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ファッションデザイナー：コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。

井口資仁さん
1974年、東京生まれ。1997年にドラフトで福岡ダイエーホークスに入団した後、2005年からはMLBホワイトソックスに移籍し、2009年に再び日本プロ野球界に復帰。現役引退後もロッテマリナーズの監督を5期務め、現在はプロ野球解説者として活動しています。

出水：今日はせっかく井口さんに来ていただいたので、メジャーリーグのお話を・・・昨シーズンはなんといっても大谷翔平選手！ 大谷を見ない日はないといっていいぐらい、連日みなさん応援してましたね！！

JK：とにかくTVにしがみつき（笑） ちょうど私足をケガしてて、ずっと見てました（^o^）

井口：我々解説陣も、二刀流じゃなくて打者専念の年にどこまでやるのか想像つかなかった。それでもタイトルほぼ総なめでしたからね！ 大変ですよ、まさか日本人がHR王。ひょっとしたら三冠王も取る勢いだったので・・・我々の想像をはるかに超える大活躍でしたね。

出水：昨シーズンご覧になって、大谷選手のさらなる進化は？

井口：おととしも本人がキャンプで「打率を上げたい」と言っていた中で3割上げたので、目標を立てると確実に達成する選手なんだなと去年のキャンプも見てたんですけど、今度はどんどんパワーもアップして、本当に50本打つんじゃないかと思っていたら・・・

JK：本当にそうなった！ 過去に誰もいないんでしょ、50-50って。

井口：ですけど、限りなく55-55に近いんですよ！ ちょっと我々も予想できなかったすね。今後も打撃に関しては同じような数字で、盗塁数は二刀流になるとケガのリスクもあるので減ると思いますけど・・・最後にケガしてしまいましたからねぇ。

出水：気になる来シーズンへの影響はどうでしょう？

井口：本来であれば開幕からピッチャーとして投げられる予定だったんですけど、あのケガで2～3か月ずれてるみたいなので、故障した分ピッチャーとしては少し時間がかかってますね。

JK：大谷の場合は自分というよりも、点を稼ぐための気合がすごいですよね。他の選手にも影響してるのかしら？

井口：アメリカだとどうしても個人プレーに走りがちなんですけど、大谷選手はチームのために打たなくても塁に出るとか。シーズン後半になってくると、チームでも「チームのために」と変わってくる姿がすごく見えてきて、本当に日本の野球が世界に通じるんだなぁって。昨年のワールドシリーズを見てても、ドジャースの選手がバントしたりとかそういうプレーがあって。WBCでも日本が勝つのはそういうところかなと思いました。

JK：まさしくチームワーク！ だから向こうで成功するんじゃないですか、チームから可愛がられるというか。

井口：それもあると思いますね。自分自身を犠牲にできるところもありますよね。

出水：井口さんがメジャーに行った時は、個人で魅せる選手が多い印象でした？

井口：ほとんどですね。その中で私は2番という役割を引き受けて、1番が塁に出たら走るのを待ったり、塁に進めたりとか・・・自分の中では日本でやってきたことをそのまま出したかったので、好んでいたプレーではなかったんですけど、それでも監督が「そういう役割をしてくれた井口がMVPだ」とずっと言ってくれましたので。やっぱりそれでチームも勝ってたと思いますし、選手たちもなんとかつないでくれたものを返す、という風になってましたよね。

出水：大谷選手同様、井口さんもワールドシリーズ優勝経験者ですよね！ 2005年にホワイトソックス、その後2008年にもフィリーズで。

JK：パレードはどんなですか？

井口：シカゴの時は200万人でしたね。シカゴの人口を考えたら、ほとんど全員（^^）シカゴ中のオフィスビルの上から紙吹雪が飛んでくるという感じでした。忘れられないですね！

出水：そして今シーズンの楽しみといえば、佐々木朗希選手ですよね！

JK：ドラフトの時のくじ引きは、当たっちゃった！って感じでしたね。

井口：12球団の評価も、佐々木朗希か岡選手か、って真っ二つに分かれてたんですよね。その中で我々は佐々木朗希をしっかり育てたいという思いがあって、うまく引き当てた。でもその後いろんなコーチから連絡もらったんですけど、「どうやって育てよう」って感じでした。それで球団として、しっかり育成計画を立てました。

