東京都荒川区「三河島駅」の住みやすさは?コリアンタウンとしての歴史もある街の魅力とは
JR三河島(みかわしま)駅は、荒川区の中央部に位置するJR東日本の駅で、JR常磐線快速線・上野東京ラインが乗り入れており、上野駅や東京駅、品川駅まで乗り換えなしでアクセス可能な利便性の高さが魅力です。三河島駅は 知名度が高いとは言えないものの、住みやすい穴場を探している方にこそ注目してほしい駅です。現在、駅北口で進められている市街地再開発事業によって、街の姿が変わろうとしています。さらに、三河島駅周辺の魅力の一つにコリアンタウンとしての歴史があります。駅周辺には韓国料理店等が軒を連ねており、日常的に韓国グルメに接することができます。荒川区は、韓国南部に位置する済州市の出身者が多いこともあり、2006年に韓国の済州市と友好都市を結んでいます。異国情緒と下町の温かさが共存する味わい深いエリアでもあるのです。
都心へのアクセスの良さ、今後の街の進化、そして文化的な魅力。住まい探しの新たな候補地として「三河島駅」をチェックしてみませんか?
三河島駅周辺の基本情報(都道府県内での位置づけ、特徴など)
JR三河島駅は、荒川区役所に最も近いJR駅であり、行政計画上も重要な拠点駅の一つとされます。駅の一日平均乗車人数は約1万2,000人(2023年度。降車客含まず)と、JR常磐線快速線の停車駅の中で最も少ないですが、東京駅や品川駅まで直通でアクセスできる利便性が大きな特徴です。また、三河島の地名は1960年代に行政地名としては消滅し、駅周辺は西日暮里・東日暮里・荒川地域(駅は西日暮里地域)に含まれていますが、駅名として現在に受け継がれています。近年では、2014年に駅南側において大規模な再開発が行われ、地上34階建て、高さ約120mのタワーマンション(低層部は商業施設)が整備されており、従来の低層街区に一際目立つ建築物が立地しています。続いて、北側でも市街地再開発が進められており、街の再生が進んでいます。
さらに、三河島駅周辺では戦前から続くコリアンコミュニティを背景に、都内でも歴史のあるコリアンタウンの一つとして、韓国グルメや文化を日常の中で感じられる希少なエリアといえます。さらに、三河島駅周辺には銭湯が多くあるのも特徴です。
次に人口を見てみます。
荒川区によると、2025年1月1日現在の人口は、約22万2,000人で、5年前の人口と比較すると荒川区全体および西日暮里地域(三河島駅に該当する地域)ともに微増傾向にあります。なお、区の将来人口は2060年頃に約23万人と推定されていますので、今後も急激な人口増加は予測されていません。
荒川区人口:21万7,146人(2020年)→22万2,278人(2025年) 5,132人(2.4%増)
西日暮里地域人口:2万3,855人(2020年)→ 2万4,611人(2025年) 756人(3.2%増)
※出典:荒川区「町丁別世帯数および人口一覧表」。いずれも1月1日現在
続いて人口密度を見ていきます。荒川区の人口密度については、約219人/ha、三河島駅周辺の地域(西日暮里一丁目、東日暮里三丁目・六丁目、荒川三丁目)については約303人/haと、区平均や特別区の平均人口密度である約157人/haと比べて高い傾向にあります。人口密度の高さからも分かるように非常に密集した市街地が広がっていることが分かります。
上図は、1857に初代画が刊行され、歌川広重が描いたものです。江戸時代の三河島は、鶴の飛来地として有名で毎年11月になると、竹の囲いをめぐらして、鶴の餌付けが行われており、将軍自らが鷹を使って鶴を捕獲し、捕えた鶴を朝廷に献上したとされます。
また、駅北部に位置する三河島稲荷神社には、当時の三河島において三河島菜と枝豆の栽培が盛んに行われていた記録が記されています。
三河島駅周辺の住みやすさ
三河島駅周辺の交通利便性
JR三河島駅からはJR常磐線快速線で、上野駅まで約6分、東京駅まで約15 分、品川駅へも直通しています。また、駅周辺には大規模商業施設がある北千住駅へもわずか5分で到達する近さです。加えて、日暮里駅まで1駅と近く、西日暮里駅も徒歩圏(約1km)であり、JR山手線に加えて、京成線などへの乗り換えも便利といえます。
