愛猫と『一緒に寝ないことのメリット』3選 あえて“寝床を分ける”のはお互いのためになるかも
猫と「一緒に寝ないことのメリット」3選
1.衛生・健康面でのメリット
猫と一緒に寝ないことは、飼い主と猫双方の健康維持につながります。まず、飼い主が猫アレルギーを持っている場合、寝室を分けることでアレルゲンへの接触が減り、症状の軽減が期待できます。
また、猫から人へ感染する可能性のある人獣共通感染症や、ノミ・ダニといった寄生虫の持ち込み・蔓延リスクを抑えることもできるでしょう。
猫にとっても、人間の寝具による誤飲や窒息のリスクが減り、それぞれの動物に適した環境で体温調節ができるため、より健康的な睡眠を確保できるでしょう。
2.睡眠の質向上と安全性の確保
猫と寝床を分けることは、飼い主の睡眠の質の向上や、猫の安全を確保することにつながります。
猫は夜行性のため、夜間に走り回ったり、鳴いたり、体の上に乗ってきたりすることで、飼い主の睡眠が妨げられることがあります。寝床を分けることで、このような睡眠の中断を防ぎ、飼い主は安心してぐっすり眠れるようになります。
また、猫にとっても、飼い主の寝返りによる圧迫事故や、寝具に絡まることによる窒息・怪我のリスクを避けることができるので、安全で質の高い睡眠を得られるでしょう。
3.しつけ・行動面のメリット
猫と寝床を分けることは、猫の自立心を育み、問題行動の予防にも役立ちます。常に飼い主と一緒でないと不安を感じる分離不安のリスクを軽減し、精神的に安定した猫へと成長を促します。
また、夜間の鳴き癖や、飼い主への過度な依存からくる行動問題を防ぐ効果も期待できます。
寝室以外の場所でも安心して過ごせる環境を作ることで猫の行動範囲が広がり、特定の人や場所への執着が和らぐため、よりバランスの取れた社会性や自立心を育むことができます。
猫と「寝床を分ける」ための具体的な方法と注意点
猫にとって快適な寝床を用意する
猫が安心して過ごせる快適な専用の寝床を用意することが大切です。静かで落ち着ける場所に、猫が気に入る素材や形状のベッドを選びましょう。
ドーム型や囲まれたタイプのベッドは安心感を与えるためおすすめです。また、キャットタワーの最上段を寝床にするのも良いですが、万が一落ちてもケガにつながらぬよう、安全対策は万全にしましょう。
室温や湿度も猫が快適に過ごせるように調整し、冬場は暖かく、夏場は涼しく保つ工夫をすることで、猫は自分の寝床を居心地の良い場所だと認識し、自ら進んで利用するようになります。
徐々に慣らしていく
猫に新しい寝床に慣れてもらうには、時間をかけて少しずつ慣らしていくことが大切です。いきなり別の部屋に隔離するのではなく、まずは飼い主のいる部屋に新しいベッドを置いて興味を持たせましょう。
猫のお気に入りのおもちゃや、飼い主の匂いがついたブランケットなどをベッドに入れるのも効果的です。
ベッドに入ったら優しく褒めたり、おやつを与えたりすることで、ポジティブな経験として記憶させます。焦らず、猫のペースに合わせてステップを踏むことが成功の秘訣です。
就寝前のルーティンを作る
猫の就寝前のルーティンを作ることで、スムーズに寝床に誘導しやすくなります。寝る数時間前には、おもちゃなどを使って十分に遊ばせ、余分なエネルギーを発散させましょう。
就寝前に少量の食事を与えることで、満腹感が得られ、落ち着きやすくなります。そして、寝床に誘導する直前には、短時間のスキンシップやブラッシングで安心感を与え、一日の終わりを穏やかに締めくくる時間を設けてください。
これらのルーティンが習慣化すると、猫は自然と自分の寝床へ向かうようになりますよ。
安全対策を徹底する
猫が過ごす部屋や寝床周りの安全対策を徹底することは非常に重要です。誤飲の危険がある小さなものや、猫にとって有害な観葉植物などは、猫の手の届かない場所に移動させましょう。
コード類はカバーで保護したり、収納したりして、噛み付いたり絡まったりするのを防ぎます。就寝後も、猫が危険な目に遭わないよう、定期的に様子を確認したり、必要であればペットカメラなどを設置したりするのも良いでしょう。
安全な環境が整っていれば、飼い主も安心して眠ることができます。
まとめ
愛猫と寝床を分けることは、お互いの心身の健康と安全を守り、猫の自立心を育むというメリットがあります。
適切な寝床の準備、徐々に慣らす工夫、規則正しいルーティン、そして徹底した安全対策を講じることで、猫は安心して過ごせるようになります。
寝床を分けることで、日中の触れ合いの質が高まり、結果として猫との絆をより一層深めることにつながるでしょう。
(獣医師監修:葛野莉奈)