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【石塚真一 インタビュー】オリジナル・キャラクターを描き下ろし!「MJFJ 2024」で躍動する “謎のクインテット” の正体は?

ARBAN

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─「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2024オフィシャル・インタビュー

今年12月に「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2024(MJFJ 2024)」が開催される。この音楽フェスは “世界3大ジャズフェスティバル” にも数えられる、スイス「モントルー・ジャズ・フェスティバル」の日本版で、国内外の一流ミュージシャンたちが結集。ぴあアリーナMM(横浜市)をメイン会場に、3日間(2024年12月6日〜8日)の宴が繰り広げられる。

そんな今年のMJFJ開催に伴い、イベントの “キービジュアル”とも言えるグラフィック作品を、漫画家の石塚真一が描き下ろした。ジャズを題材にした人気漫画『BLUE GIANT』の作者としても知られる石塚氏が生み出した、オリジナルのキャラクターたち。彼らは一体、誰なのか…まずはそんな話から。

“謎のクインテット” 誕生秘話

──今回モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンのアートワークの依頼を受けて、まず最初に何を思いました?

「えっ! マジ? ウソでしょ!?」と思いました(笑)。あの “モントルー” ですからね、僕なんかが描いていいのかな…、と。

──そうして完成したグラフィック作品は、5人のプレイヤーたち。このクインテットはどのようにして生まれたのですか?

特に悩んだり考え抜いたわけではなく、なんとなく感覚的に(笑)こうなりました。絵を描くときに、頭の中で音楽が流れることもあるんですけど、このときは無音で、無心で描いてましたね。とにかくみんな演奏するのが楽しそう、という様子が伝わればいいなと。

──男女混成の、しかも多国籍な雰囲気ですね。

そこは意識しました。モントルーの日本開催だから、多国籍を描きたいな…と。 “モントルーらしさ”って何なのか、うまく説明できないですけど、世界屈指のプレイヤーたちが国境を超えて集まるフェスだから “いろんなプレイヤーがいるんだぜ” というのは強調したかったんです。

──フロントに立つのは女性のサックスプレイヤー。

普段、主人公が男の漫画ばかり描いているので、女性を描きたい…という気持ちがあって(笑)。そもそも僕は “女性が元気な作品” が大好きなんですよ。

──そんな彼女の名前やプロフィールは存在するのですか?

各メンバーの名前は付いていませんが、付けたいな…とは思っています。ただし国籍はなんとなく考えながら描きました。メインの女の子はおそらくアフリカ系のアメリカ人。ドラムを叩いているのも女性で、イギリス出身。ベーシストはラテン系の人で、フリューゲルホルンを吹いているのは韓国人。ピアノは日本人かな。

──という感じで、石塚さんご自身も、この “謎のバンド” を楽しんでいる。

そうです。皆さんもぜひ想像を膨らませて楽しんでほしいです。ちなみに僕は、こういう集団にワクワクするんですよ。子どもの頃から “日本人と外国人の混成グループ” に憧れがあって、たとえば渡辺貞夫さんのグループに外国人メンバーがいるのを見て “なんか凄いな…” って感じたり。そういう出来事が、海外に目を向けるきっかけにもなったんですよね。

「世界は広いな…」と実感

──そうした “スペシャルな集団” で、特に衝撃を受けたバンドや音楽って何かありますか?

中学生の頃に『ウィー・アー・ザ・ワールド』を見たときは、強い衝撃を感じましたね。

──なるほど。あれも確かに、世界屈指の異能集団ですね。

そうなんです。中学生だったのでマイケル・ジャクソンぐらいは知ってましたけど、見たこともない人が次々に出てきて、凄いパフォーマンスを繰り広げている。しかも自分の個性を存分に出しながら自由奔放に。なんか「世界は広いんだな」と思いましたね。こういう世界があるのなら僕も行ってみたい、英語も喋れるようになりたい、と最初に思ったのがその時でした。

──その後、実際に渡米してさまざまな経験を積むことになりますね。

まあ、行き場がなくてたどり着いただけですけど(笑)。ただ、そこで音楽と山登りを楽しめました。

──まさにその経験が、のちに作品として実を結んだのですね。そうした海外での体験で、ジャズ・フェスティバルにまつわる思い出はありますか?

そんなに数は多くないんですけど、オランダのノッテルダムで開催された「ノース・シー・ジャズ・フェスティバル」と、イタリアのペルージャの「ウンブリア・ジャズ・フェスティバル」には行ったことがありますね。

──オランダのノース・シーは『BLUE GIANT』でも描かれていますね。実際に現場に行ってみて、どんなことを感じましたか?

まず素朴な感想として、オランダ人って背が高いので「ステージが見えにくいなー」と(笑)。

──ははは。それも貴重な体験談です。

もちろん現場はすごく楽しかったですよ。ステージがいくつもあって、学生とかアマチュア奏者が出演する小さな舞台から、コロッセオみたいな巨大なものまで。そうしたステージの数や規模の違いを見て、ここはミュージシャンにとっての “戦いの場” でもあるように感じて、感慨深かった。

モントルーはまるで甲子園?

