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Rei 仲井戸“CHABO”麗市がゲスト出演、『Reiny Friday -Rei&Friends-Vol.18』オフィシャルレポートが到着

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仲井戸“CHABO”麗市、Rei

Reiがデビュー10周年を迎え、東京キネマ倶楽部にて3ヵ月連続で開催した『Reiny Friday -Rei&Friends-』。7月11日はGinger Root、8月22日は家入レオをゲストに迎えたが、9月12日に行われた『Reiny Friday -Rei&Friends-Vol.18』のゲストはレジェンダリーなミュージシャン、仲井戸“CHABO”麗市だ。Reiと仲井戸麗市(以下、CHABO)。ふたりともギタリストであると同時に詞曲を書いて歌うシンガー・ソングライターである。よって結びつくところが多大にあったのだろう。ではどういったところで共感し合い、どのような共演を見せたのか。両者の言葉もふんだんに紹介しながらレポートしていくとしよう。

ライブはいつものようにReiのソロ・ステージからスタート。まず『Reiny Friday』恒例のオープニング・ナンバー「Reiny Monday Blues」をアコギの弾き語りで聴かせ、そのあとバンドメンバーを呼び込んだ。この日のメンバーは、ベースがJUMBOこと三浦淳悟、キーボードが大樋祐大、ドラムが3ヵ月連続出場を果たした澤村一平だ。メンバー紹介からの流れで突入したバンドでの1曲目は「QUILT」。Reiはキレキレのラップとギターで観客を引きつけ、バンドは自在にテンポ・チェンジをしながら演奏を進める。続いて早くもライブ定番曲「JUMP」を。Reiは首にタンバリンをかけ、叩きながら「JUMP JUMP、JUMP JUMP JUMP」と歌ってオーディエンスの熱を上げた。そしてこれもライブ定番曲である「COCOA」、それから音源ではコリー・ウォンとコラボしていた「TAKE A BREAK」を続けて演奏。「TAKE A BREAK」では三浦の隣に立って弾くRei。身長差があっても演奏の熱量に差はない。

ここで前回同様、ザ・ビートルズの「Birthday」を。軽快にダンスしながら歌って弾くReiは、曲の後半でこのようにゲストを紹介した。「ではここで、みなさんお待ちかねのスペシャル・フレンズを。大きな拍手でお迎えください。仲井戸麗市!!」。ファンのみんなが大歓声で迎えると、出てきた舞台袖に引き返そうとするCHABO。「帰らないで~」と笑うRei。CHABOが「あけましておめでとう。メリー・クリスマス。Reiちゃんにお招きいただきました。こんなに僕を知ってくれてるなんて感激です」と挨拶すると、Reiは「当たり前ですよ。でもCHABOさんにお声がけして、まさか本当に来ていただけるとは思っていなかったので」と返した。それに対し、CHABOがこう話す。「もちろんReiちゃんの活躍は目にし、耳にしてきました。だけど呼ばれたときはちょっとビックリした。これはきっと彼女の回りにいる大人たちから“CHABOとやってみたらどう?”って言われて、“フーン、わかりましたぁ”ぐらいのことだったんじゃないかと思っていたんだけど。この前、初めての打ち合わせのときにReiちゃんにそのことを確認したら、“違います! 私自身がCHABOさんを選んだんです!”って。Reiちゃん、ありがとう! 光栄です」。Reiはといえば、こうして憧れのミュージシャンとの共演が今まさに実現していることの喜びをどうにも隠せないといったふうだった。

