『サンダーボルツ*』ボブ/セントリーにはモデルになった人物がいる ─ 監督が語るキャラクター解釈
『サンダーボルツ*』で、(MCU)に最強のヒーローが新たに登場する。ルイス・プルマンが演じるセントリー/ボブだ。このキャラクター、これまでのMCUにはない独特の設定が与えられている。
原作コミックでセントリーは、「100万の太陽の爆発」に匹敵すると言われる超強力なパワーを有しており、戦闘力はマーベル・ユニバース最強。しかし不安定な精神の持ち主で、邪悪な人格「ヴォイド」が顔を出してしまうこともある。
実写版でもこの二面的なキャラクター性が描かれた。本作でボブは、セントリーとして「全員よりも強い」と表される全能パワーを欲しいがままにする時もあれば、闇の人格ヴォイドに支配される時もある。ボブは劇中で「何も気力が湧かない日がある」といった趣旨のセリフも発しており、本作にメンタルヘルス映画としての側面を与えている。
双極性障害(躁うつ病)と呼ばれる症状では、気分が高揚して活動的になる躁状態と、気分が落ち込んで無気力になるうつ状態を繰り返す。本作のセントリー/ヴォイドはまさにこの表現のようだったが、ジェイク・シュライアー監督が筆者に話したところによると、「何か特定の症状と結びつけていない」という。「それが重要だったのは、本作は非常にスケールが大きいので、とりわけ何か特定のことを正確に代表するような重荷を背負わせたくなかったんです」。
もっとも、キャラクターを作る上で「参考にした友人がいる」と、監督は話してくれた。「その人は明らかに二面性がありました。ある時には、ものすごい興奮と、月にも届くような傲慢さみたいなものがあって、そこには誰も信じられないことを実現させるような真の力がある。でも、その目標に近づいていくと、別の側面が顔を出すんです。自滅的な側面、落ち込んでいる側面、絶望の感覚が現れて、無気力になってしまう」。
こうした現象について監督は、「若い頃は、単なる『問題』の一種して、対処すればいいと思っていました。しかし大人になるにつれて、この二つはリンクしていることがわかってきました」と説明する。「あの高揚感を追い求めることが、裏側にある暗い部分を引き寄せていた。そして本当の旅路とは、その中央で自分自身を受け入れるながら生きることなのだと。でも、それはとても難しいことです」。
これはあくまでもシュライアー監督の解釈であり、「製作に携わった誰もが彼に独自の解釈を持っていた」という。「本作のように壮大なスケールの作品では、何か特定の症状に具体的にならないことが大切だと思います」。
セントリーとして覚醒している間、彼はまさに1人でアベンジャーズを捻り潰してしまいそうな強力パワーを見せつける。この映像化について、「セントリーの力が他のヒーローたちに比べてどうなのか」を描くことが重要だったと、シュライアーは話す。
「もちろん彼は他のパワーを凌駕するわけですが、彼がパワーを発揮するのもほぼ初めての場面にもなります。だから、もっと大掛かりなCGを使って描くような、さらに上のレベルのパワーも存在はするんですが、今回は彼自身に“自分に何ができるのか”を理解していく導入シーンとして描きたかった。なので、僕たちの作品に見合うスケールに留めておくことにしました。それでも、伝統的なコミック映画のアクションシーンに近づくようなステップは踏んでいます。」
ちなみにセントリー役は当初、「ウォーキング・デッド」のスティーヴン・ユァンが起用されていたが、スケジュール都合で降板し、プルマンに渡った。プルマンは引き続き『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』への出演も発表済だ。本人はそのことを知らず、『トップガン マーヴェリック』で共演したホアキン・トレス役ダニー・ラミレスからの鬼電でのだとか。
『サンダーボルツ*』は大ヒット公開中。