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介護職が楽すぎるって本当?噂の実態と、働きやすい施設の選び方を紹介!

ささえるラボ

介護職が楽すぎるって本当?噂の実態と、働きやすい施設の選び方を紹介!

本日のお悩み:介護職は楽すぎるって本当ですか?

介護職は「楽すぎる」と言われることがあります。

介護職は楽なのでしょうか?また、そうではない場合楽だと思われている理由や、介護職の大変なところを教えてください。

介護職が楽だと思われる理由を考えましょう!

執筆者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

ご質問ありがとうございます。介護職の皆さんが、利用者さんと楽しそうに笑顔で働いていると、「楽そう」という印象を持たれることもあるかもしれません。

この記事では、福祉・介護の仕事の実態について考えていきましょう。

介護職が楽だと思われる理由

では、はじめに介護職が楽と言われる理由を考えていきましょう。主な理由は以下の通りです。

1.情報不足
2.誤解や偏見

●1.情報不足

介護職が提供するサービスは、ご自宅内や施設で提供されることが多く、一般の方の目に触れる機会が少ないため、情報不足であるということが理由の1つとして挙げられます。

また、介護が必要になった当事者の方々でないと、その大変さは外から見えづらいかもしれません。メディアで度々取りあげられるのは、行事やイベントといった余暇やレクリエーションが多く、表面的には「楽そう」に見えるのかもしれません。楽しそうな雰囲気を作れているのであれば、それは正しく福祉介護という仕事が提供できている証拠でもあります。ただし、「楽しそう」と「楽」は、イコールではないと理解してもらう必要があります。

●2.誤解や偏見

また、まだまだ介護職に対する正しい理解や価値に対する認識が、広く一般には認知されていないこともあり、誤解や偏見が生じることもあります。

「介護職=お世話をする人」という間違えた認識が残っており、介護職の「自立支援」というお仕事の内容が、誤って理解されている可能性があります。そのため、場合によっては、お世話をしてくれる「お手伝いさん」として捉えられ、なんとなく楽な印象を持たれているのかもしれません。

介護職の大変な面を確認していきましょう!

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

介護職の大変な点

福祉や介護に関わる資格はさまざまありますが、どの資格も専門的な知識や技術を学んだうえで取得することができます。特に、介護福祉士は介護に関する唯一の国家資格で、介護の基本やコミュニケーション技術、こころとからだのしくみ、認知症の理解など計13科目(11科目群)の知識を吸収する必要があります。

そのため、楽しそうに見えているケアの裏側には、これらの知識や技術が伴った科学的なケアが存在しているのです。これだけでも、介護職は専門職として知識や技術だけでなく、責任のある仕事のように感じませんか?責任がある仕事には、大変なことも付きものです。

ここからは、介護職の大変な点について考えていきましょう。

1.身体的負担
2.精神的ストレス
3.労働時間
4.緊急対応

●1.身体的負担

介護職の多くは、利用者さんの移動や身体介助など肉体的な負担が大きい仕事に携わります。

そのため、正しい技術や用具を用いないと、腰痛等の慢性的な痛みを抱える場合があります。ただし、知識や技術を正しく身につけることで、負担を軽減することができるでしょう。

●2.精神的ストレス

身体的負担のイメージが強い介護のお仕事ですが、実際には利用者さんやそのご家族とのコミュニケーション、多職種のスタッフとの連携、さらには利用者さんの体調の変化への対応や、自身のアンガーマネジメントなど、精神的なストレスも多いのが特徴です。

このことから、介護職は感情の抑制等を伴う感情労働と、企画力や発想力が求められる頭脳労働両方の側面がある職種であると言えます。

●3.労働時間

施設のサービス形態等によって、夜勤や土日祝日等の勤務が必要な場合もあります。不規則な勤務時間であることに、体力的な負担を感じてしまう場合もあります。

一方で、シフト制であることから、決まった時間外で働くことは少ないため、事前にスケジュール調整が行えると、夜勤後の時間なども有効的に活用できるでしょう。

●4.緊急対応

介護の現場では、施設形態によっては看取りが必要だったり、利用者さんの急変や突発的な問題への対応があったりと、緊急時の対応が必要です。

これらの場面に勤務時間中に遭遇した場合、緊張感が非常に高まります。また、これらの緊急対応が、働く人によっては、大きな不安要素の1つになる可能性もあります。

【11種のサービス形態別】介護施設の特徴や、働きやすさのポイント!

