明治期に神戸で創業した巨大商社『鈴木商店』の創業地が特定されたみたい。ドラマ・舞台化もされた激動の社史
明治期に神戸で創業し、日本を代表する総合商社に発展するも、昭和初期に破綻した『鈴木商店』。中央区栄町通にある「神戸中央郵便局」周辺が本店跡地とされていましたが、研究を進めた結果、創業地が特定できたそうです。神戸市中央区栄町通7-1-1
日本を代表する総合商社、当時の売り上げは現在の「50兆円」
鈴木商店は、神戸港が開港して数年後の1874(明治7)年に、神戸市・弁天浜で「洋糖引取商」として創業。急成長を遂げ、10年ほどで「神戸有力八大貿易商」に発展しました。
そんななか、創業20年後に創業者 鈴木岩治郎さんが急死。妻の鈴木よねさんは廃業せずに、後に「財界のナポレオン」とも呼ばれた大番頭 金子直吉さんや柳田富士松さんとともに再出発したそうです。
再出発した鈴木商店の奮闘を描いた小説「お家さん」や、この小説を原作としたドラマが制作され、数年前に舞台化もされています。
軽工業、重工業を中心に事業を拡大し、のちの「神戸製鋼所」などにつながる事業会社の設立・買収を進めるなど、約80の事業会社を興したそうです。
1917(大正6)年には日本を代表する総合商社に。当時の売り上げは現在の価値では50兆円規模で、当時の国民総生産(GNP)の1割にあたるほどだったんだそう。
このように明治から昭和にかけて日本の近代化の礎を築き、食品・繊維・化学・鉄鋼・造船などの分野で、日本の製造業の発展に大きな功績を残した企業でした。
創業地は「栄町通4丁目」、2027年のモニュメント建立目指す
鈴木商店ゆかりの企業OBらでつくる親睦組織「辰巳会」は、鈴木商店を歴史を写真や資料で知ることができるWebサイト「鈴木商店記念館」を2014年に開設しています。
同会は今年7月、「鈴木商店創業150周年」と「鈴木商店記念館開設10周年」を記念した集いを開催。
同会によると、鈴木商店が事業を始めたとされる当時の「弁天浜」が、現在の中央区海岸通と栄町通にまたがっていたことがわかり、研究を進めたところ、創業地は現在の「栄町通4丁目」にあったと特定できたのだとか。
地下鉄海岸線 みなと元町駅の周辺が「栄町通4丁目」で、本店があった場所として2017年に建てられた「鈴木商店本店跡地の碑」からは、栄町通沿いを東に歩いて7分ほどのところになります。
同会は、神戸開港160周年となる2027年に「鈴木商店創業の地」モニュメントの建立を目指すほか、2025年には講談「鈴木商店 知られざるその後」(仮題)を披露する予定なんだそうです。
かつて神戸にそんな大企業があったんだ、と驚いた人も多いのではないでしょうか。鈴木商店の流れをくみ、現在も続いている企業は多いですが、昭和当時に破綻せずに存続していたらもっと大きな企業になっていたのかもしれませんね。