都心方面への通勤や通学、さらに成田空港へのアクセスの良さもあり、静かな環境でありながら利便性の高さに魅力があります。また、再開発により、市街地に余剰空間が新たに生まれ、より快適性と利便性を兼ね備えた駅に生まれ変わる見込みです。
<三河島駅から主要駅へのアクセス時間>
・上野駅:約6分
・東京駅:約15分
・品川駅:約24分
・成田空港駅:約60分(日暮里駅乗り換え)
・北千住駅:約5分
三河駅周辺の買い物・飲食店事情
三河島駅周辺には、フレスポ東日暮里や大手コンビニエンスストア、ドラッグストアのほか、仲町通り商店街には個人店が多く点在しており、日常の買い物には不自由しませんが、大型商業施設はありません。大型商業施設を利用するには、JR常磐線一本で到達可能な北千住駅や上野駅に行くことになりますが、むしろ規模の大きな商業施設が少ないことで、三河島らしい落ち着いた街並みが保たれています。
ちなみに、冒頭でもお伝えしましたが、三河島には韓国出身者や韓国にゆかりのある方が多く住んでいることもあって、韓国グルメが豊富です。新大久保駅のように観光地化されていない分、地元に根差したリアルな韓国文化に触れられるのがポイントです。
なお、現在、駅北側では市街地再開発事業が進められています。再開発では住宅や公共施設(体育館アリーナ)に加えて、商業施設も計画されているため、整備後は買い物や飲食の利便性が高くなることが期待されます。
三河島駅周辺の自然環境
自然環境については、駅周辺に一日滞在できるような大規模な公園はないものの、自転車や電車、路線バスで少し移動することで、「荒川公園」や「荒川自然公園」「上野恩賜公園」などの緑地環境に触れることが可能です。
なお、「荒川自然公園」は、東京ドーム約1.3倍の広さを有しており、区内最大の公園です。運動施設や広場、児童遊園、プールに加えて、白鳥の池など、一日中滞在することができるように設計されています。
<荒川自然公園>
・開園時間:6:00〜21:00(季節によって開園時間が異なります。)
三河島駅周辺の公共施設(役所関係、図書館、教育施設など)
三河島駅は「荒川区役所」や「荒川警察署」「荒川区立生涯学習センター」「ひぐらしふれあい館」などの公共施設に最も近いJR駅であり、行政手続きの利便性は高い傾向にあります。とはいえ、一般的にはこのような区役所や警察署などの公共施設を頻繁に利用することは少ないと思います。頻繁に利用する施設といえば、図書館や学習施設かと思います。そこでおすすめしたいのは、台東区にある「上野恩賜公園」です。三河島駅からは上野東京ラインを利用することで乗り換えなしでアクセスすることが可能です。
「上野恩賜公園内」には、「国立博物館」や「国立科学博物館」「国立西洋美術館」、さらには「国際子ども図書館」など、国の中枢となるような文化・教育施設が立地しています。上野駅に近い三河島駅はメリットが大きいといえます。
三河島駅周辺の治安・ハザード
三河島駅周辺の地域(西日暮里一丁目、東日暮里三丁目・六丁目、荒川三丁目)の刑法犯認知件数は2024年統計では116件となっており、荒川区全体の約9%(区全体は1,328件)を占めます。上図の町丁別の認知件数をご覧いただくと三河島駅周辺では、青・緑色の部分が占めており、犯罪認知件数が少ないことが見て取れます。
また、犯罪の種別として最も多いのは、「自転車窃盗」で33件が認知されています(2024年)。この傾向は区全体で見ても同様に「自転車窃盗」が多い傾向にあります。このことから、一部では治安に不安を覚える方もいると思います。駅前という特性上、犯罪が起きやすい傾向にはありますが、三河島駅前には「三河島駅前交番」、駅周辺には「荒川警察署」があるので一定の安心感があります。
一方、防災面では、荒川区内には荒川水系の隅田川が流れており、おおむね0.5m〜3.0m、駅東側では3m〜5mの浸水が想定されているため、河川洪水による影響を受けやすい状況にあります。特に近年は短時間に強い雨が降る傾向となっていて、想定以上の洪水被害が発生する可能性もあるので注意が必要です。また、三河島駅周辺では木造建築物が密集しており、大規模な延焼火災の危険性を抱えている状況下にあるほか、高潮浸水にも注意が必要となります。