JK：引いたものの責任重大！ よくお育てになりましたね！

井口：3年間でしたけどね。入って来た時は高校生だったのでまだ身体もできてなかったし、今でもそこまで大きくないんですけど、ケガをさせないことが一番大事ですし。もちろん批判もありましたよ。「ゆっくり育てすぎ」とか言われましたけど、人によって成長過程も違うのでね。

出水：旅立っていく瞬間は、監督としてはどんな思いでしたか？

井口：でもこれからまだまだ発展過程にあるので、これから何をしてくれるのかなって。メジャー1年目の目標がサイ・ヤング賞ですからね！ 今までメジャーに行った日本人のピッチャーはすでに完成してたじゃないですか。でも佐々木朗希はまだ発展途中なので、アメリカでさらにどう成長していくか・・・おそらく彼の性格はアメリカ向きです。自分の意見をしっかり持っていて、行動もできる選手なので、どう変わっていくのかもインタビューで聞いてみたいですね。

出水：今度からは選手と解説者という、少し照れもありそうですね。

井口：僕もどうやってインタビューしたらいいものか、「朗希」って言っていいのか、「佐々木選手」って呼ばきゃいけないのか、悩んでるところです（笑）

出水：球速とか球種ですとかいろんな進化ポイントがあると思うんですが、井口さんからみて伸びしろがある部分は？

井口：もちろんスピードもそうですし、まだ規定投球回数まで達してないんですよね。でもだんだん身体も大きくなっていくと思います。今の一番の特徴は身体の柔らかさなんですよ。柔らかさがスピードを生み出してるので、筋力をつけてもスピードを落とさないためにどうコントロールしていくか？ 環境も違いますし、アメリカは寒いところもありますし。

JK：食べるものも違いますもんね！

井口：私は好き嫌いもないですし、イレギュラーなことを経験したいと思って行っていたので、楽しんでました。彼はその辺もプラスに変えていけると思います。

出水：さらに先日には、イチローさんが日本人選手として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしました！！ 井口さんとイチローさんの接点を調べていくと、どうしてもある「キーワード」が出てくるんですけど・・・「隠し玉事件」。

井口：私もそのキーワードは消したいんですけどね（^^;） あれであまり話してくれなくなったので・・・イチローさんって独特の雰囲気を醸し出すじゃないですか。だから結構スキがあったんですよ。

JK：2塁ですよね。作戦成功ですね！

井口：いや成功したんですけど、その後の雰囲気はよくなかった（苦笑） お互い今も、その話題は出さないようにしています（笑）

出水：あらためてイチロー選手の殿堂入りをどうご覧になりましたか？

井口：成績も含めて当然かなと思ってますし、我々がアメリカに行けたのも、イチローさんが野手で成功したからこそ。それまで日本人の評価は低かったですから。成績を残してくれた先輩がいたからこそ、次の選手がどんどん行けたと思います。

JK：イチローさんが道を作りましたよね。これから佐々木さんもいるし、楽しみですよね！

出水：2025年シーズンで注目の日本人選手は？

井口：私はやっぱり佐々木朗希。ここは間違いなくしっかり見なきゃいけない。野手が少ないんですけど、吉田正尚だったり鈴木誠也だったり頑張った姿を見せてほしいなと思いますね。アリゾナにも2週間行きますので、しっかり取材していきたいと思います。

出水：メジャーのキャンプは日本とだいぶ違うんですか？

井口：練習はほぼ午前中で終わるんですけど、2月中旬から開幕まで休みは1日だけで、2月はずっと練習して、3月はほぼ毎日オープン戦。アリゾナのフェニックス近郊で、半分ぐらいの球団がキャンプしています。球場も6～8面あるので、合宿しているような感じ。雨も降らないので環境も非常にいいです。

出水：佐々木選手の場合、最初は違う形でスタートするんですか？

井口：いや、キャンプINは一緒です。マイナー契約ですけど、メジャーキャンプに招待という形で一緒に練習して、開幕までにメジャー契約を勝ち取る。ボールには苦しむと思うんですよね。日本のボールより滑る感覚があるので。

JK：えっ、違うんですか？ 代えちゃいけないの？

井口：いけないですね～（笑） 日本のボールは非常にしっとりしていて、ピッチャーは投げやすいんです。それにアリゾナは乾燥してますので、そこでみんな違和感を感じて肩や肘にくる。

JK：慣れなきゃいけないってことですね。じゃあ日本もそのボール使えばいいじゃない？

井口：国際球はそれなんですけど、日本のプロ野球はもっと質のいい革というか・・・質が良すぎるんですね（^^）

(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)