防波堤で行う<岸壁採集>で出会った思わぬもの4選 サメ・昆虫・野菜・カメ?
漁港などで水面・壁に居る生物をタモ網などの道具で採集することを「岸壁採集」といいます。フィールドワークの手段のひとつで、初心者にもおすすめできる比較的に安全な方法です。
主に採れるのは幼魚などの水面で暮らしている生きものや、アメフラシやカニなどといった底生生物などです。
しかし、そこは広い海。思わぬものを見ることもあります。
小さなシュモクザメの死体
漁港は囲いのような地形であるため、色々な物が吹き溜まります。中には、様々な魚や生きものが息絶えた姿も。
筆者が出会った中でも、特に大物だったのがシュモクザメの死体。全長1メートルほどのまだ若い個体でした。
おそらく漁で混獲されたものが弱って、亡くなったものでしょう。この大きさになると、さすがに持ち帰ることもできず、写真に残すのに留めました。
昆虫を観察できることも
池や川などに棲む水棲昆虫は基本的に淡水域に生息しており、海には昆虫類は居ません。
ですが、昆虫が採れたことがあります。水面で溺れていたカナブンの一種です。
海面に小さい虫が溺れていることはよくありますが、カナブンのような比較的に大きな昆虫までいるのは想定外でした。
その個体は脱水を起こしていたらしく、飲み水を与えたところごくごくと飲みました。
海に大根……?
水面には人が捨てた様々な物が浮いており、海洋ゴミ問題が深刻であることは周知の事実。
ですが、中には「なぜ?」という物もあります。いちばん意外なものが「大根」でした……。
大根(提供:PhotoAC)
葉も根も綺麗にそろっており、「このまま干せばたくあんができるだろう」と感じるほど。
しかし、いずれにしても、海に捨てるのは適切ではないでしょう。いったい誰がなぜ捨てたのかは見当も付きません。
生態系を脅かすミシシッピアカミミガメ
ミドリガメ(正式名称ミシシッピアカミミガメ)は指定外来種に数えられている生物のひとつ。
かつてはペットとして流行しましたが、寿命の長さとその成長サイズによって飼いきれなくなり、野外に放すことで定着してしまい、生態系を脅かしているカメです。
本来は淡水の沼などに生息するはずのミドリガメを海で発見。しかもまだ赤ちゃんサイズの個体でした。
ペットとして飼育していた方が逃がしたのか、川を下って流れ着いたのかはわかりませんが、海水にいては生きていくことは難しいでしょう。
移動させるわけにも行かず、悶々とした気分になりました。
採集・釣りの際はマナーを守ろう
2020年、静岡県沼津市の名所・大瀬崎が釣り禁止になりました。一部の釣り人のマナーの悪化が原因だと言われています。
自然の恩恵を受けておきながら、ゴミなどの廃棄物を自分で処理せず、自然に対して仇で返す。そのようなひどい行為が各地で行われていることがあります。
岸壁採集は、綺麗な生きものにたくさん出会える素敵な活動です。
採集活動や釣りを含む自然を相手にしたフィールドワークでは、生きものたちとの出会いがある反面、ゴミや捨てられた生きものなど“負の側面”にも遭遇することがあります。
1人1人が自然や生きものに敬意と慈しみを持ち、人間社会と共生できることを願っています。
(サカナトライター:俊甫犬)