Yahoo! JAPAN

魂をぶつかり合わせ、重ね合わせてきた“胡蝶しのぶ”を演じる覚悟――『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』胡蝶しのぶ役・早見沙織さんインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』三部作。その幕開けとなる第一章が2025年7月18日(金)より公開中です。

ついに鬼舞辻󠄀無惨との接触を果たした炭治郎たちだが─鬼の本拠地である無限城を舞台に、鬼たちとの決戦を繰り広げます。

公開を記念し、アニメイトタイムズではキャストインタビューを掲載中! 今回お話を伺ったのは、胡蝶しのぶ役・早見沙織さん。

早見さんが語ってくれたのは、しのぶを演じるうえでの覚悟。――その言葉に込められた真意とは? インタビューを通して、「無限城編」ならではの緊迫感、しのぶという人物に迫ります。

【写真】「鬼滅の刃」無限城編 早見沙織が繋いだ、胡蝶しのぶの思い【インタビュー】

胡蝶しのぶと「無限城編」。自分が表現できる全てをぶつけたい

ーー『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が7月18日(金)より公開となりました。2019年4月よりテレビ放送が始まったアニメ『鬼滅の刃』は今年で6周年目を迎え、いよいよ「無限城編」になります。ここまでたどり着いたお気持ちをお聞かせください。

胡蝶しのぶ役・早見沙織さん(以下、早見):「まだ6年しか経っていないのか」という驚きがあります。そう感じるほど本当に濃密な時間を過ごしてきたのだなと。この6年を振り返ると様々な変遷があったりして、長い道のりを歩んできましたが、ついにここまで来たのだなという思いがあります。

ーー『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』をご覧になった率直な感想をお聞かせください。

早見:言葉で表現するのが難しいほど、様々な感情で心を揺さぶられました。あらゆる角度から心を動かされる、一言では言い表せない作品になっていると思います。胡蝶しのぶを演じる身としてこの作品に臨んでいる私としては、今作をアフレコすることができとても感慨深かったです。そのシーンを実際に大きなスクリーンで拝見して、あらためて胸を打たれました。

ーー本作の収録の思い出や印象などをお聞かせください。

早見:少し話が逸れますが、アフレコ収録の前にスタッフ・キャストの皆さんと「『無限城編』に向けて、同じ方向へ走り抜けていこう」という決起会をしたんです。最初からスタッフ・キャストが一丸となってひとつの方向に向かっていく作品なのだと、あらためて感じました。このことででさらに想いが強くなり、自分の表現できる全てで臨むことが、私の今作への向き合い方になりました。

ーー前作「柱稽古編」では、胡蝶しのぶが次の戦いに備える姿が描かれました。それを経たうえでの、しのぶの変化や今回の物語につながる、役作りなどがありましたらお聞かせください。

早見:私がこの作品に参加させていただいてから、私自身の根っこの部分にしのぶさんがずっといます。「竈門炭治郎 立志編」で最初にしのぶさんが登場したシーンから、物語を重ねていく中で、しのぶさんが進んでいく過程を私も一緒に体感することができたと思っています。特に「柱稽古編」のときからは、しのぶさんの身体に流れている全てのものを、私自身も一緒に背負うような思いで、ともに歩んでいこうと思っていました。胡蝶しのぶという人間と一緒に、どこまでも行ってやるぞ、という思いがあります。

その思いで、アフレコ台本を頂いたときは、なかなか開くことができませんでした。

ーー早見さんは過去シリーズのインタビューの際、胡蝶しのぶという人物は、姉カナエの言動を表向き扮していて、自身の本当の思いは心の底に抱えているのではないかとおっしゃっていましたよね。

早見:そうなんです。台本を読む前は、姉さんを自分の中に宿しているようなしのぶさんの表現をしようと思っていたのですが、収録前にようやく覚悟を決めて、台本を読んだときに、思いが湧き上がってきて、もっと、もっとという気持ちになりました。ずっと、しのぶさんは心の中に様々な思いをため込んできた人ですから。

ーー上弦の弐・童磨こそが姉の仇であると明らかになります。を演じられる宮野さんとの収録の思い出や印象などをお聞かせください。

早見:宮野(真守)さん(童磨役)と掛け合いで収録することができたので、何倍もの思いを出すことができました。しのぶさんも必死なので、どんどん感情が昂っていった感覚がありました。宮野さんは昔から本当にいろいろな作品でご一緒させていただいて、尊敬する、そして信頼する役者さんなので、今回はイチから作っていったというよりも、これまで培ってきた関係からもう始まっているような感覚があります。

