【相模湾キハダマグロ】「エビング」か「コマセ」か?釣果を出すための「時期別」攻略法
今年も相模湾にキハダマグロがやって来た。 年々チャレンジャーが増え、夢をつかむ人も増えている。秋本番を迎え、いよいよ最高潮のシーズンを迎えるこの釣りだが、昨年実に13尾ものキハダをキャッチしたエキスパート・yaccoさんが、ひと足早いタイミングで、その動向を探るべく出船した。
写真と文◎編集部
都心近郊のビッグゲーム
夏から秋にかけて、すっかり相模湾の風物詩となって久しいキハダマグロ。相模湾への回遊が確認された2007年以降、キハダマグロ釣り熱は沸騰し続け、特に2015年以降はねらう船宿も爆発的に増加。それでも週末ともなればどこも満船という人気ぶりだ。
藤沢市在住のyaccoさんも、基本は周年イカ釣りを楽しんでいたが、8月の解禁からイカ釣り船が続々とキハダマグロねらいになったことをきっかけに始めたところ、これほどパワフルな巨大魚が地元の海でねらえることに感動。その後は毎年釣行を重ね、これまでに40尾近いキハダマグロをキャッチしているという。
「去年は20回釣行して27~50kgを13尾キャッチしました。私はコマセ釣りが専門なので後半のほうが得意です。去年は10月に8回乗ってオデコなし。最高1日に3尾釣ったことも(笑)」 というから筋金入りだ。自身が手掛けるyaccoブランドのオリジナルデコレーションロッドは船宿で販売されるほど人気のローカルロッドでもある。
今回利用した茅ヶ崎港の沖右ヱ門丸では、10月5日にキハダマグロペア大会(特別協賛:シップスマスト、主催:スポーツニッポン新聞社)の開催宿ということもあり、大会本番の雰囲気をつかむための下見として、また、イベント当日は運営スタッフとして参加者をサポートするシップスマストの山口英樹さんと秋山明日香さんの2人はyaccoさんから釣り方を手取り足取り教えてもらうチャンスとして駆けつけたというわけだ。
山口さんはナブラ撃ちのキャスティングでキハダマグロを釣った経験はあるもののペア大会で行なわれるコマセ釣りでは掛けたことはない。秋山さんは今回が2回目のコマセマグロ釣りで前回はアタリもなかったという。
藤沢市在住のyaccoさんは地元の相模湾へのこだわりが強い。10年以上前から相模湾の顔として定着しているキハダマグロねらいはもはやライフワークのひとつ。去年は20回釣行して13尾キャッチ。うち3尾は1日で釣ったというからすごい
キハダがコマセに付くのは後半戦から
「私も釣りたいし、みんなにも釣ってほしいけれど、今日までの状況からすると、コマセで釣るのは至難の業です」 とyaccoさん。曰く、相模湾のキハダマグロ釣りは8月から解禁になるものの、開幕時はイワシなどのベイトフィッシュを追い回しているので、基本的にはナブラ撃ち、またはナブラが立たないときにはワームを使ったエビングが有利で、いずれにしても船首側のルアー組にチャンスはあるものの、船尾側のコマセ組がサオを曲げるのはかなり難しいというのである。
「シーズン初期のキハダはオキアミのコマセでは足止めできないんですが、年によっては8月後半からマグロが突然、オキアミを食いだすこともあるんでそれに期待していましたが、今のところまだオキアミを食いだしていません。ナブラも少ないようなので、釣れるチャンスが一番高いのはエビングだと思います」
通常、エビングはスピニングタックルを使用し、シンカー代わりにロングジグを使い、リーダー先端のフックにワームをセットしてねらうのだが、今回は変則的にコマセ釣り用の電動タックルのまま、片テンビンにシンカーをセットしてのエビングに挑戦。 コマセ釣りで年間何尾ものキハダマグロをキャッチしているyaccoさんだからこそ、オキアミで足止めできないときのエサ釣りの厳しさをよく知っているのだ。
「ナブラ撃ちも一段落してきて、固まっていた群れが沈んできたらソナーで群れを見つけて先回りする『追っかけ』の釣りが主流になります。魚の移動が速いのでドっとコマセを撒いたらチャンスは1回。しっかりコマセと同調させるためにハリスは短めにします。多分、今日はこの段階だと思いますが、やっぱりコマセでは足止めできないと思うのでエビングを選択します」
この追っかけが一段落すると、固まっていた大きな群れは広範囲に点在するようになるという。
「去年は魚が多くてどこでもマグロの群れがあったので大きな船団ではなく小さな船団が各地に点在していました。この頃になるとマグロはオキアミをしっかり食べるようになるので、乗客全員でビシダナを合わせて、コマセも一気に撒くのではなくパラパラと撒いてマグロがらせん状にゆっくり食い上がって来るのを待ち構える釣りになります。こうなるとじっくりと待つ釣りになりますからハリスは8m以上、時には10m以上のロングハリスが有利になります」
普段はオキアミを撒いて付けエサのオキアミを食わせるコマセ釣りを得意にするyacco さんだったが、苦渋の決断で電動タックルのままコマセビシをオモリに替え、付けエサもオキアミからワームに替えたエビングを選択
エビングはシンカーの代わりにロングジグを使用して指示ダナの下から上までスローに誘い上げる。シーズン初期はコマセ釣りよりもヒット率が高いことからどの船もミヨシではこの釣りをしている