そうしてここから、ふたりの共演パートが本格的にスタート。「Reiちゃんと共通項があったんだ。共通する好きなアーティスト……ビックリした、女のコでこいつを好きだなんて。ジョニー・ウィンターだ!!」「じゃあ、ジョニーが2014年に亡くなったときに書いた曲を一緒にやります。“Go Johnny Go”」というCHABOの曲紹介を合図に、ふたりとバンドが音を重ねだした。「Go Johnny Go(J.Winterに捧ぐ)」。CHABOと土屋公平のユニットである麗蘭が2016年のアルバム『25』に収録した曲だ。“ファイアーバードが火を吹くぜ”という一節がそこで歌われるように、ファイアーバードⅤは“100万ドルのブルーズギタリスト”と呼ばれたジョニー・ウィンターの愛機だったわけだが、Reiがここで弾いていたのもファイアーバード。ふたりはブギのリズムで弾き倒し、CAHBOがリードを歌って、Reiはコーラスを。間奏の入りでの「カモン! Rei!」という合図でReiはより一層激しく弾いて、両者のギターの掛け合いがさらに熱を帯びた。それはさながら火の玉の如し。CHABOを相手に一歩も引かず、挑むように弾き倒すReiの度胸とガッツはたいしたものだ。曲が終わると「サンキュー、CHABO!」とRei。CHABOはといえば「ファイアーバード、ギブソン!」とReiが弾いたそのギターを讃えた。

それからふたりはこんな話を。「CHABOさんと初めてお会いしたのは、猪苗代湖の“オハラ☆ブレイク”というライブだったんですけど、そのときは1曲だけでしたよね。私はCHABOさんのすぐ右側、間近で見えるところで弾いていて……」とReiが言うと、「指(の動き)が遅いわねとか思ったんじゃないの?(笑)」とCHABO。「違います!」と笑って否定しつつ「そのときの感動が忘れられなくて。私は今年デビュー10周年なので、そんな憧れのギタリストであるCHABOさんと共演したいなと思い、お声をかけさせていただきました」とRei。また「最近だと“SWEET LOVE SHOWER”という夏のフェスティバルで清志郎さんのトリビュート・ステージをやらせていただいて、私はそこでハコバンのギターを弾かせていただいたんですけど、そのときに“あ、私、CHABO役じゃん!”って思って(笑)」とも。そして「そのように改めてCHABOさんの曲を聴く機会があるなかで今日という日を迎えたんですけど、今回ご一緒するにあたって、CHABOさんが“Reiちゃんの曲もやろうよ”と言って次の曲を選んでくださったんです。なんでこの曲を選んでくださったんですか?」とCHABOに聞くRei。CHABOはこう答えた。「みんなと同じようにReiちゃんのギターの才能はたくさん知ってるんだけど、それと同時に曲自体に興味があって。オレなんかが思いつかないコードの使い方をするし、あとやっぱりオレは言葉が気になるやつだから。Reiちゃんならではの言葉をこの曲の詞から感じて、そこからすごくナイーブなReiちゃんを感じ、“ああ、だからこそああいうギターが弾けるんだな”って思った次第で。だからその大好きな曲を一緒にやらせてもらっていいかな?」。観客みんなが拍手でそれに応えると、まずReiがアカペラに近い形でCHABOの選んだその曲を歌い出した。「どんな人にも職業であったり性別であったりといろんなラベルが付いているなか、カテゴリーで人を見るのではなく、本質で見たいし見られたいという思いを歌った曲」と先頃のインタビューで話していた「Categorizing Me」だ。CHABOはReiの言葉(歌詞)のひとつひとつをちゃんと届かせるように柔らかなギターを弾いた。弾きすぎないところに曲への理解の深さが感じ取れた。曲の終盤ではふたりがグッと距離を縮め、互いの表情を見ながら弾いていた。