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

ここまでは、介護業界全体を通した「楽」と言われてしまう理由や、大変な点について解説をしてきました。

次に、サービス形態別の特徴や、働きやすさを紹介します。サービス形態によってポイントが異なるため、自身の軸と照らし合わせながら、働きやすいサービス形態を見つけていきましょう。

1.特別養護老人ホーム(特養)

●特別養護老人ホームの特徴

1. 要介護3以上の高齢者が対象(比較的重度の方)
2. 長期入所が可能(お看取りをしてする施設が多い)
3. 24時間365日体制の介護を提供
4. 機能訓練や看護師、相談員など多職種が多く働いている
5. 様々な状態の方が入居しており、対応力が身に付く

●特養の働きやすいポイント

1. 24時間体制でシフト制が整っている
2. 介護職の数や多職種との協力により業務分散がしやすい
3. 長期入所者が多く、利用者との関係が築きやすい
4. 身体介護等の技術力の向上がしやすい
5. 多職種との連携から様々な知識が得やすい

2.介護老人保健施設(老健)

●老健の特徴

1. 要介護1以上の高齢者が対象
2. リハビリを重視
3. 在宅復帰を目指す
4. 医療ケアが充実
5. 短期入所も可能

●老健の働きやすいポイント

1. リハビリ専門スタッフや看護職員と連携がしやすく介護職員の負担が分散できる
2. 在宅復帰を目指すため、利用者の変化が見えやすい
3. 医療スタッフが常駐しているため、安心して働ける
4. ご利用者は3ヶ月と短期の方が多く、業務の変化がある
5. リハビリや医療的な知識が深まりやすい

3.グループホーム

●グループホームの特徴

1. 認知症高齢者が対象
2. 少人数制(9人以下)
3. 家庭的な環境
4. 24時間365日体制の介護
5. 日常生活の支援が中心

●グループホームの働きやすいポイント

1. 少人数制でご利用者との関係が築きやすい
2. 家庭的な環境で働きやすい
3. 24時間体制でシフト制が整っている
4. 日常生活の支援が中心で、医療ケアの負担が少ない
5. チームでの連携が取りやすい

4.サービス付き高齢者住宅

●サービス付き高齢者住宅の特徴

1. 自立した高齢者が対象
2. 施設入所ではなく在宅
3. 医療ケアは外部サービスを利用
4. 自由度が高い

●サービス付き高齢者住宅の働きやすいポイント

1. 自立した高齢者が多く、介護負担が少ない
2. 生活支援が中心で、医療ケアの負担が少ない
3. 外部サービスとの連携が取りやすい
4. 利用者さんの自由度が高く、柔軟な関わり方ができる

5.有料老人ホーム

●有料老人ホームの特徴

1. 自立から要介護まで幅広い高齢者が対象
2. 生活支援や介護サービスが提供される
3. 医療ケアが充実していたり高級志向だったり、施設によって個性がある
4. レクリエーションやリハビリも提供
5. 費用が高額になりやすい

●有料老人ホームの働きやすいポイント

1. 幅広い高齢者が対象で、業務の変化がある
2. 他の施設同様、医療スタッフもいるため、医療的な知識が得やすい
3. 施設内での業務が中心
4. レクリエーションやリハビリが充実しているため、利用者さんとの関係が築きやすい

6.デイサービス

●デイサービスの特徴

1. 日帰り利用が可能
2. 食事、入浴、排せつなどの介助
3. リハビリやレクリエーションが提供される
4. 送迎サービスがある
5. 利用者さんの社会参加、外出の機会の充実等が目的

