LET ME KNOW が選ぶ10曲【インタビュー】ストーン・ローゼス「エレファント・ストーン」
LET ME KNOWの10曲 ③
Elephant Stone / The Stone Roses
サマソニ出演に続き、東名阪でのライブを間近に控えたLET ME KNOW
8月18日には、『SUMMER SONIC 2024』のステージに立ったLET ME KNOW。さらに8月22日の名古屋『ボトムライン』を皮切りに東名阪でのライブも間近に控え、精力的な活動を展開。Instagramのリールでは600万再生を記録した「偽愛とハイボール」では、昭和歌謡、シティポップファンにも注目されブレイク。そしてその熱狂は海を越え、5月に行われた韓国ソウル市でのストリートライブも大反響。“ノスタルジックモダン” というテーマを掲げ、精力的な活動を続けるLET ME KNOWの連載インタビュー。
第3回は、バンドサウンドの屋台骨を支えるドラムスのLyoが登場。ちなみにギターのKen_MとLyoは双子の兄弟で、ライブでも抜群のコンビネーションをみせる。今回はLyoにLET ME KNOWの音楽性に潜むバックボーンや彼らが置かれている現在の状況についてたっぷりと語ってもらった。
Lyoが挙げてくれた『LET ME KNOWの10曲』はストーン・ローゼス「エレファント・ストーン」だ。
1度聴いたら忘れられない「エレファント・ストーン」のビート
―― Lyoさんは、ザ・ストーン・ローゼス「エレファント・ストーン」を挙げてもらっています。名曲ですね。
Lyo:ストーン・ローゼスを知ったのも5年前とかで、ドラマーのレニのスタイルが “ヤバい” と思ったのがまずひとつ。それともうひとつの魅力は、彼らのなんともいえない “いなたさ” ですね。この曲を7インチバージョンと12インチバージョンで聴き比べると、12インチバージョンはドラムソロから始まっていて、さらには全体的にビート感も強くて僕はそっちの方が好みでした。
シンバルのリバースから始まる躍動的なドラムのイントロが自分の中では新鮮で、聴いたことのないスタイルでした。そこに入っていくギター、ベースの音にもグッときますね。今の時代だから言えることですが、僕もKen_Mも新しすぎるものはあまり好きではなくて、土着的な “いなたさ” がしっかり残されているような音が好きですね。そのバランス感は大事かなと。
「エレファント・ストーン」は、それでいて今新しいなとも思える。1度聴いたら忘れられないビートですね。ダンスミュージックが流行っていた時代にそこをうまく取り入れて聴く者を躍らせるレニのビートというのは目指す部分でもあります。“踊らせる” というのはニューウェイヴとは少し違うと思いますが、ライブで自然と踊らせたいというのは常にあります。
「偽愛とハイボール」は、80年代サウンド
―― LET ME KNOWの音楽性にはストーン・ローゼス的なブリットポップ感やニューウェイヴからの影響を強く感じます。
Lyo:現時点で僕らの代表曲になっている「偽愛とハイボール」も、80年代サウンドということになると思います。ただ、今の日本の音楽シーンを見渡してみても、ジャンル分けはあまりできない状況ですよね。結局、いろいろな音楽の要素がミックスされている。ただ、この曲にもシンセのフレーズなど、ニューウェイヴの影響がエッセンスとしてありますし、メインとして出ているのが結果的に “昭和感” になったのかもしれません。
―― あれだけの再生回数を考えると、やはり、どこか懐かしさを感じた人が多かったのだと思います。
Lyo:それは嬉しいです。ただ、僕らは “昭和感” というのをよくわかっていないし、その辺りは深掘りしていないです。
―― 偶然の産物として “昭和感” が生まれたということですね。
Lyo:そうですね。特にシティポップを意識したことはないですね。だから「偽愛とハイボール」も “これがシティポップ” と狙って出しているわけではないです。
―― シティポップとは、僕の解釈では、アーバンな雰囲気を含め、プロが作り込んでいる洗練された音楽だと思います。LET ME KNOWの音楽が偶然にもそういう風に解釈されるのは素晴らしいことだと思います。それが若い世代にも支持されています。
Lyo:「偽愛とハイボール」が代表曲となっていろいろな世代の人に聴いてもらえるのは嬉しいですね。そこが入口でライブにも足を運んでもらいたいです。
ワンマンでは、今できる全てを出し切れた
―― やはり、音楽制作とライブは別物ということですか?