現在、駅北側では、市街地再開発事業により、木造密集市街地の解消や広場の整備などが進められているため、災害時には一時的な避難場所として有効に活用されることが期待されています。
河川洪水・高潮に対する災害ハザードエリアついては、荒川区が公開しているハザードマップ情報、または国が公表している不動産情報ライブラリがありますので、いずれかで災害ハザードリスクを把握することをおすすめします。
三河島駅周辺の病院事情
西日暮里駅周辺には、初期救急や二次救急として複数の医療施設が立地しています。
<三河島駅周辺の主な病院・診療所>
【初期救急】
・荒川区医師会こどもクリニック(小児科)
【二次救急】
・社会医療法人社団一成会 木村病院
・荒木記念東京リバーサイド病院
・医療法人社団杏精会岡田病院
・社会医療法人社団正志会令和あらかわ病院
・医療法人社団藤寿会佐藤病院
三河島駅周辺の子育て環境
荒川区によると、区の保育所待機児童数は、2024年4月1日時点で33名となっています。2022年および2023年はそれぞれ0でした。こうした状況を受け、荒川区では、待機児童を持つ保護者等を対象にベビーシッター利用に対する補助事業をはじめ各種子育て支援施策を行っています。
また、三河島駅からは北千住駅や上野駅へのアクセス性がよいです。これらの駅では、日常の買い物に便利な商業施設が立地しているほか、子育て支援施設、医療施設など、子育てを行う上で不可欠な施設が充実していますので、三河島駅周辺で不足している施設があっても隣接駅周辺の施設を利用することができます。
三河島駅周辺の家賃相場
<三河島駅の家賃相場>
・ワンルーム:7.78万円
・1LDK:15.75万円
・2LDK:21.19万円
・3LDK:23.34万円
<南千住駅の家賃相場>※隣駅
・ワンルーム:9.12万円
・1LDK:17.27万円
・2LDK:22.22万円
・3LDK:26.41万円
<三河島駅周辺の不動産価格相場>
中古マンション:5,845万円(専有面積70m2の場合)
中古一戸建て:7,762 万円(建物面積100m2の場合)
三河島駅の市街地再開発事情
現在、三河島駅北側の約1.5haのエリアにおいて、市街地再開発が計画され、具体的に事業化され進んでいます。再開発では、住宅と商業用途の複合タワーや多目的アリーナに加えて、憩いの空間となる広場など、日々の生活に便利で心地よい空間が整備される予定です。こうした再開発が呼び水となって若い世代が集うようになり、将来的には、暮らす・働く・楽しむが叶う街へと進化する可能性を秘めています。
三河島駅周辺の魅力まとめ
今回は、荒川区の中央部に位置する「JR三河島駅」周辺の住みやすさについてご紹介しました。三河島駅はJR常磐線快速が利用でき、東京駅・品川駅・上野駅など都心の主要駅へダイレクトにアクセス可能な高い交通利便性を誇ります。さらに、隣の「日暮里駅」を使えば、山手線や京成線など複数路線への接続も可能で、通勤・通学にも便利な立地です。
駅周辺には大規模な公園は少ないものの、自転車や電車、路線バスを利用すれば、「荒川自然公園」「西日暮里公園」「上野恩賜公園」など、緑豊かなスポットへのアクセスも容易です。週末のお出かけ先にも困りません。
また、三河島ならではの魅力として、コリアンタウンとしての一面も注目される点があります。韓国料理店が軒を連ね、本場の味や文化を日常の中で楽しむことができるのは、この街ならではの特色です。現在、駅北側では大規模な市街地再開発が本格化しており、2029年度の完成を目指して、地上43階建ての住商複合タワーや公共施設、多目的アリーナの整備が進められています。新たなランドマークの誕生によって、街の景観や暮らしの質がさらに高まることが期待されます。
「都心アクセス性×異文化×下町&再開発」という独自の魅力を持つ三河島駅。これから再開発にあわせて民間開発も活発化することも考えられますので、気になった方は、ぜひ物件を探してみてください。
この記事では画像に一部PIXTA提供画像を使用しています。