3年ぶりの開催、横浜「三溪園」で中秋の名月と音楽を楽しむ恒例イベント
横浜市中区の本牧エリアにある国指定名勝「三溪園」で、恒例の月見イベント「観月会」が実に3年ぶりに開催される運びとなった。新型コロナウイルス感染症の影響で2021年以降の開催が見送られてきた観月会は、中秋の名月を音楽とともに楽しむ秋の風物詩とも言うべき人気イベントだ。
面積が約17万5000平方メートルにも及ぶ三溪園は、京都や鎌倉などから移築された歴史的な建造物が随所に配置された日本庭園で、背丈の高いハスの花が咲き誇る池でも人気が高い。園内には、横山大観などの日本画が観られる「三溪記念館」もある。
観月会の会場となる「臨春閣」は、三溪園の創設者である原三溪によって守り継がれてきた重要文化財建造物で、数寄屋の意匠を取り入れた書院造りの旧態を残している。通常時は非公開だが、三溪園が「東の桂離宮」とも呼ばれる理由となった優美な姿の名建築だ。5年もの歳月をかけて行われた大規模改修が2022年に終わり、装いも新たになった臨春閣での観月会は初開催となる。
日程は2024年9月14日(土)〜18日(水)で、普段は17時まで開園している三溪園だが、同イベント開催期間は21時まで園内を散策することができる(最終入園は20時30分)。音楽は日によって内容が異なり、月見らしい篠笛(しのぶえ)や薩摩琵琶(びわ)もあれば、日本だけでなく海外の音楽も楽しめるサックスとピアノによる演奏が聞ける日があるのもユニークだ。詳しい演奏スケジュールについては、公式ウェブサイトから確認できる。
生糸貿易により財を成した実業家の原三溪だが、新進芸術家の育成や支援にも力を入れて、また茶の湯を愛した文化人としても知られる。三溪による文化への貢献にも思いを寄せながら、名月と音楽で秋の夜長を堪能してほしい。