学校規模適正化等検討部会 斎藤分小は存続へ 二谷小は単独建替えに
横浜市教育委員会による「斎藤分小学校・二谷小学校建替えに伴う学校規模適正化等検討部会」の第6回会合が9月19日、神奈川区役所で行われた。その結果、両校は統合を行わず、斎藤分小は当面存続、二谷小は単独建替えを行うべきとの意見書案がまとまり、2021年から続いた議論は一つの区切りを迎えた。今後、市教委が正式判断を行う。
これまでの流れ
横浜市は「横浜市立小・中学校施設の建替え等に関する基本方針」や「横浜市立小・中学校の通学区域制度及び学校規模に関する基本方針」をもとに、築年数の古い学校から建替えの検討を行っている。また建替えを行う際は、隣接する小規模校の適正規模校化(学校統合)の検討を行うとしている。
二谷小学校は一番古い棟が今年度で築68年と市内で最も古く、現在の児童数は約420人。横浜市は12〜24学級ある学校を適正規模校としているが、近隣にある斎藤分小学校は一般7学級・個別支援2学級の計9学級で児童数は202人。小規模校に指定されている。
そうした現状から、横浜市は二谷小の建替えとそれに伴う斎藤分小の学校規模適正化の検討を開始。2021年7月に地域住民や保護者に向け説明会を開催した。
その後、市教委が事務局となり地域住民や保護者の代表者ら21人からなる検討部会が発足。同年11月に初回会合を行った。4回目の検討部会終了後には、斎藤分小学校に関係する学校統合への不安点を集中的に議論する意見交換会が昨年1月と6月に開催された。
青木小の教室不足が浮上
そこから1年近く経った今年3月に開かれた第5回検討部会では、両校と学区が隣接する青木小学校が、今後周辺の大規模住宅開発により児童が増え、不足教室対策の検討が見込まれることから、学区見直しの可能性があることが新たに事務局から示された。
一方この間、大学名誉教授を代表とする団体が統廃合に反対する集会などを開催。また別の団体による廃校反対を訴えるポスターが地域内に掲示されていた。
結論は
今回の第6回検討部会では、前回説明された青木小の不足教室対策について、市教委の推計では同校学区内で今後約1200戸の住宅増が見込まれることや、同校の学校運営協議会から教育委員会に「あらゆる手段を検討した上で対応案を示してほしい」との趣旨の意見書が提出されたことが報告された。また事務局に寄せられた、学校統合に賛成・反対それぞれの意見が紹介された。
その上で事務局から委員に対し、今後青木小の学区見直しが行われた場合、児童数増により斎藤分小が適正規模校となる可能性があることから「両校は学校統合を行わず、斎藤分小は当面存続、二谷小は単独建替えに着手すべき」という趣旨の提案がされ、部会は「統合については中止の形を採るのが最善」と賛成多数で承認した。
その後事務局から示された意見書案の文言についての議論が行われ、約3年続いた検討部会はその役割を終えた。
今後の動き
今後は取りまとめた意見書を、検討部会が市教委の附属機関にあたる学校規模適正化等検討委員会に提出。検討委で市教委への答申書を作成し、これに基づいて市教委が最終的な方針を確定することになる。
一方で意見書案には、斎藤分小について一番古い校舎が築70年を迎える約10年後をめどに改めて学校の在り方を検討する提案が明記された。また二谷小に関しては、現在の学級規模で推移する場合は体育館はそのままで校舎のみを建替えることが市教委から示された。
これに対し二谷小関係者の委員からは「防災拠点として考えると体育館をそのままとするのは賛成できない」、斎藤分小関係の委員からは「そもそも小規模校に対して適正化を行う必要性があるのか」といった趣旨の意見があがった。