──ちなみに、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルは未体験ですか。

はい。いつか行ってみたいですね。僕にとってモントルーは、甲子園みたいなイメージなんですよ。さっき話した “戦いの場” にも近い感じで。

──強者たちが集まって、しのぎを削る場所。みたいな感じですか?

そう、だから「モントルーに出演する」というのは、球児でいったら「甲子園で戦ったことがある」くらいの凄みというか、腕の立つプレイヤーが世界中から集まってくる、すごい舞台。僕はそんなイメージが湧くんですよね。

──モントルーはジャズフェスの中でもノンジャンルというか、多彩なジャンルのミュージシャンが “ジャズの名のもとに集まる” といった雰囲気のイベントですよね。

そうですね。いろんなタイプの音楽を縦横無尽に楽しめる。そこもモントルーの良さだと思います。

とは言え、やっぱりモントルーの「ジャズ」っていう冠は僕にとって重要なんですよ。出演者の音楽ジャンルは多種多様だけど、あくまでも「ジャズ」の冠ありきで出演している。だから、そこでどんなジャンルの音楽が奏でられようと、イベント名にジャズって付いているんだから、僕としては「何をやってくれてもOK!」と気持ちよく受け入れることができる(笑)。

──やはりジャズに対する想いは格別なのですね。

そうですね。僕が『BLUE GIANT』を描く原点になったのも、ただ純粋に「ジャズを推したい」っていう想いだけですから。「ジャズ、かっけぇーぜ!」っていう(笑)。加えて、僕はジャズ好きではあるけれど “マニア” にはほど遠い、いわば素人です。だから、ジャズの入り口に立って、いろんな人に「ジャズっていいよ!」って呼びかける、そんな役回りを担えればいいなと思ってますね。

知らない奏者に“感染”する喜び

──そういう意味では今回も、グラフィック作品で多くの人にアピールする “呼びかけ” を担ってくださったわけですよね。

これをきっかけに「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン」に興味を持ってもらえたら本当に嬉しいです。

今はネットで気軽にいろんな音源を聴くことができるし、ライブ映像も豊富にアップされています。だからこそ、生のライブを体感する意味や価値が大きくなっていると思うんです。僕自身がまさにそうで、なにかと手軽に音楽を聴いているんですよ。そんな生活の中で、いざライブに行ってみると「ああ、これは本当に特別な音楽体験だな」と強く実感する。

──それが音楽フェスともなると、なおさら。

その通りです。フェスって、ベテランから若手まで旬なアーティストたちが出演していて、それを観ることができるのは大きな魅力。さらに、自分の知らないミュージシャンにも出会えるチャンスもあります。そんなミュージシャンたちのパフォーマンスに、現場でじかに触れることができる。そうやって“触れる”ことで“感染する”んですよ。

──ライブならではの感染力ですね。

そう、たとえば、著名なベテラン奏者がリーダーを務めるバンドがありますよね。そこで、活きのいい若手がサイドマンを務めている。僕はその若手を初めて見るんだけど、彼のプレイを体感することで、彼の魅力に感染してしまうかもしれない。そういうことが起こりうるのもフェスの面白さであり、楽しさですよね。

──先ほど話に出たヨーロッパのフェスと日本のフェスを比較して、何か違いを感じることはありますか?

たとえばオーディエンスの反応は、オランダと日本は近い感じがしました。一方、イタリアはもっと陽気な印象です。大きな会場だとその差はあまり感じませんが、たとえばストリートでの演奏の反応を見ていると、リアクションがだいぶ違います。日本人はこんな感じで踊ったり声を出したりしないだろうな…と、お国柄の違いを感じましたね。

──日本は静かに真剣に聴き入っている印象が強いですね。

それも素晴らしいと思います。ミュージシャンをじっと見守りながら鑑賞する感じ。演奏に対して真剣に没入しているわけですから、それはそれで演奏者にとって嬉しい姿勢だろうし、日本人の良さだと思います。

もちろん、声を出して盛り上がってもいい。それによってプレイヤーも鼓舞されるし、いいプレイの時に声が上がると、ステージのテンションも上がりますから。もうマスクも取れましたしね、存分に盛り上がっていいと思います。今年の「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン」のステージが一体どんな雰囲気になるのか、楽しみですね。

取材・文/鈴木隆祐
撮影/西田周平

MONTREUX JAZZ FESTIVAL JAPAN 2024

日程: 2024年12月6日(金) 7(土)、 8(日)
会場: ぴあアリーナMM

12月6日(金) 開演18:00 終演21:40予定

出演:ハービー・ハンコック / YOKO KANNO SEATBELTS

12月7日(土)開演15:30 終演21:00予定

出演:YOKO KANNO SEATBELTS / WONK
and more!

●12月8日(日)開演14:30 終演21:40予定

出演:ハービー・ハンコック / Bialystocks/TOMOAKI BABA ELECTRIC RIDERS Special Guest: BIGYUKI
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