「実在の刑務所&元囚人たち」が出演!『シンシン/SING SING』ほか“遅咲きの名優”代表作5選
“遅咲き”コールマン・ドミンゴに熱視線
米ニューヨークにある“シンシン刑務所”の元・収監者とオスカーノミネート俳優という異色のキャストアンサンブルが紡ぐ、感動の実話『シンシン/SING SING』が、4月11日(金)より全国順次公開となる。
『シンシン/SING SING』の主人公を演じるのは、人気俳優コールマン・ドミンゴ。舞台俳優としてキャリアをスタートさせ長年実力を磨いた後、「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」などTVや映画にも活躍の場を広げ、いまやハリウッドには欠かせない人物となった。映像作品で脚光を浴びたのは40代後半だったため“遅咲き俳優”と呼ばれることも。
そして、ついに昨年と今年の2年連続でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートを果たし、その地位を確固たるものにしたコールマン。ということで、そんな彼の主演最新作『シンシン/SING SING』の公開を記念し、過去の出演作を振り返ってみよう。
『グローリー 明日への行進』(2014年)
アメリカでアフリカ系アメリカ人公民権運動を指導し、ノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・ジュニア。アフリカ系アメリカ人の選挙権を求め、アラバマ州セルマの地で起こった“血の日曜日事件”を描いた歴史ドラマ。
キング牧師がノーベル平和賞を受賞した翌1965年、アフリカ系アメリカ人の選挙権を求め525人の同志と共に、アラバマ州セルマから州都モンゴメリーまで80キロのデモ行進を始めるが、白人の州警察と民兵隊が立ちはだかりデモは暴力で鎮圧される。その衝撃的な映像が全米に流れた2週間後、人種問わず2万5000人もの参加者たちが集い、歴史的大行進が始まった――。
コールマンはキング牧師の親友であり右腕として活躍したラルフ・アバーナシーを演じている。主に舞台俳優として活躍していたコールマンが映像作品にも登場し始めた頃の作品となり、大きな見せ場こそ少ないものの確かな演技と存在感が光っている。
『ビール・ストリートの恋人たち』(2018年)
アカデミー賞作品賞を獲得した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督作。1970年代ニューヨークのハーレムを舞台に、どんなに困難な状況にあっても愛を諦めない恋人たちの姿を描いたラブストーリー。
主人公は22歳のファニーとその恋人で妊娠中のティッシュ19歳。結婚を約束し、幸せな生活が始まるはずだった二人だが、ファニーが無実の罪で逮捕されてしまう。二人の愛を守るために家族と友人たちはファニーを助け出そうと奔走するが、そこには様々な問題が待ち受けていた――。
コールマンが扮するのは、ヒロイン・ティッシュの父親。苦境に追い込まれる娘の幸せを心から願う優しい父を好演している。コールマンと夫婦役を演じたレジーナ・キングは、その年のゴールデングローブ賞とアカデミー賞で助演女優賞を獲得した。
『マ・レイニーのブラックボトム』(2020年)
1920年代のシカゴを舞台に、“ブルースの母”と称された歌手マ・レイニーと彼女を取り巻く人々を描いた人間ドラマ。
情熱的で歯に衣着せぬブルース歌手マ・レイニーのレコーディングのためにシカゴのスタジオに4人のバンドメンバーが集まる。レコーディングが進むにつれて彼らの想いが熱くぶつかり、録音スタジオは緊張した雰囲気に包まれる――。
マ・レイニー役をヴィオラ・デイヴィスが、バンドメンバーのレヴィ―をチャドウィック・ボーズマンが演じ、これが彼の遺作となった。コールマンはトロンボーン奏者のカトラーを演じる。原作が戯曲とあって、舞台で培ったコールマンの演技力が冴え渡る。物語の中盤でコールマンが小話を披露し、観客の関心を惹きつける迫真の演技は映画の見どころの一つとなっている。
『ユーフォリア/EUPHORIAトラブルはずっと続かない』(TVドラマ/2020年)
ゼンデイヤ主演、若者から絶大な支持を得たTVシリーズ「ユーフォリア/EUPHORIA」のスピンオフエピソード。
クリスマスイブの夜、主人公ルーはドラッグ依存症患者のサポートグループに通うアリとダイナーで心の内を語りあう。依存について、信仰について、家族について、そして過去の過ちについて。二人の心は対話によって徐々に癒されていく――。
コロナ禍により大規模な撮影ができなくなったことからキャスト二人の会話を中心に描くミニマルな構成となったが、ゼンデイヤとコールマンの心を震わせる芝居が大きな反響を呼び、最終的にコールマンはエミー賞ドラマシリーズゲスト俳優賞を受賞した。
『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』(2023年)
「I have a dream」とキング牧師が演説したことで知られる1963年のワシントン大行進。行進を主導したメンバーの一人である公民権運動家のバイヤード・ラスティンにスポットライトを当てた物語。
1963年8月28日、アメリカに根強く蔓延る人種差別の撤廃を求める「ワシントン大行進」に延べ20万人以上が参加した。主宰者の一人であった活動家バイヤード・ラスティンはこの一大イベントを取り仕切ることに。これまで光を当てられることのなかった知られざる彼の物語が明かされる――。
同性愛者であったラスティンを、自身もオープンリーゲイであるコールマンが熱演。その高い演技力が評価され、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ほか複数の主要映画賞にノミネートを果たした。オバマ元大統領夫妻がプロデューサーとして参加したことでも話題となった。
『シンシン/SING SING』4月11日(金)より全国公開
そしてついに、今季アカデミー賞とゴールデングローブ賞で主演男優賞にノミネートされた主演最新作『シンシン/SING SING』がTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開となる。
コールマンが最新作で挑むのは、ニューヨークに実在する最重警備のセキュリティを誇るシンシン刑務所で実際に行われている収監者更生プログラムの舞台演劇。仲間たちと演劇を作り上げていく段階で育まれる、友情と再生を描いた感動の物語だ。
注目のポイントは、主要キャストの85%以上が実際にシンシン刑務所の元収監者であり、演劇プログラムの卒業生および関係者たちで構成されているという点。コールマンは“本物”のキャストたちの中に驚くほど自然に存在し、ただひたすらに役を生きる様子が心に残る印象深い演技を見せている。またコールマンはこれまでにアメリカの高校を訪れ、演技を教えていたことも。刑務所で実施される芸術プログラムの意義を深く理解し製作にも加わっており、コールマンが適役なことを証明している。
そんなコールマンは今後も出演作が続々決定しており、父親ジョー・ジャクソン役を演じたマイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael(原題)』やスティーヴン・スピルバーグの新作など6本の映画と、「ユーフォリア/EUPHORIA」の新シーズンを含めた2本のドラマの公開が控えている。
さらにはパートナーと設立した制作会社の運営も順調で、プロデュース作品も多数抱えているコールマン。今後の映画界を支えていくであろう目覚ましい活躍が期待される遅咲き俳優の作品をぜひチェックしよう。
『シンシン/SING SING』は4月11日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開