい者のオリンピックであるデフリンピックが開催されます。

記念すべき100周年を迎える記念すべき今大会は、なんと初めての日本開催
倉敷市をはじめ岡山県からは、四人の選手および監督が出場します。

2025年8月30日(土)に浅口市で開催されたデフリンピックキャラバンイベントへ参加し、後日選手にインタビューしました。

東京デフリンピック2025とは

デフリンピックは、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、4年ごとに開催される聴覚障がい者のアスリート(以下、「デフアスリート」と記載)を対象とした国際スポーツ大会です。

名称はデフ+オリンピックの造語で、「Deaf(デフ)」は、英語で「耳がきこえないこと」を指します。

今大会の正式名称は、「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025」(以下、「東京2025デフリンピック」と記載)です。

2025年11月15日(土)~26日(水)の12日間で、70~80か国・地域から約6,000人の大会関係者が集い、21競技が開催されます。

東京2025デフリンピックのビジョンは、以下の三つ。

・デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ
・世界に、そして未来につながる大会へ
・“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現

岡山県からは、三名のデフアスリートと一名の監督が出場します。

・石本龍一朗(いしもと りゅういちろう)さん
陸上(400mハードル)
・佐藤秀祐(さとう しゅうすけ)さん
陸上(走高跳)
・小森彩耶(こもり あや)さん
女子サッカー
・安田由紀子(やすだ ゆきこ)さん
女子ボウリング(監督)

2025年8月には、岡山県へデフリンピックキャラバンカーが登場

オリンピックやパラリンピックには、大会前に聖火リレーがおこなわれますが、デフリンピックにはありません。

そこで今大会では、2025年6月15日(日)に、全国ろうあ者大会in岩手の会場からキャラバンカーがスタート。大会開催都市の東京都をめざして、デフリンピックの宣伝ラッピングを施したキャラバンカーが、北と南から日本全国を駆け抜けています。

キャラバンカーが岡山県を走ったのは、2025年8月25日(月)~8月31日(日)の六日間。岡山県勝田郡奈義町で鳥取県からキャラバンカーを引き継ぎ、最終日は香川県へ受け渡しました。

詳しい日程は、以下の画像を確認してください。

画像提供:岡山県聴覚障害者福祉協会

キャラバンカーの巡回とともに、全国でデフリンピック関連イベントが開催されており、岡山県は2025年8月30日(土)浅口市健康福祉センターにて「デフリンピックキャラバン」を開催しました。

きこえる人もきこえない人ともに歩み寄ったイベント

午前の部は、3階ホールに全参加者が集まってデフリンピックの歴史に関するクイズや、元デフアスリートによる手話トークがおこなわれました。

セレモニーでは、浅口市長と里庄副町長が手話も交えながら挨拶する姿に会場があたたかい雰囲気に包まれます。

手話をする浅口市長
手話をする里庄副町長

デフリンピックに関するクイズは「選択式」。
ろう者(手話を第一言語とする聴覚障がい者)が手話で進行しますが、音声による読み取り通訳や要約筆記通訳、スライド資料にも問題文や選択肢が記されているので、きこえる人もきこえない人もともに楽しめる工夫がされていました。

今回のデフリンピックが何周年目なのか、開催期間はいつなのかといった問題だけでなく、デフリンピックのマークや手話表現の語源など、多岐にわたる出題に参加者は大苦戦。途中で全員が脱落してしまったので、後半はデフリンピックの歴史について、みんなで学びました。

元デフアスリートによる手話トーク

元デフアスリートによる手話トークに出演したのは、以下2名の元ボウリング選手です。

・安田由紀子(やすだ ゆきこ)さん
・細川賢治(ほそかわ けんじ)さん

安田さんは女子ボウリングの監督として、細川さんはボウリング競技の村外スタッフとして、東京2025デフリンピックにも参加します。

デフリンピックキャラバンスタッフから手話でボウリング競技についての質問があったほか、国際大会参加経験選手ならではの以下のような質問が上がりました。

──海外の選手とは、どのようにコミュニケーションを取っていましたか?

