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【KBCレインボーウィーク】息子のカミングアウト そのとき母は―取り戻した”自分らしさ”

福岡・九州ジモタイムズWish

KBCでは、2025年10月20日から26日まで、性的マイノリティーの当事者や、その支援者であるアライの方々の想いや活動などを伝える「レインボーウィーク」プロジェクトを展開しました。
今年のテーマは“違いを超えて、違いをチカラに”。
わたしたちは、互いに等しく尊重し合えるような社会づくりの一助を目指します。
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あおいさん/55歳/糸島市在住/一男一女
息子のカミングアウトをきっかけに、アライとして活動。「九州レインボープライド」スタッフ8年目。
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2025年11月2日、福岡市の天神中央公園で開催された「九州レインボープライド2025」。すべての人が自分らしく生きていく社会の実現を目指すこのイベントに、あおいさんはボランティアスタッフとして参加し8年。「今年は『イベントに行こう』と思って訪れた方だけではなく、通りすがりに立ち寄ってくれた方も多くてすごく良かったです。親子連れも多く見かけたんですよ!」と、あおいさんは生き生きとした表情で振り返ります。

「アライの活動は、自分に“居場所”をくれた。子どもの頃の私を救っているような感覚です」と話すあおいさん。彼女の人生を変えた活動のきっかけ、そして「自分らしさの再発見」とは―。

◆ 息子さんのカミングアウトが活動の原点
東京から福岡に移り住んで15年。あおいさんが性的マイノリティーの支援者(アライ)として活動することになったきっかけは、自身の息子さんにあります。

福岡に移住後、参加していたとある会合で、九州レインボープライド代表を務めるのぶゑさんの講演を聞いたあおいさん。当時「LGBTという言葉を聞いたことはある、ぐらいだった」あおいさんは、話を聞くうちに「息子がそうなんじゃないかなと。当てはまるところがいくつもあって…」という思いに至ります。

講演後、あおいさんはのぶゑさんに自身の戸惑いを打ち明けました。「私はどうすれば?」。すると「大丈夫。何も言わずに、ただ“その日”が来るのを待ってあげてください」とアドバイスをもらいます。この出会いから半年後「本当に、“その日”が来ました」。息子さんが20歳の時、自然な会話の流れでカミングアウトしてくれたそうです。

心構えはあったとしても、少しは動揺したのでは?と聞くと、「この子すごいな!って感動しました」と、カミングアウトを受けた母親の感想ではあまり聞かない言葉が返ってきました。「私自身がもし(性的マイノリティーの)当事者だったら母に言えるかなって考えると...言えないと思う。それをやってのけた息子に頼もしさを覚えましたし、すごく信頼してくれていると感じて嬉しかったんです」。

◆ 抑圧からの解放と「自分らしさ」の再発見
カミングアウト後、息子さんの変化は目覚ましかったそうです。「大人しい子でしたが、すごく積極的になりました」。一番驚いたのは、大学卒業前にヒッチハイクで福岡から東京まで行って帰ってきたこと。「この子、何、覚醒しているんだろうって!まったくそんな大それたことをするような子じゃなかったから」。“覚醒”と感じるほどの変化は、息子さんが自身を抑えつけていたものから解放されたからではないかとあおいさんは考えています。

やがて、LGBTQ+を支えるアライの活動を始めたあおいさんは、「自分自身も変わった」と語ります。「子育てしていたら、服も食べ物も自分が好きなものを忘れちゃった。また自分らしさを取り戻すきっかけをくれたのはアライの活動なんです」と話します。その中で、「当事者の方たちに『頑張って!』と言っているのに、私は何もしていない」という現状に気づき、 それまでのあおいさんからは想像もできない行動に出ます。「ミスコンテストに挑戦したんです」。あおいさんは見事予選を突破し、ステージで自分の思いを伝えました。「スピーチでLGBTQについて話すことを目標にしていました。体中が震えましたが、頑張ってよかった!」。彼女自身のこの挑戦は、自分を押さえつけず、全力で生きていくことの大切さを、身をもって示す行動となりました。

◆目標は「“居場所”を作ること」
日本におけるLGBTQ+などの性的マイノリティーの割合は、人口の8~10%。学校なら1クラスに3人前後はいる計算です。これは左利きや、血液型がAB型の人の割合と変わりません。それなのに、私たちは「1人もいない/いなかった」と思っている-。日本でも認知は進み、施策も増えてきましたが、自分を出せないもどかしさを感じている人は、まだまだ多いのかもしれません。「この約1割の人が、自分を解放して全力を出すことができたら、日本はもっと良くなると思うんです」とあおいさんは強く訴えます。

だからこそ「安心できる“居場所”を作りたい」とあおいさん。「理由は違いますが、私自身も子どものころ、『居場所がない』と感じていました。その経験も、アライの活動の原動力になっています。自分に合う“居場所”をみんなが持てるように、コミュニティーを作りたいんです」と、今後の目標を語ってくれました。

◆パパママへ。委ねる勇気と信じる力
最後に、自分の子どもがそうかもしれないと感じているお父さん、お母さんへ、あおいさんは温かいエールを送ります。「子どもに“委ね”ましょう。それが親子で幸せになる秘訣ではないでしょうか」と、自身の経験を踏まえながら話します。

「“信じる”と“心配”は違う」とも。「子どもは経験から学びます。転ばないようにするのではなく、転んだ時に手を差し伸べてあげる方がきっと良い。見守っているから大丈夫だよという安心感をあげることで、自分で歩いていけるようになります。いつか助けを求めてきた時は、そっと手を差し伸べてください」

信じる力と委ねる勇気によって息子さんの“覚醒”を見届け、自身も自分らしさを再発見したあおいさん。彼女の活動は、「多様性を受け入れることが自分自身をも肯定し、結果として社会を豊かにすることにつながる」という希望のメッセージを、多くの人に届けてくれることでしょう。

―三好不動産はKBCレインボーウィークを応援しています―

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