●デイサービスの働きやすいポイント

1. 日帰り利用のため夜勤がない
2. 送迎サービスがあるため、利用者さんの移動がスムーズ
3. リハビリやレクリエーションが充実しているため、利用者さんとの関係が築きやすい
4. 利用者さんのご家族との関係が深まりやすい
5. 日曜日が休みの事業所もある

7.デイケア

●デイケアの特徴

1. 日帰りでの利用が可能
2. リハビリを重視
3. 医療ケアが提供される
4. 送迎サービスがある
5. 主治医の指示が必要

●デイケアの働きやすいポイント

1. 日帰り利用のため夜勤がない
2. リハビリ専門スタッフがいるため、介護職員の知識の幅が広がる
3. 医療スタッフが常駐しているため、医療的な知識も深まる
4. 日曜日の営業がない事業所がある

8.小規模多機能型居宅介護

●小規模多機能型居宅介護の特徴

1. 通所、訪問、泊まりの3つのサービスを提供
2. 柔軟な介護が提供可能
3. 包括的な利用料金
4. 顔なじみの関係が構築できる

●小規模多機能型居宅介護の働きやすいポイント

1. 利用者さんが固定されるため、人間関係が安定しやすい
2. 施設の方針によっては業務の融通が利きやすい
3. 介護度が幅広いため、経験を積みやすい
4. 身近な環境で長く利用者さんと関わることができる
5. 施設によっては夜勤が少ない

9.訪問入浴

●訪問入浴の特徴

1. 介護職・看護職がチームで入浴介助を行う
2. 短時間で効率的なサービスを提供
3. ほとんど同じチームで移動するため、多職種との関係が密になる
4. 利用者さんのご家族との関係が深まる
5. 入浴に特化したサービス提供

●訪問入浴の働きやすいポイント

1. 訪問時間が決まっているため、残業が少ない
2. 看護師と一緒に働くため、医療ケアの負担が少ない
3. 身体介護は入浴が中心で、業務がシンプル
4. 1人の利用者さんとの関わりが短い時間のため対人での悩みを抱えづらい
5. 夜勤がない

10.訪問介護

●訪問介護の特徴

1. 利用者の自宅で生活援助・身体介護を行う
2. 1対1の対応が基本

●訪問介護の働きやすいポイント

1. 1対1のケアなので人間関係のストレスが少ない
2. 訪問時間が決まっており、働き方の自由度が高い
3. 夜勤がないため、生活リズムを崩しにくい
4. 介護度に合わせて業務が決まっている
5. 施設勤務と比べて業務のペースを調整しやすい

11.短期入所(ショートステイ)

●ショートステイの特徴

1. 1泊2日からの短期間の宿泊のご利用者への対応
2. 特養や老健に併設されていることが多い
3. 要介護度が比較的軽度で身体介護が少ない利用が多い
4. 家族の介護負担の軽減として利用されることが多い
5. レクレーションやリハビリ余暇活動も提供される

●ショートステイの働きやすいポイント

1. 利用者が一定期間で入れ替わるため、気持ちのリフレッシュがおこないやすい
2. 身体的な負担が少ない
3. 介護計画が立てやすく、業務がルーチン化されている
4. 夜勤があるが、特養と比較すると要介護度が低い利用者さんが多い場合がある
5. チームで働くため、業務が分散されやすい

最後に:介護業界に関する正しい情報発信が大切!

ここまで、さまざまな視点で「介護業界は楽なのか」という疑問について考えてきました。

介護職は非常にやりがいのある仕事であり、利用者さんやそのご家族の生活を支える重要な役割を担っています。楽そうに見えても、その裏には多くの努力や苦労があり、その大変さとあわせて、やりがいや価値も正しく発信していくことが大切です。

さらに、介護過程を展開するための専門知識に基づいたアセスメントや、科学的根拠に基づいた実践を社会の中でさらに展開していき、この職業に対する正しい理解を広げていくことも重要です。

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