安田(敬称略)──

身振り手振りでやり取りをします。特にアジア系の手話は似ているので、伝わりやすいですよ。

細川(敬称略)──

私も、身振り手振りが多かったです。きこえないもの同士、なんとなく伝わり合うものですよ。また、国際手話という共通の言語もありますので、午後にレクチャーしますね。

──国際大会ならではの難しさがあれば、教えてください

安田──

私がやっているボウリングは、投球前に歩く「アプローチ」と呼ばれるエリアの滑り具合が場所によって異なるので、入念な確認が必要です。靴やボールをいくつか持って行って、試合に臨みます。

細川──

食事に気を使います。海外だと食事が合わないこともあるので。

──東京2025デフリンピックへの意気込みをお願いします

安田──

女子ボウリングは、中国・台湾・ウクライナが競合です。特に団体戦では、代表チームみんなで力を合わせて金メダルを勝ち取ります

細川──

私の役割は、選手の負担を軽減させて競技に集中してもらうことです。選手時代の経験を生かして、サポートに徹したいです。

国際手話&日本手話体験

午後からは、手話講座がおこなわれました。

普段から手話を使うろう者から生の手話を学べるチャンス!と、午後から会場に駆けつけた人も多くいました。

聴覚障がいがあり、普段から手話を使って生活する私のお目当ては、国際手話講座。海外のろう者とやり取りをするときにもアメリカ手話しか使ったことがなかったので、全世界共通という国際手話を教えてもらうのは今回が初めてです。

デフリンピック期間中は、世界中からデフアスリートやその応援をするろう者が来日します。会場や会場近くで手話をするきこえない仲間を見つけたら、国際手話で話かけてみたいです。

デフ生活応援体験

会場には、聴覚障がい者が日常にある音を補うために使うグッズの体験コーナーもありました。

筆談具や振動する目覚まし時計などには、子どもたちが集まり興味津々で体験していました。

全国を行脚するメダルのレプリカをはじめとした数々のパネル展示

会場には、キャラバンカーに乗って全国を行脚するデフリンピックの歴史などがわかるパネルやメダルのレプリカも展示されました。

展示のなかには、高橋留美子(たかはし るみこ)さんや青山剛昌(あおやま ごうしょう)さんといった日本を代表する漫画家によるイラストも発見。

これは、国内外すべてのデフアスリートに勇気を与えたい、これまで“きこえないこと”やデフスポーツに触れた経験がない人に関心を持ってもらいたい、という思いに賛同する漫画家による企画「MANGA cheer on Deaf Sports」です。

聴覚障がい児は音声からの日本語習得が難しいため、日常的な話し言葉を漫画から学んだという人が多くいます。きこえない人にとって馴染み深い存在である漫画作家による作品に、多くの人が釘付けになっていました。

デフリンピック陸上代表選手へのインタビュー

試合まで残り一か月を切った2025年10月末に、デフ陸上400mハードル代表の石本龍一朗選手と佐藤秀祐選手に、デフリンピックへの意気込みを聞きました。

「デフリンピックが楽しみでたまらない!」石本龍一朗選手

石本龍一朗(いしもと りゅういちろう)さん

山口県下関市出身。現在は岡山大学教育学部3年生で、陸上競技部に所属する石本龍一朗選手に話を聞きました。

──デフ陸上に出会ったきっかけを教えてください

石本(敬称略)──

私は、現在まで聴者と同じ学校に通ってきましたが、一年だけ地元の聾(ろう)学校幼稚部に通っていた経験があります。当時の同級生とは聾学校を離れてからも親交があり、デフ陸上の存在も教えてもらいました。

気になってデフ陸上日本代表の記録を調べたら、400mハードルの自己ベストが今あるデフ陸上の日本記録よりも速かったのでここで世界とたたかってみたい!と思い、デフ陸上をはじめました。

──陸上競技は、以前から続けているのですか?

