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【岡山の古墳】手軽にできる異世界体験!? 古墳の石室に入ってみよう!

岡山観光WEB

みなさんは古墳に行ったことがありますか? 古墳には様々な魅力がつまっていますが、今回は石室をテーマにしたいと思います。大規模な石室になると柵が設けられて途中までしか入れないことが多いのですが、古代の史跡が豊富な岡山県には自由に立ち入れる大型の石室があります。今回は、石室に自由に入れて、石棺も間近に見ることができる魅力的な岡山市の古墳を2つご紹介します。独特な雰囲気を持つ石室の内部をぜひ体感してみてください。

<予備知識>古墳の「横穴式石室」とは?

古墳の埋葬方法には大きく分けると2種類あります。

「竪穴式石室」
地面にくぼみを作って棺を納め、その周囲や上部を粘土や石で覆ったものです。こちらは一度埋葬すると二度と開けることはありません。また、原則として埋葬されるのはひとりです。

「横穴式石室」
棺を納めるための地下空間「玄室」を設けて、そこへ真横から通じるトンネル「羨道(せんどう)」をつなげることで、何度も出入りできる構造にしたものです。例えば、被葬者が亡くなってからしばらく後にその配偶者が亡くなった場合などに、追葬できるようにしたのです。出入口(羨門)は閉塞石でふさいでおいて必要が生じたときには撤去し、追加で棺を運び入れていたと考えられます。

「横穴式石室」と神話のつながり
ところで、みなさんは神話の「黄泉の国」のお話をご存じですか? イザナギノミコトとイザナミノミコトは日本という国をつくった夫婦の神様ですが、イザナミは火の神を生んだときにヤケドを負って亡くなり、黄泉の国へ旅立ってしまいます。嘆き悲しんだイザナギは、イザナミを連れ戻そうと黄泉の国まで追いかけて行きますが、そこで肉体が腐敗しウジがわいた姿のイザナミを見てしまい、驚いて逃げ帰るというお話です。実は、この神話の描写は横穴式石室のことではないかという説があります。亡き配偶者のことが忘れられず石室に足を踏み入れてみたら…!! という実際にあった出来事がもとになっているのでは。もしかすると、古代の人々にとって横穴式石室は疑似的に作られた冥界だったのかもしれません。

牟佐大塚古墳(岡山市北区牟佐)

それでは、みなさんにもその異世界!?を体験していただきましょう。まずは初級編として「牟佐大塚古墳(むさおおつかこふん)」をご紹介します。場所は岡山市北区牟佐、閑静な住宅街の中にある小型の円墳です。

これが「牟佐大塚古墳」の石室の入口「羨門」です。付近に転がっている大きな石は、閉塞石の名残かもしれません。

棺を納めた「玄室」へと続く「羨道」です。季節によっては地面がぬかるんでいることがあるので、見学者のために丸い敷石が並べられています。また、ここは特殊な環境のためか「ヒカリモ」という黄金色に光って見えるめずらしい藻が生息していて、夏季になると地面や石の表面にその姿を確認できます。やはり石室の中は特別な空間なんですね。

この写真は以前、8月頃に訪れた際に撮影したものです。画面中央あたりの石や地面で金色に光って見えているのがヒカリモです。みなさんが訪れる際にはヒカリモを踏まないように敷石の上を歩いてくださいね。

いよいよ…これが玄室です。大きな家形石棺が中央に残されていますが、前面には盗掘者によって開けられたという大きな穴が!

巨大な天井石が圧巻です!「玄室」の中は意外と広い空間になっていて、私が腕を伸ばしても天井には手が届きません。
ちなみに、私はエジプトのピラミッドの中にも入ったことがあるのですが、雰囲気(特にその匂い)がよく似ていると感じました。古代の人々は石で囲まれた空間に何か特別な意味を見出していたのかもしれません。
いずれにしても、これだけ立派な石室に気軽に自由に立ち入れるというのは、岡山ならではのことだと思います。

唐人塚古墳(岡山市中区賞田)

次は中級編として「唐人塚古墳(かろうとづかこふん)」をご紹介します。なぜ“中級”なのかというと、ここは少しだけ雰囲気が怖くて、ひとりで行くのはおすすめできないからです(笑)。
場所は岡山市中区賞田、龍ノ口山のふもとにあります。古墳の前には古い祠が建っていて、独特の空気を醸しています。石に張り付いた木の根も何かすごい…

石室の前に着きました。すでにボンヤリと石棺が見えていますが、この古墳は「羨道」の石積みが失われてしまったようで、大きな石をくぐるとすぐに「玄室」となります。では、勇気を出して中に入ってみましょう!(今回の撮影時はひとりでした…)

これが玄室です! フラッシュを焚いているのでそれなりに明るく見えますが、当然のことながら石室内部は真っ暗ですので、懐中電灯を持って行くことをおすすめします。

石棺の中には満々と水が入っていて、これも何か怖い。雨が降ると天井石から石棺へ水がしたたり落ちて、暗闇の中で「ピトッ ピトッ」と音がするのがまた何とも…。

その水のせいでしょうか、天井石には大きなシミが…。

ふと石室内から外を見ると、一気に日が落ちている!(気のせいかな…)
あらためて、独特の雰囲気を持った不思議な場所だと感じます。では、そろそろ元の世界に戻ることにしましょう。

賞田廃寺跡

「唐人塚古墳」から歩いて約5分ほどの場所に「賞田廃寺跡(しょうだはいじあと)」があり、きれいな公園として整備されています。
古代の人々にとって、古墳は亡くなった人を冥界へ送り出すための重要な施設でした。やがて大陸から仏教という最新技術がもたらされ、権力者は古墳を築くことをやめて、かわりに寺院を造営するようになりました。この賞田廃寺は「唐人塚古墳」の被葬者と同じ上道(かみつみち)氏が建立したものとされ、おそらく、この地域で最後に作られた古墳と最初につくられた寺院ではないかと考えられています。そんな歴史に思いを馳せつつ、こちらもぜひ訪れてみてください。

まとめ

長文にお付き合いいただきありがとうございました。本文中では「怖い」とか少し茶化して書いていますが、私は常に先人への敬意が大切だと思っています。昔の人々は亡くなった人の魂の安寧のために、膨大な労力を費やすことを惜しみませんでした。その先人たちの苦心の結晶であるこれらの史跡を、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいと思って書いています。大昔のものとはいえ、古墳はお墓ですので、みなさんも先人への敬意をもって訪れてくださいね。

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