「次の曲はお互いに好きな曲で。CHABOさんの書かれた日本語詞には清志郎さんへの思いが綴られていますけど、もし差支えなければCHABOさんにとって清志郎さんはどういう存在なのか聞いてもいいですか?」とRei。CHABOは「うん。なんだろな……」と一瞬間を置いてから、こう話した。「“バンド仲間”というつきあいもあるし、あと、20歳ちょい前からの知り合いなので、そういう“友人”でもあるし。呼び名としてはなんだろなって考えたときに……僕の奥さんはカメラマンなんだけど、RCを撮ってた彼女が清志郎が亡くなったあとに出した写真集のタイトルを僕とふたりで考えて、“BOYFRIEND”ってしたんだ。なんか清志郎はね、ボーイフレンドって響きがフィットした。うん。そういうイメージ」。続けてCHABOが次の曲をこう紹介する。「(ジミ・)ヘンドリックスの曲をやらせてもらいたいんだけど、ふたりともエリック(・クラプトン)のことも大好きなんで、デレク・アンド・ザ・ドミノスのバージョンでやらせてください。小さな羽。小さな翼」。そう、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの曲で、デレク・アンド・ザ・ドミノスを始め数多くのバンド/アーティストがカバーした偉大な曲「リトル・ウィング」だ。CHABOはReiが言う通り、亡きボーイフレンド・清志郎への思いを日本語詞で綴り、これまでそれを度々ライブで歌ってきたが、その重要な曲をReiと一緒に演奏するというのは即ち彼女に対する信頼の証と受け取ることができた。間奏で泣くようなギターを弾くRei。ブルーズギタリストとしての彼女の能力と個性を強く感じ取れるギターだった。CHABOがそれを引き出したのだ。曲の終盤、ReiとCHABOのギターの掛け合いは一層熱が高まり、ふたりで背中を合わせて弾いたりも。実に10分を超えたこの曲の濃密なセッションに、観客たちもこの日一番大きな拍手を送った。CHABOは「マイ・ガール・フレンド、Rei!」と彼女を讃えてステージを去った。

ここから再びReiのコーナー。まずはギタリストとしてのReiを象徴する1曲「GUITARHOLIC」を激しくプレイ。そして「さっきまでCHABOさんがここにいたんだという余韻を感じながら演奏しています」と言いつつ、「東京! こんなもんじゃないよね?!」と客を煽って「Lonely Dance Club」を。続いて「Route246」。この曲の途中ではテンション高くメンバー紹介も。さらに次の「Heaven」ではサブステージへと続く階段をのぼってソロを弾き倒し、本編ラストの「What Do You Want?」で熱狂のピークへ。ウィルコ・ジョンソンよろしくマシンガンのようにギターをかまえてヘッドを客に向け、かと思えば台上に飛び乗って荒々しく弾いて歌う。曲を終えると、「サヨナラ!」と一言残してステージをはけた。

アンコールで再登場したReiは、夢が叶ったCHABOとの共演について改めてこう話した。「CHABOさんのことは、音楽をずっと聴いていて前からファンだったんですけど、改めて今回リハーサルとかでご一緒すると本当に優しくて、感動しました。私にとってCHABOさんはリヴィング・レジェンド。私もこんなふうに歳をとってギターを弾いて歌っていたいなって思ったんです。今日はとっても幸せな気持ちです」。そしてReiに呼ばれてCHABOが再びステージへ。バンドメンバーひとりひとりと拳を合わせるCHABO。「一緒に歌ってくれよ!」と観客を煽ると、Reiの「OK! CHABO!」の掛け声でRCサクセションのあの名曲が始まった。「雨あがりの夜空に」だ。1番をCHABOが歌い、2番をReiが歌う。バンドメンバーたちもCHABOとこの曲を一緒にやれるのが嬉しいのだろう、みんな心底幸せそうな表情でプレイしていた。「サンキュー! 仲井戸麗市!」とRei。「Reiちゃんバンド!」とCHABO。こうして演奏者全員を平等に讃えるのがCHABOの人柄だ。

『Reiny Friday -Rei&Friends-Vol.18』。雨の月曜のブルース(「Reiny Monday Blues」)で始まったそのライブは、最後にこうして雨があがった状態で明るく楽しく幕を閉じた。……と思いきや。観客の熱い拍手と声援はそれでもやまず、なんとReiはそれに応えて再々登場。このシリーズ・ライブ初のダブルアンコールだ。ひとりでアコギをガシガシかき鳴らし始めるRei。曲は「BLACK BANANA」。アコギであってもエグいグルーブ感だ。「まだまだ声出るでしょ?!」と煽るRei。「Banana-na-na-na-」と返す観客たち。最後は台の上からジャンプし、「サンキュー!」の一言で終了した。

客電がついてみんなが帰り始めたとき、そこにはRCサクセションの「スローバラード」が流れていた。熱狂のあとに聴く清志郎の歌声が、やけに胸に沁みた。

文=内本順一
撮影=Kana Tarumi​

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