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横浜市電保存館 「世紀の大発見」初公開 100年以上前の乗車券金型

タウンニュース

発見について語る森田さん(左)と竹中さん

100年以上前の横浜電気鉄道時代の路面電車の乗車券の金型が、横浜市電の元車掌だった故人の家からこのほど見つかった。処分に困っていた家族が市電の研究などを行う「しでんの学校」に相談したことをきっかけに、これまで確認されていなかった貴重な乗車券の金型ということが発覚。「世紀の大発見」として、横浜市電保存館=磯子区滝頭=で初公開されている。

今回新たに発見されたのは、横浜電気鉄道時代の縦3cm、横4・8cmの「五銭乗車券」の金型など9点。片道運賃4銭に通行税1銭が課税されていること、乗車券の中央に横浜電気鉄道(1904〜21年)の社紋があることなどから、1911(明治44)年から21(大正10)年まで使用された乗車券の金型とみられる。

中区在住の鈴木久美子さんが2023年秋頃、長年市電の車掌を務めた父の部屋で探し物をしていた時に、引き出しから古いボール紙の箱に入った金属を見つけた。ずっしりと重く、年月日が書かれているため、市電のものかもしれないが、どこに相談していいか、どう処分していいか分からないまま一年が経過。そんな時にタウンニュースで「しでんの学校」がイベントに出展する記事を見て金型を持参した。

その日のことを「しでんの学校」の森田満夫さんと竹中洋一さんは、「見てすぐ大変なものだと思った」と振り返る。しでんの学校などによると市電に乗る場合、乗客が車内で車掌から乗車券を購入し、降車時に回収箱に投入されていたこともあり、紙の乗車券の現物はほぼ確認できていないという。元横浜都市発展記念館の学芸員で鉄道の歴史などに詳しい岡田直さんは「乗車券の原版となる金型の発見は意義が大きい」とする。

偶然重なり世へ

なぜ車掌の鈴木さんの父が金型を持っていたのか――。森田さんと竹中さんは「いま市電保存館がある場所は元車両工場で、乗車券の印刷所があったので、何かのきっかけでもらったのでは」と推測する。鈴木さんは「父が生きていた時には見たことも聞いたこともなかったが、大事なものと分かり処分しなくてよかった。皆さんが明るみに出してくれた」と、偶然の重なりから後世につなげられたことを喜ぶ。

来年4月まで展示

横浜市電保存館の武藤隆夫館長は、「横浜電気鉄道時代のものは、ほとんど現存しておらず、大変貴重な『世紀の大発見』だと思う。市電に関する昔のものをお持ちの方がいたらぜひ相談してほしい」と話す。

展示期間は来年4月21日(火)まで。様々な年代の乗車券・乗換券の金型の実物8点と解説パネルが展示されている。平日は午前10時から午後4時、土日祝は9時30分から5時、水・木曜定休。入館料は大人(高校生以上)300円、3歳から中学生100円。問い合わせは同館【電話】045・754・8505。

「五銭乗車券」の金型=市電保存館提供

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