テレワーク導入する事業所はわずか1割、勤務間インターバルは8割近くが導入予定なし 厚労省調査
厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(荒木尚志分科会長)が3月27日に開かれ、多様な働き方に対応した労働基準法の見直しについて議論が行われた。
この日は、労働基準法改正を検討するための基礎資料となる「労働時間制度等に関する実態調査」の概要が示され、テレワークの導入事業が1割程度である実情などが報告された。
フレックスタイム制、9割が「導入していない」
調査は2024年9月21日から10月21日にかけて実施され、4921社の事業所と5505人の個人から回答を得た。「時間外労働時間」「年次有給休暇の取得状況」「連続勤務の状況」「テレワークの実態」などを調査した。
フレックスタイム制度の導入では、全体の9割近い事業所(89.0%)が「導入していない」と回答したが、事業所規模によってフレックスタイム制度導入の比率に開きがあった。
従業員が10人から29人の規模事業所では90.7%、従業員が30人から49人の規模の事業所では90.6%が「フレックスタイム制度を導入していない」と回答したが、300人を超す事業所でフレックスタイム制を導入していない事業所は60.5%まで低下した。
勤務間インターバル、事業所の8割近くが「導入予定はない」
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル」については、「制度はなく、今後も導入の予定はない」が42.4%と最も多く、「制度はないが、9時間以上のインターバルを確保できないような長時間労働を行う労働者がいないため、導入する必要がない」(37.4%)と合わせて8割近い事業所が導入を予定していなかった。
「全労働者を対象に導入している」は7.5%、「一部の労働者を対象に導入している」は1.5%で、「制度はないが、今後導入する予定があるまたは導入を検討している」(6.1%)と合わせて、勤務間インターバル制度を導入済み、あるいは今後導入予定の起業は1割程度となった。
また、導入済みの事業所に「例外的に勤務間インターバル制度を使用しなくてもよい場合」を聞いたところ、「災害等によりやむを得ず対応が必要な場合」(44.2%)が最も多く、「業務上のトラブルによりやむを得ず対応が必要な場合」(34.5%)、「労働者自身の都合や業務状況に応じて労働者が個々に判断する場合」(28.4%)、「繁忙期の場合」(18.9%)と続いた。
テレワーク、勤務時間の把握・管理に課題
調査では自宅など、事業所以外の場所でIT技術を利用して勤務するテレワークの導入についても調査を行った。
全事業所の合計では10.1%の事業所でテレワークを実施していたが、企業規模の大きな300人から499人の事業所で23.3%、1000人以上の事業所で25.9%と平均を上回ったものの企業規模が500人から999人の事業所では11.7%で平均並みの導入となった。
また、調査では「テレワークを行う労働者について労働時間を算定しがたいとき」についてもアンケートを実施した。
「始業・終業が自由であり、実際の労働時間を把握・管理できないとき」が29.9%で最も多く、「外回り等で業務の具体的な遂行方法を本人に委ねているとき」(17.4%)、「通信機器等は携帯させているものの、即時に応答をすることを求める運用とはしていないため、随時労働者と連絡が取れないとき」(9.6%)「通信機器の携帯を義務付けておらず、労働者の連絡が取れないとき」(3.2%)と続いた。
厚生労働省の発表の詳細は同省の公式ホームページで確認できる。