子どもの飲み物で気を付けたいカフェインと水の硬度とは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】
飲み物はカフェインと水の硬度を意識しよう
カフェインを摂りすぎるとどうなる?
カフェインは、緑茶、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、ココアのほか、チョコレートの原料となるカカオ豆にも多く含まれています。最近は、眠気ざましやリフレッシュを目的としたカフェイン入りのエナジードリンクなどの清涼飲料水も、さまざまな商品が揃っています。
カフェイン入りの飲み物を飲むと、目が冴えたり気分がシャキッとしたりしますよね。それは、カフェインが神経を鎮静させるアデノシンの働きを妨げ、神経を興奮させる作用をもっているからです。
カフェインを摂りすぎると、中枢神経系(脳と脊髄からなり、情報を処理して全身に指令を発する)が過剰に刺激され、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠などが起こる場合があります。消化器官も刺されるので、下痢、吐き気、嘔吐などを引き起こすこともあります。
個人差はありますが、*¹⁷妊婦が高濃度のカフェインを摂ると胎児の発育を妨げたり、子どもが低体重で生まれてきたりする可能性も指摘されています。
エナジードリンクにはカフェインがたっぷり
若者に人気のエナジードリンクも、カフェイン含有量の多い飲み物の代表格。1本に約100mg前後のカフェインが含まれている商品も多いので、とくに小さい子どもからは遠ざけたいものです。
子どもはカフェインの刺激に敏感
カフェインの1日あたりの摂取許容量は、個人差があるという理由から、日本でも世界でも設定されていません。
食品安全委員会が公表している海外のおもなリスク評価では、カナダ保健省が示している「悪影響のない摂取量」が参考になるでしょう。
子どもにとって悪影響のない最大摂取量(カナダ保健省)
●4~6歳:45mg/日
●7〜9歳:62.5mg/日
●10~12歳:85mg/日
この評価をもとに考えると、小学校低学年の子どもの場合、500mLのペットボトルのウーロン茶であれば、1本で軽々とオーバーする計算になってしまいます。
国内のデータは少ないですが、カフェインを多く摂取した子どもは、より睡眠時間が短くなり、大人に比べて不安感や衝動性が増したり落ち着きがなくなったりすることが報告されています。
子どもは大人以上にカフェインの刺激に敏感だともいわれます。大量に摂らないことはもちろん、小さい子どもにはカフェインが含まれない飲み物を飲ませましょう。カフェインを取り除いた「デカフェ」も、選択肢のひとつです。
お水の硬度、チェックしたことありますか?
硬水も、子どもの体への影響が懸念されている飲み物のひとつです。
水の硬度は1Lあたりのカルシウムとマグネシウムの含有量を炭酸カルシウム量として表し、硬度によって「軟水」と「硬水」に分類されています。
日本の水はほとんどが「軟水」で、日本に輸入されているミネラルウォーターは、カルシウムとマグネシウムをたっぷりと含んだ「非常な硬水」がほとんど。そのため、硬水を消化管や腎臓の機能が未熟な小さい子どもに与えると、下痢を引き起こし腸内細菌の環境が崩れる可能性がありますし、腎臓に負担がかかることも起こり得ます。
硬水によるカルシウムの過剰摂取にも要注意です。乳幼児にとってカルシウムを摂ることは大切ですが、食事や粉ミルクなどから摂るカルシウム量を考えると、硬水を日々飲み続けることでカルシウムの摂りすぎになる可能性もあります。
体も機能も成長途中の子どもに、硬水を飲ませるのは控えたいもの。市販のお水を購入するさいは、その硬度を意識しましょう。
1L あたりの炭酸カルシウムの含有量による軟水と硬水の基準
●軟水 60mg未満
●中程度の硬水 60~120mg未満
●硬水 120~180mg未満
●非常な硬水 180mg以上
出典:WHO 飲料水水質ガイドライン
*¹⁷太田百合子(2019)『特集 子どものための食の安全 食品中の危害要因による問題とその対応―予防と治療 カフェイン、香辛料、 食品添加物の健康への影響』小児内科 Vol.51 No.9
【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子