【東京街角クイズ】この写真、どこの歩道橋でしょう?
海外に比べ日本では設置数が多いといわれている歩道橋。個性あるデザインのものや、複雑な道路や交差点に試行錯誤して設置されたと思しきものなど、注目できるポイントも多い。方々の歩道橋を愛でて歩くマニアもいて、街の構造物のなかでも魅力的なもののひとつだ。こりゃ、クイズにしないわけにはいかない!範囲は東京23区内(のなかでも都心寄り)で、地名などがバッチリ映り込んでいてバレバレな場合はモザイクあり。解答には、歩道橋の名前がある場合はその名前と住所を記載している。また、歩道橋が架かっている道路名が各問題の共通のヒントだ。周囲の景色からも推測できるが、ぜひとも橋そのものの形やデザインで言い当てることを目指してみよう。【ご注意!】各出題画像のすぐ下にヒント、さらにその後矢印の下に解答・解説を記載している。勢い余って答えが見えちゃうことのないよう、ゆっくりとスクロールしながら挑戦されたし。それでは、チャレンジスタート!
第1問
ヒント
明治通りを跨ぐ。
正解は……王子駅前歩道橋@北区王子
JR王子駅の北口前、明治通りとロータリーを跨いでコの字状に立つ水色の歩道橋。 王子駅前の風景を構成する要素のひとつと言っていいだろう。3カ所はストレートの階段、1カ所はスロープ付きの緩やかな階段で、エレベーターはなし。線路に近い場所はJRのホームと同じような高さだったり、頭上に新幹線の高架橋があったり、見下ろせば都電荒川線の線路とも交差していたりと、複雑で立体的な景色が楽しめる場所だ。
第2問
ヒント
日出通りを跨ぐ。
正解は……第三護国寺前歩道橋@文京区目白台・豊島区雑司が谷
護国寺の南、不忍通りに日出通りが合流する交差点に立っている歩道橋。写真は日出通りに架かる部分だ。外から見ると床の部分が丸い独特な造形で、年季の入った渋い様相ながらしゃれた雰囲気もある。
日出通りと不忍通りの両方に跨ってくの字に設置されていて、その接続部分は踊り場のようになっている。北側から階段を上ると、首都高の下をくぐった後に曲がって緩やかなスロープを下り、踊り場コーナーを経て階段を上って不忍通りを渡る。不忍通りに架かる部分は、日出通りのほうと比べて高さも感じられて、全体的にちょっとしたアトラクションのようなおもしろさがある。
第3問
ヒント
靖国通りを跨ぐ。
正解は……田安門前歩道橋@千代田区九段北・九段南
地下鉄九段下駅のすこし西、早稲田通りとの交差点のそばで、靖国通りに架かる歩道橋。橋自体の構造はスタンダードで、架道部分の道幅が広く、床の赤茶色のタイルの色と形にどことなく高級感がある。
そして、この歩道橋の魅力はやはり周囲の景色。撮影したのは4月上旬で、千鳥ケ淵の桜を見に来た人々でにぎわっていた。この歩道橋の上からは高燈篭や日本武道館の屋根も見え、北の丸公園を少し俯瞰(ふかん)できるとあって撮影のために歩道橋を渡る人も多い様子。今回の出題のなかでは、立ち止まっている人が最も多い歩道橋だったといえるかもしれない。
第4問
ヒント
山手通りを跨ぐ。
正解は……富ヶ谷歩道橋@渋谷区富ケ谷
代々木公園駅・代々木八幡駅のすこし南、山手通りと井の頭通りの交差点に架かるロの字型の歩道橋。四隅すべてにエレベーターが付いているという充実のつくりだ。写真は山手通り、北側から見たところ。
歩道橋そのものの規模の大きさもさることながら、道幅が広く車線も多いので、浜辺に座って波を眺めるような気分で行き交う車を見ていられるのも魅力。周辺の地形には起伏があり、どの方角を見ても上り坂だ。東の代々木公園方面には、水色の富ケ谷一丁目歩道橋も見える。
第5問
ヒント
青山通りを跨ぐ。
正解は……金王坂下の歩道橋@渋谷区渋谷
渋谷駅の東側、青山通りを跨ぐ歩道橋。東へと金王坂を上っていくと宮益坂上交差点につながる場所だ。すっかりきれいに整備された地区で、唯一再開発前の趣を残しているともいえる。今回の出題では唯一の屋根&壁付きで、橋部分の道幅はがっしりと広く、道路の両脇の建物に接続している。