コマセの達人たちもシーズン初期はエビングを選択
自信も思い入れもあるコマセ釣りを選択せず、コマセ用の電動タックルを流用してのエビングは、スピニングタックルでの通常のエビング以上に重く、終日の誘いはかなりの重労働だが、3人は休むことなく朝から誘いを入れ続ける。 とはいえ朝は群れ探しの時間が多く、投入機会は少な目だった。
「群れは巨大なのがいます。黒潮の大蛇行が終息して相模湾にキハダが来なくなるの?っていろんな方から聞かれますが、すでにたくさん来ています。ただ、例年以上にオキアミを食いだすのが遅れている感じ。それでもいつか食う、今日から食うと思ってコマセを撒くしかないんだけど、やっぱりエビングが多いとさらに足が止まりません。まあ、これからですよ。去年もこんな感じでしたけど、流し釣りが始まってから400本釣れましたから10月5日のキハダマグロペア大会のときはバリバリに食っているんじゃないですか」 とは舵を握った5号船の木村康弘船長。
しかし初期はエビング有利というのは間違いないらしく、この日、ミヨシでエビングとトップのキャスティングでねらっていた大常連の松尾実さんも毎年、50回はキハダねらいで乗船するというが、やはり釣果のほとんどはコマセ釣りによるものという。
「3日前の日曜に21kgちょっとのを釣りましたがエビングでした。コマセで釣りたいけど、やっぱりまだ始まらない」
松尾さんは昨年21尾のキハダマグロを釣り、同船の本数部門で1位になったほか、一昨年には93.62kgという相模湾レコードも樹立している。yaccoさんもそうだが、このようなコマセ釣りの鉄人が揃ってエビングを選択するところに、このシーズンならではの難しさを物語っている。
その後は、シーズンが進むごとにヒットする回数も増え、10月前半にはキハダが船中30本近く上がる日も。都心から1時間半で挑むことができる相模湾のビッグゲームに乗り遅れご注意だ。
コマセ釣りならオキアミを撒いたらロッドをキーパーに置いて待つ釣りだが、電動エビングはそうはいかない。ヘビータックルを終日手持ちで誘い続けたyacco さんには脱帽だ。今頃は心置きなくコマセを振っているはず
シップスマストの船釣りおすすめアイテム
最後に今回の取材でも着用した、シップスマストのおすすめ新作アイテムをご紹介。
キハダマグロに限らず、この時期の沖釣りの最適コーデで決めた3人。涼しく、動きやすく、濡れにくい重ね着と軽くてクリアな視界の確保に注目
ノーズパッドを排除したAirFlyデザインを採用した高性能偏光グラス
今回3人が着用していたのが、「Shipsmast」「SHIPSMAST.U」と国産眼鏡フレーム生産の最先端で、眼鏡の聖地と呼ばれる福井県鯖江に本拠を構える「AirFly®」とのコラボレーションで誕生した新たな偏光グラスだ。釣りをするうえでの快適性と高性能を追求した特別なモデルで、ノーズパッドを排除してサイドパッドを採用したAirFlyデザインにより、軽量でズレにくく、長時間の着用でも快適なフィット感を実現。また、日焼け止めやメイクがノーズパッドでとれることもなくなった。 そしてコンベックス社製のレンズは、偏光度99%を誇り、可視光線透過率は15%。この特性により、さまざまな条件下でも反射光を効果的にカットし、クリアで歪みのない視界を提供する。
製品名: Shipsmast×.U偏光グラス
種類: クリアブラック×ブラウン、クリアピンク×ブラウン、クリアピンク×グレー、クリアブラック×グレーの4種類(フレーム2色、レンズ2色の組み合わせ)
価格: 3万3000円(税込)
ノーズパッドを排除してサイドパッドを採用したAirFly デザイン。「少し前から使っていますが、本当に軽くて快適。偏光レンズもとっても見やすくて過去イチで気に入っています」とyacco さん
軽量でファッショナブルなユニセックス設定のPVCハーフパンツ
夏を中心にした春から秋にかけて、快適さを求めるならハーフパンツとUVカットレギンスの組み合わせの出番が多い。しかも、しぶきがかかって濡れたデッキの上に座ったり立ち上がったりを繰り返す釣りでは、水を通さないPVC素材が嬉しい。 定評を得ている女性用ブランド「Shipsmast」のマリンウエアと同様、0.3mmの軽量素材を使用し、ウェルダー縫製により縫い目からの浸水も心配なし。男女兼用のユニセックスで、より多くの方のボディラインにフィットする形状に進化させている。しかも体型に合わせ調整可能なウエストゴムベルト付き。 裾の熱圧着部をハサミでカットすることで、気になる丈が2段階で調整可能に。サイズを合わせるのはもちろん、裾がほつれてきた際にカットをし、また新たに使用可能。
製品名:PVCハーフパンツ
カラー: ネイビー、カーキ、ベージュ、レッドの全4色
サイズ: S、M、L、LL、3Lの全5種類
素材: 表面はポリ塩化ビニール100%(PVC)、裏面はポリエステル100%
価格: 1万1880円(税込)
男女兼用のユニセックス。濡れたデッキで座っても水を通さないPVC素材。UV カットレギンスと組み合わせたい
※このページは『つり人 2025年11月号』掲載の記事を再編集したものです。