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高崎粉ものグルメのおすすめ4軒。バンズパン、焼きまんじゅう、お好み焼き……小麦大国だからこその多様な味わい

さんたつ

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小麦の栽培が盛んな群馬県では、古くから麦を使った郷土食が作られてきた。高崎市民も粉もの料理が大好き。焼きまんじゅう、おっきりこみ、水沢うどん……、枚挙にいとまがないが、その中でも特におすすめをご紹介。

ひょうたん山

ナポリタン? いえいえ違います『二代目だるま本店』

ソバリタン680円。具はウインナー、ピーマン、タマネギ、仕上げにはチーズをパラパラ……。見た目は完全にナポリタン。

メニューには焼きそばだけで約20種。定番のソース味のほか、カレーや塩、黒焼きそば、イタリアンなど味のバリエーションに驚く。「小麦の風味とコシの強さを味わってもらいたいので、あえて中麺と太麺を選んでいます」と店主の北條秀人さん。「ソバリタン」は、焼きそばソースとトマトケチャップの合わせ技。歯応えのある太麺に濃厚ソースが絡み、ボリュームもあるのでひと皿でも満腹に。

焼きまんじゅう230円(1本)。群馬を代表する粉ものグルメも当然いただける。こちらはベーシックな味噌ダレ。
バラエティ380円(1本)。きな粉やチョコバナナなど4種の味を一度に楽しめる、変わり種焼きまんじゅう。

『二代目だるま本店』店舗詳細

二代目だるま本店
住所:群馬県高崎市八千代町1-17-8 八千代ビル1F/営業時間:11:00~18:15/定休日:月・第2・4日/アクセス:JR・私鉄高崎駅から車で約10分

生地を熟成させ二度焼きするピザ『RUHMATO(ルフマート)』

ハーブソーセージとグリルキャベツ1ピース970円。ハーブソーセージの爽やかな風味と、グリルしたキャベツの食感の合わせ技。

ガラスケースに並ぶピザは全6種類。全粒粉と有機栽培の小麦、天然酵母のサワードゥを使うことで、おだやかな酸味と小麦の香りがする良い生地になるそう。7~8割ほど焼き上げてからガラスケースで熟成させるため、生地の加水率を落とすことなく、しっとり&もっちり食感に。注文を受けてから具をトッピングして、仕上げの焼きを行う。ピザというより一皿のメイン料理を食べているかのような完成度だ。

ジェノベーゼとトマト1ピース850円。バジルのフレッシュさが際立つピザ。焼きすぎないから具の食感も生きている。
アメリカのピザスタンドのような内装でスタイリッシュ。
店主の石倉隆盛さんは「生地をしっかり味わってもらいたいです」と話す。
店頭のショーケースには半調理したピザが並んでいる。

『RUHMATO』店舗詳細

RUHMATO(ルフマート)
住所:群馬県高崎市田町53-2/営業時間:11:00~15:00・17:00~22:00(土・日は11:00~22:00)/定休日:火・水/アクセス:JR・私鉄高崎駅から徒歩15分

高崎っ子なら知ってるソウルフード『トリアノン群馬町店』

みそバンズ1個160円(手前)。上州名物みそパンと高崎名物バンズパンが合体。あまじょっぱい味噌はパンとの相性もよい。バターバンズ1個160円(左奥)。バター(マーガリン)の塩気とバンズパンの甘みが調和。あんバター180円もある。あんこバンズ1個150円(右奥)。一番人気はこれ! あんパンとは違った食感があり、おやつパンとして人気。

高崎では学校給食にも出されるバンズパン。菓子パン生地をビスケット生地で包んで焼いたもので、カリッとした外側はメロンパンのようかと思えば、ふんわりした内側は甘食のよう。切れ目を入れて、あんこやバターなどを塗るが、味噌が定番というのがローカルっぽい。各店でレシピが異なるが、この店では、バンズパン発祥の店といわれる「松浦パン」のレシピを継承している。

バンズパンに切れ目を入れ、あんやバター、味噌などを塗る
この店で焼いているバンズパンは、学校給食で出されるものとレシピが異なる。
約80種類のパンが並ぶ店内で、バンズパンは入り口に近い一等地に陳列。

『トリアノン群馬町店』店舗詳細

トリアノン群馬町店
住所:群馬県高崎市中泉町605-26 とりせん群馬町店内/営業時間:9:00~20:00/定休日:無/アクセス:JR・私鉄高崎駅から関越交通バス「群馬温泉」行き約23分の「中泉」下車2分

門外不出のふっくらな焼き加減『ひょうたん山』

仕上げにたっぷりのネギを振りかける、ひょうたん山スペシャル1200円+ネギトッピング250円。

カウンター前の大きな鉄板で焼き上げるお好み焼きは、店主・岡本啓史さんの巧みなヘラさばきでふっくらと仕上がっていく。おいしさの秘訣を尋ねると「秘密」というお返事……。完成したお好み焼きはおよそ3㎝という厚さながら外はサックリ、中はふっくら、出汁の旨味もしっかり感じられる。秘密は分からずとも、唯一無二の味わいに、無心でかぶりついてしまう。

テーブル席では各自で焼いて楽しめる。
「大好きだった亡き父が開いた、この店の味を守りたい」と話す岡本さん。

『ひょうたん山』店舗詳細

ひょうたん山
住所:群馬県高崎市寄合町10/営業時間:18:00~22:00/定休日:月・火/アクセス:JR・私鉄高崎駅から徒歩15分

群馬が小麦大国たるゆえん

群馬県では夏に米を作り、冬に小麦を作る二毛作を行う農家が多い。赤城山麓一帯は排水性のいい関東ローム層の土地が広がり、日照時間が長く、山から吹き下ろす風により乾燥した日が多いなど、土壌・気候ともに小麦栽培に適しているのだ。2023年の農林水産統計をみると、小麦の収穫量2万2400t(全国7位)、栽培面積5330ha(全国8位)となっている。

こうした背景もあり、群馬県では古くから麦を使った郷土料理が作られ、独自の粉もの文化が発達してきた。このなかで高崎の粉ものグルメといえば、高崎パスタの名が上がる。

高崎パスタの起源は1968年までさかのぼる。この頃、東京や横浜ではスパゲティ専門店が次々と開業したが、高崎市では『シャンゴ』が開業。スパゲティの上にとんかつをのせ、ミートソースをかけたシャンゴ風や、ボンゴレのスープスパゲッティなどオリジナリティーのある料理が評判となり一躍人気店となった。

高崎パスタの代名詞「シャンゴ風」。ボリュームが多いのも特徴でSサイズでも150gある。

さらに『シャンゴ』で修業した料理人が独立し、新たなパスタ専門店をオープンするなど、高崎は瞬く間にパスタの街となっていった。群馬県自体、人口に対するイタリア料理店の数が多く、高崎市でパスタを扱う店は150店舗を超すという。

2009年、市内の飲食店がパスタの味を競う「キングオブパスタ」が開催された。当時はご当地グルメブームでもあり、大きな盛り上がりを見せ、高崎パスタは広く知られるようになったのだ。

取材・文=アドグリーン(塙 広明、千葉香苗) 撮影=新井鏡子
『散歩の達人』2024年10月号より

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