石本──

幼い頃から運動会の徒競走が得意で、選抜リレーなどにも選ばれてきました。父が陸上の選手だった影響もあり、中学入学時には迷いなく陸上部を選び、現在まで続けています。父も400mハードルの選手だったんですよ。

写真提供:石本龍一朗さん

──デフリンピックへの意気込みを教えてください

石本──

練習や合宿を重ねてきて、今が自分にとってベストなコンディションだと感じています。初の国際大会出場に緊張やプレッシャーはあまり感じておらず、純粋に楽しみな気持ちでいっぱいです。

私の走りは特にスタートの立ち上がりの良さが見どころです。200m以降もその立ち上がりを生かして走り抜き、自分にとってのベストを尽くしてきます。
ぜひ、応援よろしくお願いします。

「岡山に金メダルを持ち帰りたい!」佐藤秀祐選手

佐藤秀祐(さとう しゅうすけ)選手

岡山県立岡山聾学校高等部を卒業し、平林金属株式会社で陸上競技部に所属する佐藤秀祐選手に話を聞きました。

──デフ陸上に出会ったきっかけを教えてください

佐藤──

私は聾学校に在籍していましたが、当時はデフリンピックやデフ陸上の存在を知りませんでした。それでも中学部の頃から走高跳を続けていて、健聴者と同じ大会に出ていたんです。

そのようすをSNSに投稿したところ、SNSでつながっていたろう者からデフ陸上の存在を教えてもらって合宿に参加したのがきっかけで、デフ陸上をはじめました。

──デフ陸上に出会って、変わったことはありますか

佐藤──

今まで以上に本気で、競技に取り組むようになりました。

昨年(2024年)初めて台湾で開催された国際大会(第5回世界デフ陸上競技選手権大会)に出場して、外国人選手の体格の良さや跳躍に圧倒されました。

第5位と思うような結果を残せなかったので、今回のデフリンピックに向けてトレーニングの強化はもちろんのこと食事にも気をつけて身体作りも見直しています

写真提供:佐藤秀祐さん

──デフリンピックへの意気込みを教えてください

佐藤──

前回出場した国際大会での悔しさをバネに、一生懸命トレーニングを重ねてきました。

デフリンピックでは、金メダルを取って岡山に帰ってきます

岡山県ゆかりの選手・監督の競技日

岡山県ゆかりの選手・監督の競技日程および競技会場は以下のとおりです。

石本龍一朗選手
11月21日(金)22日(土)
駒沢オリンピック記念公園総合運動場陸上競技場
佐藤秀祐選手
11月18日(火)
駒沢オリンピック記念公園総合運動場陸上競技場
小森彩耶選手
11月15日(土)17日(月)19日(水)21日(金)23日(日)25日(火)
Jヴィレッジ(福島県いわき市)
安田由紀子監督
11月24日(月)25日(火)※団体戦
東大和グラウンドボウル

東京2025デフリンピックを応援しよう

東京2025デフリンピックに合わせて作られた「サインエール」を練習する参加者たち

東京2025デフリンピックの開幕は、11月15日(土)開閉会式入場のためのチケットは完売してしまいましたが、美観地区にある大橋家住宅で暮らした大橋敬之助の子孫、大橋弘枝(おおはし ひろえ)さんが演出を手がける開会式が同日午後8時からNHK Eテレで放送されます。

試合は、どれも入場無料で観戦できます
岡山県内でのテレビ放映予定はありませんが、今までのデフリンピックでは多くの競技がそれぞれYouTubeなどでライブ配信をしているので要チェックです。

石本さんも佐藤さんも「自分たちの限界に挑戦するデフアスリートである自分たちからきこえる人たちに、その勇気を競技する姿から伝えたい」と語っていたのが印象的でした。

日本で初めて開催されるデフリンピックの12日間に、目が離せません。

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