文豪・森鴎外の『舞姫』全編を自筆手書き原稿で読む、草稿複製全28枚一挙展示<文京区立森鴎外記念館>
文豪・森鴎外の小説『舞姫』は、ドイツから船で帰国途中の青年・太田豊太郎による回想という形をとり、官僚として派遣されたベルリンで出会ったエリスとの恋、自分の学問や将来などを巡る葛藤や悩みとともに、帰国に至ったいきさつが描かれている。
それまで、論文や外国文学の翻訳などを主に執筆してきた鴎外にとっては、創作小説の第一作目で、1890年(明治23)1月に雑誌「国民之友」に発表したものである。
1957(昭和32)年以降、高等学校国語科の教科書に取り上げられてきたことから、森鴎外という作家を『舞姫』という作品とともに記憶している人も多いことだろう。
文京区立森鴎外記念館で開催する コレクション展「小説『舞姫』をよんでみよう!」では、鴎外の生前に『舞姫』が掲載された雑誌や書籍のほか、創作の背景にあった鴎外自身のドイツ留学や当時の反響などに関連する館蔵資料が展示される。さらに、「国民之友」で発表される直前の1889(明治22)年末に執筆した自筆草稿(複製)全28枚も展示。草稿には随所に推敲の跡が残っており、その手跡からは発表直前まで文章を練り続けた鴎外の姿が垣間見える。複製だからこそ実現できる草稿の一挙展示である。名作『舞姫』全編を手書き文字でよみ、鴎外が吟味を重ねた言葉に注目したい。
▲ベルリンにて 1888(明治21)年の森鴎外26歳。ドイツ留学中に撮影されたもの(左)。「国民之友」69号 1890(明治23)年1月『舞姫』の初出誌。新作小説を紹介する「藻塩草」欄に「鴎外森林太郎著」の署名で掲載された。(右)
▲『森鴎外自筆 舞姫草稿』(複製) 跡見学園女子大学刊 原寸大の複製。原資料の加除訂正が確認できる。
コレクション展「小説『舞姫』をよんでみよう!」
会 期:2025年7月4日(金)~9月30日(火) 計83日間
休 館 日:7月22日(火)・23日(水)、8月25日(月)・26日(火)、9月24日(水)・25日(木)
開館時間:10時~18時(最終入館は閉館30分前まで)
※ 7月9日(水)は9時より開館、8月2日(土)は20時閉館
会 場:文京区立森鴎外記念館 展示室2 (東京都文京区千駄木1-23-4)
お問い合わせ:TEL 03-3824-551
HP:https://moriogai-kinenkan.jp/
関連イベントとして、8月30日(土)須田 喜代次氏(大妻女子大学名誉教授、森鴎外記念会会長)による講演、9月7日(日)、14日(日)には、内木 明子 氏(朗読家、早稲田大学・相模女子大学非常勤講師)による「『舞姫』を朗読する」のワークショップも予定されている。