橋桁部分には「金王坂下」と書いてあるのだが、ここに「こんのう」とわざわざルビが振ってあるのは「王」の文字に点をつけるいたずらがあったから……という説もあるようだが、真偽の程は定かではない。
第6問
ヒント
ソニー通りを跨ぐ。
正解は……五反田歩道橋@品川区東五反田
五反田駅の東側、駅前のロータリーとソニー通りに架かる歩道橋。ざっくりL字型だが、角で五反田駅に接続していることもあり、底辺のない台形のような形だ。
『散歩の達人/さんたつ』の熱心な読者なら、ピンと来た方もいるかもしれない。というのも、ここはトリプルファイヤー・吉田靖直さんの連載「ここに来るまで忘れてた。」の五反田回の撮影場所だから。欄干の装飾が特徴的で、繁華街のにぎやかな様子が奥に見える。
第7問
ヒント
芝浦運河通りを跨ぐ。
正解は……藻塩橋際歩道橋@港区芝浦
田町駅の南東にあり、日比谷芝浦線と芝浦運河通りにY字に架かる歩道橋。交差点のなかに設置された島(交通島)がY字の分岐の部分になっている。名前になっている藻塩橋はこのすぐ東にある。
一部(Yの幹の部分)は緩いアーチ型、さらに階段も一部は弧を描いており、道幅も細くて華奢な印象ながらどこかしなやかさを感じられる。今回出題した歩道橋のなかでも「最も美しいで賞」はこの藻塩橋際歩道橋に授与したい、というのが筆者の印象だ。
第8問
ヒント
麻生通りを跨ぐ。
正解は……六本木1丁目の歩道橋@港区六本木
地下鉄六本木一丁目駅のそば、麻生通りと六本木通りが合流するY字の六本木二丁目交差点の、少し南に立つ歩道橋。頭上には2つの通りに沿って首都高も走っていて、道路を越えつつ高架をくぐる形だ。エレベーターも2カ所あり、東側はそのままペデストリアンデッキとしてアークヒルズに接続している。
六本木二丁目交差点やその周辺は横断歩道も少なく、これがなくては歩行者にとってかなり不便であろう重要度の高い歩道橋といえそうだ。
第9問
ヒント
昭和通りを跨ぐ。
正解は……昭和通り銀座歩道橋@中央区銀座
地下鉄東銀座駅と新橋駅のちょうど中間あたり、昭和通りと花椿通り・中央市場通りが交差する銀座東七丁目交差点に架かる歩道橋。X字型で凝った造形とあって、そこそこ有名な歩道橋なのではなかろうか。階段やエレベーターのほかエスカレーターも設置されていたり、植え込みもあったりと、街の一角として確立された空間がつくられている。
江戸~明治時代に新橋と花柳界をつなぐ男女逢瀬の橋としてにぎわったことにちなみ、「銀座ときめき橋」という愛称がついている。
第10問
ヒント
浅草通りを跨ぐ。
正解は……柳島歩道橋@墨田区文花・江東区亀戸
押上駅から南東に徒歩10分ほど、浅草通りとそれに並行する北十間川(きたじゅっけんがわ)を跨ぐ歩道橋。形はシンプルだが、道路だけでなく川も越える歩道橋は今回の出題のなかで唯一だ。
この歩道橋の魅力は、なんといっても水面がある景色。押上方面を見れば十間橋とさらにその先にスカイツリーが見える。北十間川の水面に、整然と並ぶ文花団地の建物、川沿いの緑と、心地よさはピカイチ。ちなみに柳島というのはこの界隈の旧地名だ。
全10問、おしまい! おつかれさまでした。有名なものや個性的なものを中心にセレクトしたが、成績はいかがだっただろうか。
急いでいる時に横断歩道がなくて歩道橋を使うとなると「ちぇっ」となることもあるけれど、ひとたび注目するようになると楽しんで上り下りできるようになる。歩行者の不便を解消するためにあれこれ工夫を凝らして作られたと思うと、愛おしく感じられたりもする。歩道橋の上から眺める街は、視点が変わって一味違う楽しみ方ができるのもいい。今日どこかで歩道橋を見かけたら、ちょっと遠回りでも近づいて眺めたり上ったりしてみて!
文・撮影=中村こより
中村こより
もの書き・もの描き
1993年東京生まれ、北海道育ち。中央線沿線に憧れて三鷹で暮らした後、坂のある街に憧れて現在は谷中在住。好きなものは凸凹地形、地図、路上観察、夕立。挑戦したいことは測量と東海道踏破。