Lyo:「偽愛とハイボール」でいえば、ライブバージョンとして、サビの部分でハットを細かく刻んでいます。音源にするならこっち、ライブだったらこうしよう、というのが自分の中にあります。音源だと成立しない部分がライブだったら成立するパターンってよくあります。
―― ライブはその場、その場の雰囲気でグルーヴが変わってきますよね。毎回違う完成度というのもあると思います。5月の初ワンマンはどうでした?
Lyo:あの日に向けてメンバー全員が、最後の最後まで追い込んだので、今できる全てを出し切れたと思います。その後、合宿をやったのですが、ワンマンを振り返って “ここが足りない” という部分をメンバーで共有した上で、新しいアイディアを持ち寄りました。みんな眠くなりながら、悩みながら、話し合いました。
―― 韓国のストリートライブでは得るものがありましたか?
Lyo:「偽愛とハイボール」にしても、日本より早く韓国で火がついたという印象があるので、楽しみにしていました。だけどSNSで感じる印象と、リアルは違うと思っていたので、行く前は “どのくらい集まってくれるんだろう?” という不安もありました。そんな中、ライブの告知はInstagramで前日の夜中にやりました。韓国語で “明日やるよ” と書いたのですが、それでしばらくしてコメントを見てみると日本語よりも韓国語の方が圧倒的に多くて、すごい数がきました。”いいね” の数も1万を超えていたので “明日、めっちゃ来るんじゃない?” という期待もありました。
それで実際やってみると、500〜600人のファンが集まってくれましたね。ほぼゲリラでやったにも関わらず、こんなにも多くの人が来てくれました。日本と韓国は近いですが、向こうからしてみれば、海外のアーティストが来てくれた感覚なのかなと。それに、みんな日本語で歌ってくれていたのが “熱いな” と感じました。日本語を話せる方も多かったですね。逆に海外のアーティストが来日した時、出待ちして、向こうの言葉で思いを伝えようという熱量を自分が持っているかといえば、そうでもないかもしれません。だから、韓国の熱量には感動しました。僕らのことを本当に楽しみにしていたことがリアルに伝わってきました。
「偽愛とハイボール」でしっかりと刺せた
―― 韓国のファンに「偽愛とハイボール」のシティポップ感というのは伝わっていたのですか?
Lyo:韓国でも日本のシティポップが流行っているらしいです。だからそういうところから入ってきてくれた人もいたかもしれません。
―― 逆に日本の若い世代のファンのように、純粋にLET ME KNOWの音楽が好きだと感じている人もかなりの数いますよね。
Lyo:そう思ってくれるのは単純に嬉しいです。自分たちのバックボーンと、わかりやすいポップスのバランスっていうのは、どの時代のアーティストにも共通する永遠のテーマだと思います。そこを「偽愛とハイボール」でしっかりと刺せたというか、ひとつ指標となるものができたと思っています。
「100円キッス」のミュージックビデオは “台湾映画” がテーマ
―― 洋楽志向を含めて、自分たちが影響された音楽を曲に反映させるという点と、大衆に受けるためのメロディだったり、アレンジだったりというバランスが成り立ったということですね。新曲の「100円キッス」はどうですか?
Lyo:「100円キッス」はニューウェイヴからの直接的な影響で作った曲ではないです。ただ、僕らの音楽はKen_Mのギターとシンセが肝になっていますので、そういった部分からニューウェイヴ的なエッセンスを感じてくれる人もいるかもしれません。
―― 普遍性を感じますよね。ニューウェイヴ感は「偽愛とハイボール」より抑え気味になっていて、誰もが共感できる世界観をしっかりと打ち出されているように感じました。
Lyo:ミュージックビデオも含めて、今までとは違ったイメージが出せたと思います。今回のような可愛い女の子を出す、というパターンは元々好きではなかったのですが、監督と打ち合わせをして “台湾映画” というテーマを立てて、サウンドとマッチするような画作りを考えてもらいました。ファンのコメントを読んでみると好意的に捉えてくれている人が多いので、LET ME KNOWの今までとは違う一面を受け入れてくれたのが嬉しかったです。
Information
NEW LIVE「LET ME KNOW LIVE TOUR 2024 -Nostalgic Modern- II」 開催決定!
▶︎ 2024年12月10日(火) 【愛知】名古屋DIAMOND HALL
▶︎ 2024年12月19日(木) 【東京】EX THEATER ROPPONGI
▶︎ 2024年12月26日(木) 【大阪】梅田CLUB QUATTRO
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