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【野菜が高い!】主因は昨夏の猛暑などによる出荷量減。「キャベツショック」に消費者はどう対応したらいい!?

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「野菜が高い!」。先生役は静岡新聞の川内十郎論説委員です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2025年1月28日放送)

(山田)今回はまず、テーマへのメッセージが届いているので紹介します。「需給のバランスが崩れている。まさに天候に振り回されている」「農家としては肥料や資材への消費税が悩み」などの声があります。

(川内)野菜の高さには驚きます。

(山田)高いですねー。

(川内)平日はほぼ毎日スーパーに行く“生活系論説委員”としての私の実感では、昨年秋頃から、特に葉物野菜の値上がりが顕著になった気がします。いつもなら100円台や高くても200円台のキャベツやレタスが400円を超えた時は目を疑いました。

(山田)“生活系論説委員”、いいですね。知り合いのレストランは葉物が高すぎてサラダをやめました。

(川内)農林水産省の調査で1月中旬の全国平均小売り価格は、調査対象8品目すべてが平年より高かったです。特にキャベツは約3.4倍の1キロ当たり553円。2010年の調査開始以来の最高値を更新しました。

キャベツは1玉1キロ程度なので500円超えです。ハクサイは2.5倍、レタス74パーセントアップなどとなっています。ハクサイはキャベツの高騰で代替需要が高まったようです。

(山田)3.4倍、500円超えか…。

(川内)原因は、産地が昨夏の猛暑や昨秋の日照不足などに見舞われ、生育の遅れや品質不良が起きたことによる出荷量の減少です。今後、気候などによる主産地の移動もあり、JAは産地間の連携で安定供給につなげたいとしていますが、年明けに大雪をもたらした日本海側の寒波の影響も考えられ、野菜の種類にもよりますが、予断は許しません。

肥料や燃料、農機具の価格上昇など生産コストが上がる中、政府はコストの価格転嫁を促す法律の制定を目指していて、中長期的な価格上昇につながる可能性もあります。

(山田)寒波への懸念もあるんだ。

「キャベツショック」

(川内)特に値上げ幅が大きく、影響が広がっているのがキャベツで、「キャベツショック」とも呼ばれています。日本人が年間1人約6キロを消費するなじみ深い野菜で、外食でも「これがないと」というメニューがたくさんあり、お店はやりくりに苦労しています。昨年12月には、磐田市で畑から45玉が盗まれるという事件もありました。

(山田)磐田のキャベツは食感の良さなどが有名ですよ。

(川内)よくご存じですね。キャベツを使った料理でまず頭に浮かぶのは、お好み焼き。特にキャベツいっぱいの広島風は大変のようです。焼きそばもキャベツは不可欠。今まで捨てていた外側の葉を洗って使い、芯もギリギリまで無駄にしないなど、値段を変えないための涙ぐましい努力も聞きます。

コナモンは小麦粉の高騰もあります。とんかつと言えば、付け合わせはキャベツ。サラダバーの野菜は規格外を使って乗り切ろうという店も。「野菜マシマシ」のラーメンでは、モヤシとキャベツの比率を変えてしのいでいるという話もありました。山梨の「吉田うどん」もキャベツが必須で、苦労しているようです。チャンポン麺の店も例外ではないとのこと。

(山田)コナモン+キャベツ。お好み焼きは一番大変ですね。

(川内)値段を上げたり、量を減らしたりしたらお客さんが離れてしまう。特に常連さんは敏感ですからね。

(山田)それ、分かります。

(川内)昔のフォークソングの歌詞で「キャベツばかりをかじってた」というのがあるのですが、聞いたことありますか?

(山田)ん?

