黒人侍「弥助」東映が映画化決定 ─ 南アフリカと共同製作、世界市場ねらう
日本の東映が、戦国時代に実在したとされる黒人侍の弥助(ヤスケ)を描く長編映画『Yasuke - Way Of The Butterfly(仮題)』製作のため、南アフリカのPambili Mediaと共同製作契約を締結したことがわかった。米が報じた。
弥助は、16世紀の日本に奴隷として連れられたアフリカ人。物珍しがった織田信長に気に入られ、「弥助」の名と武士の身分を与えられ、腰刀の携帯も許されていたとの逸話が知られる。小説や漫画、ドラマなどで度々描かれており、『アフロサムライ』(1998)の主人公にも影響を与えた。ユービーアイソフトの人気ゲームタイトル『アサシンクリード シャドウズ』でも主人公の1人となったことで様々な話題を呼んだ。
この度の映画では、アフリカのモノモタパ王国やインド、中国、東アジアとの貿易関係を背景に、弥助がアフリカから16世紀の封建時代の日本へと旅する物語が描かれる。同名のコミックが全3巻でリリースされており、これが原作になると考えられる。
東映にとって、世界の観客に向けた国際拡大戦略の一環となる。共同製作に選ばれたPambili Mediaは、南アフリカのマンドラ・ウォルター・デュベによる制作会社で、『ハート・オブ・ザ・ハンター』などを手掛けている。
ウォルター・デュベはかねてよりInstagramで『Yasuke - Way Of The Butterfly』を紹介しており、実写版の準備が進んでいる様子を仄めかしていた。
https://www.instagram.com/p/DB3NQN4quEIk0YvuOtbpAtNZARX0_s05zfPaOE0/
東映株式会社取締役の小嶋雄嗣が「Pambili Mediaから弥助の物語を映画化したいと最初に提案を受けた時、私たちは興味をそそられ、インスピレーションを受けました」と話していることから、Pambili Mediaによる持ち込み企画であるようだ。「これは、並外れた歴史冒険を再創造する機会になるだけではなく、大胆でジャンルを定義する物語を製作するという東映の長年の伝統に沿った使命でもあります。この国際的なコラボレーションを主導できることを誇りに思います」。
「知られざる歴史と大陸を超越した繋がりに根差した、圧倒的で国際的な一大映画イベント」になると製作陣は表明している。ウォルター・デュベは「文化的な真実性を追求すると同時に、世界に向けたエンターテインメント・ストーリーを伝えたい」と意気込んでいる。
弥助の物語は、かつて『ブラックパンサー』のチャドウィック・ボーズマンの生前に、Netflixドラマ「ナルコス」(2015-2017)ダグ・ミロ脚本によるや、ワーナー・ブラザースによる『Black Samurai』、MGMによるアクション映画企画と複数種類が存在していたが、いずれも実現には至っていなかった。
米FXによる「SHOGUN 将軍」では、英国人航海士が封建時代の日本にたどり着き、侍たちの天下統一戦に巻き込まれていくドラマが史実脚色のもとで描かれ、エミー賞はじめ主要テレビドラマ賞を総取りした。日本の東映は『Yasuke - Way Of The Butterfly』を通じて、知られざる戦国物語で世界を狙う。
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