武蔵小杉駅周辺 5年ぶり帰宅困難者訓練 市民館へ要配慮者誘導
中原区役所は1月30日、武蔵小杉駅周辺で鉄道機関らと合同による帰宅困難者対策訓練を実施した。昨年3月に改定された「武蔵小杉駅周辺地域エリア防災計画」で中原市民館が新たに要配慮者の一時滞在施設に指定されたことから、開設訓練や避難誘導などの確認を行った。今回の訓練で出た課題を今後、同計画に生かしていく考え。
1日に最大約48万人が乗降する武蔵小杉駅。マグニチュード7・3の地震が発生した場合、最大1万4千人の駅滞留者数が想定されているという。そうした中、昨年3月に同駅周辺の「エリア防災計画」を8年ぶりに改定。駅構内・連絡通路の滞留可能人数約3600人を、周辺の歩道・公園等への分散、民間事業者と協力した施設内待機の必要性などを追記。要配慮者を受け入れる一時滞在施設を中原市民館に変更した。
2019年以来、同計画改定以降では初の帰宅困難者訓練となった今回。参加したのは、JR、東急の両武蔵小杉駅、中原市民館、同駅周辺の商業施設らで構成される武蔵小杉駅帰宅困難者対策協議会、区内外の人を含めて約30人。中原市民館で訓練の概要が説明された後、JR、東急、区役所、市民館で無線機器を使用した情報連絡の訓練が行われた。各駅からは、終日の運転見合わせの決定、区役所からは市民館への要配慮者の受け入れ要請といった情報が共有された。
その後、参加者はJR、東急の駅に移動。各駅長から震災時の駅の対応について説明があり、視覚に障害がある入山直子さんが帰宅困難者役を務め、駅から要請を受けた区役所職員が市民館への誘導と案内を行った。バスロータリーでも同様に車いすの帰宅困難者役の誘導を行った。
帰宅困難者が集った市民館では、避難者の受付を行い、要配慮者には個人情報やどういった配慮が必要かなどをヒヤリングするまでを実施。終了後には参加者が集まり、訓練を振り返った。
課題を計画に反映
過去に武蔵小杉駅周辺に勤務していたことがある入山さんは「通勤で使っていた駅でも、市民館がどこにあるかわからない。ただ誘導するだけでなく、コミュニケーションを取っていただけると、避難所に来てからも安心して過ごせる」と感想を話した。
一時滞在施設となる市民館の福田依美子館長は「今回は、施設点検日で利用者がいない中での訓練だった。利用者がいるときに、いろいろな配慮が必要な方がいる中で、受け入れ態勢ををどうするのか。情報の受け渡しが大切。市民館は4月以降指定管理者が入るので、今後一緒に考えていきたい」と気を引き締めた。
区危機管理担当の担当者は「計画改定後、初めて訓練を実施したが、実災害が起きた際の難しさも感じた。今後訓練を重ねて、基本的な動きを覚えていくことが大切。マニュアルなどにも生かしていきたい」と話した。