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「ウソだろ、どうなってんだよ」エミールの身体に“動物化”の兆候が現れる!?『動物界』本編映像

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「ウソだろ、どうなってんだよ」エミールの身体に“動物化”の兆候が現れる!?『動物界』本編映像

2023年度セザール賞で最多12部門ノミネートを果たし、フランスで観客動員100万人越えのスマッシュヒットを記録した話題作『動物界』が、11月8日(金)より公開。このたび、病を患った人間の身体に“動物化”の兆候が現れる様子を切り取った本編映像が解禁となった。

観る者の常識を覆すアニマライズ・スリラー

2023年、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞で、一本の破格の衝撃作が異彩を放った。フランス映画のイメージを根底から覆すその作品『動物界』は、日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぐ最多12部門のノミネートを達成し、同国で観客動員100万人越えの大ヒットを飛ばした。その舞台は、人間が様々な動物に変異する奇病が蔓延している近未来。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包し、ファースト・シーンから観客を釘付けにする“突然変異”のアニマライズ・スリラーが、あなたの想像力を刺激する。

最愛の家族を守り抜こうとするフランソワを演じるのは、ジャック・オディアール監督の『真夜中のピアニスト』(05)、フランソワ・オゾン監督の『彼は秘密の女ともだち』(14)などでセザール賞主演男優賞に5度ノミネートされた実績を誇るロマン・デュリス。名優イレーヌ・ジャコブの息子であり、『Winter boy』で「第70回サン・セバスティアン国際映画祭」の主演俳優賞を最年少で受賞し、今大注目の新星ポール・キルシェが、少しずつ動物化していくエミールの心の叫びを、驚くべき繊細さで体現する。さらに、『アデル、ブルーは熱い色』(13)のアデル・エグザルコブロスら、フランス映画界を代表する豪華実力派が集結。

監督・脚本を務めたのは、2014年のデビュー作『Les Combattants(英題:Love at First Fight)』で数々の賞に輝いた新鋭トマ・カイエ。「『ロブスター』の系譜に生まれた、極上の家族ドラマ(DEADLINE)」、「革新的なビジュアル(SCREEN DAILY)」「2023年度フランス映画の頂点(CHALLENGE)」と批評家たちからも絶賛を受けたその才気は、類いまれなスケールの大きさを感じさせる。

様々な動物に変異する奇病が蔓延、息子の身体にも異変が…

本作の舞台は、人間の身体が動物化していくという奇病が発生した世界。人間から動物へと姿を変えた“新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、主人公フランソワ(ロマン・デュリス)の妻ラナもそのひとり。愛する家族を守るために奔走するが一人息子のエミール(ポール・キルシェ)の身体にも異変が現れる。病に侵された家族はバラバラになってしまうのか——?

高校の同級生たちとのパーティーのあと森の中で記憶を失い、そのまま朝を迎えたエミールは、自分の身体に違和感を覚え、鏡をのぞき込む。髪は乱れ、口周りは血のようなもので汚れており、「ウソだろ、どうなってんだよ」と戸惑いながら身体の変化を確認。わずかながら浮き出る背骨は、“動物化”の兆しにも見える。息子の朝帰りを心配した父のフランソワ(ロマン・デュリス)が扉を開けて中に入ってこようとするが、エミールはその変化を知られまいと父を閉めだす。喉につかえていた異物を吐き出すと、そこには美しい鳥の羽…。まさか、記憶を無くしている間に鳥を丸ごと食べてしまったのか――?!

メイキングカット
『動物界』© 2023 NORD-OUEST FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINÉMA – ARTÉMIS PRODUCTIONS.

徐々に身体が変化していくエミール役を演じたポール・キルシェは、1年ほど前から時間をかけて振付師と一緒に動物の動きに変化していく所作を準備したという。「僕という人間の身体をどう使って、動物的な欲望や恐れを表現するかが課題だった。人間と動物が半分ずつという特徴を、一体どうやって表現するのか?デヴィッド・クローネンバーグ監督の『ザ・フライ』の主人公は、ハエ人間だから光に引きつけられて天井の照明にぶつかっていた。人間の体で動物の本能を表すには、うなり声ではなく、行動の変化で演じたいと思ったんだ」とエミールを演じるうえで、身体的な表現を徹底的にこだわったことを明かす。

さらに身体の変化だけではなく、エミールの心の変化についてもこう語る。「エミールは今の自分を超えて何者かになろうとしている。人間でも動物でもない中途半端な姿のままでいるのではなく、成るべき新しい自分にね。以前できていたことが、できなくなることがあっても、新たな別の能力が備わっていく。新しい能力が身に付いて、可能性の広がりを知ることはわくわくする発見だ。僕の人生にも似た経験があるからすぐに共感できたよ。トマ・カイエ監督は現実に基づいた脚本を作ることに長けているから、リアルに感じることができるんだ」。

エミールの動物化は思春期の青年が成長していく様子を表現する一種のメタファーとしても捉えることができ、荒唐無稽な設定ながら共感度が高い一作となっている。

『動物界』© 2023 NORD-OUEST FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINÉMA – ARTÉMIS PRODUCTIONS.

『動物界』は11月8日(金)より全国公開中

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