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50代転職の壁は「給料の高さ」「勤続年数の短さ」。人生の企画書を書くことで、弱みが強みになる?

新しい働き方メディア

この数年で50代前後の女性の転職数が増えています。一方で、自分には「強みなんてない」「特別なスキルがない」と考えて、鬱々としながら現状に留まるキャリア女性は少なくありません。

電通のコピーライターで『マイノリティデザイン』の著者でもある澤田智洋さんは、「弱さがあるからこそ良い仕事ができる」といいます。ロングインタビューから弱みを強みに変える方法にテーマを絞ってお伝えします。

強みの経歴とスキルがあっても苦戦するリアル

「この年で転職なんてもう無理」「でも、今の会社に勤め続けて再雇用されても先が見えている」と未来を悲観する人がいる一方で、一念発起して転職活動を始めた50代が理想の働き方を手にしているかというと、こちらもやはり苦戦している人が多いのが現状です。

厚生労働省の調査によると、全世代の平均有効求人倍率が1.3倍のところ、50代は約1.1倍と低く、求人に対して応募者の年齢が35歳未満なら「積極的に採用を強化したい」と考える企業は43.5%ですが、45歳以上~55歳未満では3.1%、55歳以上になると1.0%にまで下がります。

50代の転職が困難になる理由としては、希望年収が高すぎることや勤続年数が短いことなどが挙げられ、これまでの経歴やスキル、強みがいかに華々しくとも苦戦する人が少なくないといえます。

自分の強みが使えないという課題に対し、コピーライターの澤田智洋さんは、

「自分の人生の履歴書を書く

「弱みやできないことを堂々と1枚のカードとして出す」

「会社を辞めずに今の仕事をブラッシュアップする」

という3つを提案します。

自分の人生の企画書を書いてみる

会社を辞めたくなったとき、転職を考えて今まで自分が知っている強みを土台に、履歴書を書き始めるよりも、先にやることがあると澤田さんはいいます。

「とにかく自分と向き合うこと。自分のことを静かに見つめる機会は、自然には生まれてきません。だから、ちょっと不自然ですが、自分に対して企画書を書いてみることをおすすめしています。自分をクライアントにし、これからの10年の生き方を提案するのです」(澤田さん)

企画書のタイトルは「自分がどう生きるのか」を示唆するものをつけることから始めるようにします。澤田さんが、以前自身に対して作った企画書でつけたタイトルはストレート。「澤田智洋がよりクリエイティブに働くためのご提案資料」だったといいます。

自分に対する企画書を書くためには自分を知ることが大切です。

「自分のこれまでの人生で、一番喜んだこと、起こったこと、悲しかったこと、楽しかったこと、つまり喜怒哀楽を可視化するのをおすすめします。この4つの因子によってあなたの人生が姿を現します。楽しかったことや喜びから『この経験をもっと伝えたい』と考えたり、悲しみや怒りから『こんな思いをする人を減らしたい』と考えたりしてみる。そこには必ず、新しい仕事を生み出すヒントがあります。」(澤田さん)

自分の喜怒哀楽を土台にして、企画にしていきます。これらを書き始めた時には、自分がなぜ今の職場が嫌なのか、将来になぜ不安を抱えているのか、そして、自分が人生の中で何に喜びを感じるのか、など、漠然としていたものがクリアに見えてきているはずです。

「弱み」「できないこと」を味方にする

さらに、自分の強みを発掘し、それを発揮し、仕事にしていくために必要なことは「弱み」を活用することだという澤田さん。

「僕は自分の中にある「強み」だけでなく、「弱み」をフル活用して仕事をしています。強みだけで仕事をしていくのには限界があるし、弱みは自分らしさ。だから、無理に克服しなくてもいい。弱み……つまり個人のコンプレックスと向き合うと、自分もまたマイノリティ(少数派)の当事者であることを自覚することができます。そうすると、自分を「クライアント」として捉えられるようになりますよね。「自分のために何ができるか」を考えられるようになるわけです。自分のコンプレックスを、既存の社会を変えることで解決する方法を考えるんです。これが、新たな仕事の創造につながります」(澤田さん)

【写真】『マイノリティデザイン』

多様性の時代の中、自分がどの分野のマイノリティ(少数派)なのかを自覚していくことで、社会の中でできることが増えていくのかもしれません。しかし、具体的にどうやって弱みを強みに変えていけばいいのでしょうか。

「以前サイボウズさんとワークショップを開催したときに、ガーデニングが好きだという方がいたんです。その方は、精神疾患を患っていて、自分を癒すために植物を使っていろいろな工夫をしていていました。だから、お花を使って自分を癒すためにやっていることが、同じように傷ついている人への提案になるのではないかと思い、「再生」をテーマにして、「アライブフローリストってどうでしょうか?」と伝えました」としながらも、強みと弱みを掛け合わせるコツがあると澤田さんはいいます。

「掛け合わせるときに「運命のキーワード」を見つけ出すこと。たとえば、「傷ついている人がいたら寄り添って涙が乾くまで一緒にいます」という人がいて、僕はその方に「あなたは調律師ですね」と伝えました。ちょっと乱暴かもしれないけれど、いろいろな言葉を投げかけてその方がピンときた「運命のキーワード」を、パートナーにして生きていけばいいと思うんです」

セカンドキャリアを考えるとき、自分自身にこれからの生き方を提案する企画書を元に、「運命のキーワード」を得ることで、強みと弱みを掛け合わせた新たな自分のキャリアと生き方を見つけることができます。

それによって、会社員であり続けるなら社内で新たな役割を担えないか提案してみる、転職をするにしても、今までとは全く違う職種で自分の強みと弱みが生きる仕事を探してみる、など、新たな道が開けるかもしれません。

会社を辞めずに今の仕事をブラッシュアップする

澤田さんは現役で広告代理店の社員でありながら、世界ゆるスポーツ協会代表理事などを勤めています。

「僕は10年ごとに、新しい人生を生きた方がいいと思っているんです。10 年ごとに、生きながらにして転生を繰り返す感じでしょうか。コロナ禍もそうなんですが、世界は常に転生していっているので、人がそのままでいると置いていかれます。転生っていうのはゼロからのリスタートではなくて、これまでの経験値は受け継がれるからチートなんです。何かの師範がその経験値を持ったまま別の分野で素人として新たにはじめるような感じでしょうか」(澤田さん)

現在転職を考えている人はもちろん、多くの働く50代は今の仕事に不満があったり、将来に不安を感じたりするとき、「辞めるか、辞めないか」「我慢するか、しないか」という考えてしまいがちなのではないでしょうか。

「自分の人生に『こういうのもあるよ』という追加プランを提案する。重ね書きしていくという感覚です。新しいことを始めるために、以前のことをやめて、いきなり足場がなくなるような話ではないんです」(澤田さん)

「転職しか道がない」「定年退職後はお先真っ暗」という考え方から、「こういうプランはどう?」「今の人生にこういうオプション、付け加えてみない?」と自分に提案し、重ね書きしていくことで、今の会社の中でできる新しいことが見えてきたり、副業としてできることが見つかったりするかもしれません。

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