(川内)かぐや姫の「赤ちょうちん」という歌。貧しさを表現する歌詞ですが、今、毎日キャベツをかじっていたらお金がもたない。

(山田)高級品ですからね。

消費者としての自衛手段は

(川内)では、家庭でのやりくり、いわば「家計の自衛手段」としてはどうしたらいいのでしょうか。これは、わが家でも大きな課題です。いつも夕方に妻から「帰りにこの材料買ってきて」とメールが入るのですが、野菜の高騰で、スーパーの棚の前で悩むことが多くなりました。

(山田)目に浮かびます。

(川内)目当ての野菜が売り切れの事もあり、私も「代わりの野菜」の知恵はだいぶついたつもりです。しかし先日、私も大好きなうちの定番メニュー「レタス鍋」の材料だったので、「これはマスト」だなと小玉ながら400円超えのレタスを思い切って買いましたが、こういう場合はメニューの総取っ換えもありですよね。

ホイコーローをチンジャオロースーにするような。買い方では、少量で手軽さもあるカット野菜や千切りキャベツを選んだり、冷凍のミックス野菜やブロッコリーにしたりという手も。

(山田)僕もカット野菜を良く使いますよ。

「置き換え」や「値頃の野菜」で

(川内)基本は「置き換えレシピ」や「値頃の野菜」を使うということです。青果店主によると「キャベツ、レタス、ハクサイが全部高いことはない」とのこと。例えば鍋料理などで、いつもの野菜を、その時に安い野菜に置き換えるなど。

(山田)全てが高いことはない、というのはいい情報。ここでメッセージを紹介します。「家庭菜園のカブやダイコンは小さいながら取れるようになった。家計が助かっている」「野菜高騰すさまじい。全て上がっている」「給料を保障するなどして農業後継者を育成しないと」…。

(川内)「値頃の野菜」で私の一番のおすすめはコマツナ。鉄、カルシウム、ビタミンが豊富。年中出回っていて、価格も安定していて、特に冬は旬。養分を蓄えて茎が太くなっています。

個人的にも思い入れがある野菜で、三島支局の時に取材で知り合ったエキスパートの農家がいて、その方は東京の一流店にも卸しているのですが、主力産物がコマツナ。畑に行ったこともありますが、本当においしい。

コマツナは生でもいけて、その方に教わった素材を生かしたシンプルな一品が「塩こんぶあえ」です。山田さんも最近おつまみを自分で作るようですが、レパートリーに加えたらいかがですか。

(山田)コマツナ、いいですね。この前、静岡市・久能の農家さんにカリフラワーをいただいて、粉チーズを振って焼いたらおいしかった。

(川内)私も好きです。あと注目されているのが「豆苗」(とうみょう)。エンドウ豆の若菜で、1パック100円以下で買えます。ミネラル、ビタミンなど栄養が豊富。何といっても「再生」できることがすごい。切り取った後の“土台”を別容器に入れて、日に当たる所で毎日水を替えれば、一週間ほどでまた、生えてくる。私もやったことがあります。ネット情報では「3回はいける」という話も。

(山田)豆苗、知っています。キッチンで再生させている方の話も。ごま油で炒めて、塩味かな。

(川内)これは私の話ですが、野菜の代わりにワカメを使うという手もあります。出身が県中部の海沿いで、今年の正月にも実家から「塩ワカメ」をもらいました。水で戻してサラダなどで重宝しています。

(山田)ワカメサラダか。「乾物もいいですよ。切り干しダイコンなど」というメッセージも来ています。

やりくりを「楽しむ」

(川内)長期的に考えれば、気候変動への対応が重要ではないでしょうか。猛暑への対処では特に水管理。リスクを減らすために、生産地をさらに分散させるという方法もあるでしょう。コメのように高温対応の品種改良を進めることも必要です。

(山田)産地を分散させ、日本全体で支えるということか。

(川内)私たち消費者としては、懐が痛い話でもありますが、先ほどの「置き換え」や「値頃の野菜を使う」というような、「工夫を楽しむ」姿勢で乗り切りたいと思います。

(山田)「楽しむ」か。素晴らしい。

(川内)ポジティブに考えた方がいいですね。「食の豊かさ」や「料理の懐の深さ」など新しい発見もあるかもしれません。最後に、貴重な野菜を鮮度良く保存するには、適度の通気性と保湿性がある新聞紙で包むのがお薦めということもアピールしておきたいと思います。

(山田)野菜の高値、工夫を楽しんで乗り切りたいですね。ラジオをお聞きの農家の皆さんも大変でしょうが、頑張ってください。今日の勉強はこれでおしまい!

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