全国高校剣道選抜県予選特集 女子(3)大分鶴崎 チームワークと明るさで全国大会連続出場狙う【大分県】
剣道の全国高校選抜大会の県予選が26日に開催される。昨夏の全国高校総体で男子の明豊が準優勝、女子の明豊が3位となったことで出場枠は男女ともに2枠に増える。全国切符獲得を目指す男女それぞれの有力チーム、注目選手を紹介する。
大分鶴崎は、昨年の県高校総体の女子団体で1、2年生中心のチームながら実力が拮抗(きっこう)するライバル校に勝利し、開催枠(2位)で全国への切符を手にした。全国選抜県予選では夏の経験を糧に再び全国の舞台を目指す。
現在のチームは2年生6人、1年生1人。登録メンバーぎりぎりの人数で、突出した力を持つ選手もいないが、チームワークと明るさ、粘り強さを武器に躍進を続けている。「(全国高校総体を経験し)頑張れば目指す場所に行けると分かったし、力を出せずに負ける悔しさも知った。精神的に大きく成長することができた」。そう話す後藤昭徳監督は、「全国での敗因を緊張とプレッシャーだ」と分析する。普段は「ゆるキャラの集まり」と例えられるほどおおらかなチームは、全国の雰囲気にのまれ、トレードマークの笑顔も、いつも通りの力も出せずに終わった。ただ、全国の舞台で学んだものは多い。全国大会の雰囲気、強豪校との力の差、マインドコントロールの大切さなど一つ一つがチームにとってかけがえのない財産となったという。
全国舞台を経験し、大きな自信を得た
全国高校総体、県高校新人大会を経て、具体的な課題も見えてきた。「うちはロースコアで戦うチーム。相手のペースに持ち込まれると一気に劣勢になる。どんな状況でも持ち前の明るさを忘れず、流れを取り戻せるようにならないと勝てない。チームのためにこの1本で決めるという強い思いも必要。思いがこもった1本と適当な1本は全く重みが違う」(後藤監督)。
練習でも試合を想定した熱のこもった打ち合いが続く。「残り1秒でも勝てる」「この技でチームを勝利に導く」「適当な技がみんなの足を引っ張る」―。選手一人一人の思いの強さは大会が近づくにつれ増している。
大分鶴崎の7人はチームメート以上の強い絆で結ばれている。例えば、浦辺綾香(2年)はレギュラーではないが、影日向なくチームを支える姿勢が仲間に評価され、キャプテンに推薦された。お互いを深く理解し、信頼している証だ。そんなチームだからこそ、「もう一度みんなで全国の舞台へ」という思いは強い。浦辺は「目標は全国選抜出場。そのために、部員が過ごしやすくなるよう人間関係に気を配ったり、その日によって違う部員の状況や状態を気にかけながら声かけをしている」。大将の重責を担う薬師寺結美(同)は「どんな状況で自分に回ってきても絶対に負けない。仮に負けていても堂々とした試合をする」とそれぞれが自分の役割を果たすために、今できることに全力で取り組んでいる。強い絆を力に変え、なんとしても全国への切符を勝ち取る覚悟だ。
笑顔を絶やさず、前向きな選手たち
(甲斐理恵)