人類が生み出した地球の至宝!ABBAの最新ベストアルバム「ザ・シングルス」は宇宙レベル
スウェーデン出身の世界的スーパースターABBA
20世紀以降におけるスウェーデン出身の世界的スーパースターといえば、アバ(ABBA)の右に出るものはいない。2021年にリリースされた新アルバム『ヴォヤージ』リリースと、それに伴うヴァーチャル・コンサートの老若男女を巻き込んだ狂騒は記憶に新しいところだ。
アバ出現より少し前にスウェーデン出身アーティスト初の全米1位となった「ウガ・チャカ」を残したブルー・スウェード、そしてポスト・アバの最右翼だった究極のポップ男女デュオ、ロクセット。さらには男女2人ずつという構成がアバと比較されがちだった1990年代にヒット連発のエイス・オブ・ベイス。スウェディッシュポップのブームをけん引したカーディガンズ。EDMムーヴメントの先頭に立ちながら若くして急逝したアヴィーチー。
ここ50年間でポップミュージック界を席巻したスウェーデンのアーティストたちが束になってかかっても、アバというモンスター級グループの深く根強い世界的人気には到底適わないと言っていいだろう。
世界に認知されているモンスター級のヒット曲「ダンシング・クイーン」
さて、数多あるアバのヒットソングの中でも、国境を超えて老若男女に訴求する最大の代表曲といえば「ダンシング・クイーン」だろうか。世代・国境・人種を越えて、それこそ世界に認知されている大衆音楽史上最大といってもいいようなモンスター級ヒット曲だ。
筆者がよく妄想していることがあって、もし地球外知的生命体に遭遇した時に "地球上において万人に訴求する大衆音楽とは?“ と問われたら、黙って「ダンシング・クイーン」を聴かせればいいのでは… なんて思わせてくれるほど、この曲はロックンロール誕生以降のポピュラーミュージック激動時期に生まれた奇跡的1曲のひとつであると断言していい。そんな歴史的逸品を残しているグループという意味でも、アバの存在意義は永遠に見出せるのではないだろうか。
ダンスフロア・アンセムとなった「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」
ところで日本において「ダンシング・クイーン」は、ダンスフロアで重宝した楽曲というイメージが強いかもしれないが、厳密にいうと “ディスコ(ビート)” 作品ではない。アバがディスコ時代(1970年代後半)のムーヴメントを明確に意識してリリースした曲は「サマー・ナイト・シティ」、「ヴーレ・ヴー」、マドンナ「ハング・アップ」のサンプリングソースとしても有名な「ギミー・ギミー・ギミー」といった真性ディスコソングがあげられる。また、日米においてはメジャーヒットの部類ではないが、1981年にリリースされた「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」の存在も大きい。
欧州においては驚くほどにダンスフロア・アンセムとして機能した作品で、アバ全盛期の実働期間(およそ1970年代中盤に差し掛かるころから1980年代中盤になるころまでの約10年間)後にその評価が上昇し定着した、ちょっと特異な立ち位置にあるような楽曲である。アメリカではビルボードの “Hot 100” には入っていないものの “ディスコチャート” では1位となっていたことも、そんな特異な背景を如実に物語っているのではないだろうか。
1970年代の典型的な万国共通クオリティ高き最大公約数作品を続々とリリース
アバというモンスター・グループが形作られた過程には、唯一全米ナンバーワンとなった「ダンシング・クイーン」前後、彼らの最大コアな超全盛期といえる1970年代における間断のないコンスタントなヒット曲群の存在が大きく寄与している。それらヒット曲群たちが「ダンシング・クイーン」とまでは言わずとも、ポップミュージックが確立された1970年代の典型的な万国共通クオリティ高き最大公約数作品として、アバのイメージ作りに大いに貢献していたのは間違いない。初の世界的ヒット「恋のウォータールー」全米6位を皮切りにーー
「SOS」15位
「アイ・ドゥ、アイ・ドゥ」15位
「マンマ・ミーア」32位
「悲しきフェルナンド」13位
「ダンシング・クイーン」1位
「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」14位
「マネー・マネー・マネー」56位
「きらめきの序曲」12位
「テイク・ア・チャンス」3位
「ダズ・ユア・マザー・ノウ」19位
「チキチータ」29位
などなど、2024年において50代後半以降の “アバ世代” はもちろんのこと、より若い世代でさえも1曲や2曲は耳なじみとなっているヒット曲に出会えるのではないだろうか。1980年代に入っても「ザ・ウィナー」8位、「スーパー・トゥルーパー」45位、「ホエン・オール・イズ・セッド・アンド・ダン」27位、などの世界的ヒットを残している。
究極のベストアルバム「ザ・シングルス」
さて、アバは上記のヒットシングル作品に、「恋のウォータールー」以前の初期シングル曲や、「アイ・スティル・ハヴ・フェイス・イン・ユー」「ドント・シャット・ミー・ダウン」といった最新アルバム『ヴォヤージ』(2021年)からのシングル楽曲までをも含む、本国スウェーデンでリリースされたすべてのシングル曲を収録した世界デビューの50周年を記念した特別企画盤『ザ・シングルス』を2024年10月25日にリリースした。これは “一家に1セット” レベルの究極のベストアルバムだ。秋冬の満天の夜空を眺めながら、人類が生み出した地球の至宝を耳にすれば、きっと地球外知的生命体たちも友好的な気分になることは想像に難くない。