ーー胡蝶しのぶの継子・栗花落カナヲにどんな印象を抱かれていますか。

早見:カナヲと出会ったばかりのころのしのぶさんはプリプリしていて、カナヲのことが見過ごせなくて、引き取るために気っ風よくお金を投げる女の子でした。ですが、そんな女の子が姉さんを失い、変わっていく姿を一番近くから見ていたのもカナヲだったのかなと思います。カナヲも最初は無口で感情を見せない一面がありましたが、いろいろな仲間が増えて変わっていって、「柱稽古編」のときは「私もっと師範と稽古したいです」と言えるようになった。しのぶもカナヲの成長をひとつひとつ実感していたと思うんです。そうやって、ともに歩いてきたふたりだからこそ、自分の思いを伝えることができて。やはりふたりの間に絆があったからだと思います。

ーー胡蝶家の絆ですね。

早見:アフレコのときの話なのですが、カナエ姉さん役の(茅野)愛衣さんが録音ブースに入られた際に私が少しわがままを申しまして「姉さんは隣がいい」と、隣に座るようにお願いしたんですね。そうしたら、愛衣さんが左隣に座ってくださって。さらに(上田)麗奈ちゃん(栗花落カナヲ役)が愛衣さんの隣に座ってくれて。胡蝶家が3人並んで座ることができたんです。これでもっとアフレコを頑張れるぞ! という気持ちになりました(笑)。なので、姉さんやカナヲを背中に感じながらアフレコすることができました。

余談ですが、アフレコが終わったあとに、私が汗だくになって、ポロッと「お肉が食べたい」と言ったんですね。そうしたら、愛衣さんが「じゃあ食べに行こう!」とおっしゃってくれて。愛衣さんが麗奈ちゃんを誘ってくれて胡蝶家三人で焼肉屋に行ったんです。愛衣さんが美味しい焼肉屋さんに連れていってくれて、本当に嬉しかった。胡蝶家のみなさんに感謝の気持ちがあふれてしまいましたね。この団結力を絶やさずに、これからも進んでいきたいと思います。

胡蝶しのぶは「お互いの魂をぶつかり合わせ、重ね合わせてきた存在」

ーー早見さんにとって、胡蝶しのぶはどんな存在になっていますか?

早見:胡蝶しのぶという人の心の根っこみたいなものに、近くで触れさせていただきながら、共に時間を歩んできたと思っています。少し抽象的な表現になりますが、お互いの魂をぶつかり合わせ、重ね合わせてきた存在です。

ーーそういう意味では、ご自身と胡蝶しのぶに共通する部分も感じられますか。

早見:どちらかと言うと、憧れるようなところがあります。しのぶさんは自分の中で、強い意志や燃えるような思いを持っている人ですよね。時に、隊士のみなさんや(竈門)炭治郎くんや(我妻)善逸くんにふざけて、からかうようなことを言ったり、少し意地悪なことをあえて言ったりしますが、この人の根本は真っ直ぐ。その強い意志に触れると、しのぶさんに影響されるというか、しのぶさんを演じている自分も、お腹の底から感情が湧き上がってくるような感覚があります。

ーーワールドツアー上映や海外へのイベントの出演など、海外のファンの方と触れ合う機会もあったと思います。

早見:ニコニコした表情で迎えてくださって、「本当に『鬼滅の刃』という作品が大好きなんだな」と伝わってきました。作品のお話をしている時は、食い入るように見つめながら聞いてくださいますし、作品をどれだけ大事にしてくださっているか、言葉の壁を越えて感じることができた気がします。

プレートや応援グッズなども持ちきれないくらい準備されていて、地域は関係ないのだなと。それはもちろん、現地に行ったからこそ、肌で感じられたことで。「『鬼滅の刃』を通して、世界中の人たちと繋がっているんだな」と思えたのは、すごく嬉しかったですね。

「鬼殺隊を辞めなさい」――胡蝶カナエの最期のことば【ネタバレあり】

ーー童磨との戦いで、しのぶはこれまで以上に感情をむき出しにしていますね。

早見:しのぶさんは姉が殺された時から、その思いをずっと絶やさずに、誰にも本当の思いを見せずに、ずっと内側で煮えたぎらせて、育ててきた人だと思います。そして今回、ついに最大の敵と出会います。しのぶさんはその瞬間をずっと思い描いて、人生を重ねてきたのだと思います。

遭遇した後、すぐに特徴が一致して、童磨と会った瞬間に、自分の全てのタガが外れているような表情もしています。言葉遣いも変わっていますし、そこでゆっくりギアを上げている場合ではないんです。「全然足りない」「もっとしのぶさんと一緒に培ってきた思いを奮い立たせるように向き合いたい」と思いました。

ーー最初は丁寧な言葉遣いだったしのぶが、だんだんと語気が荒くなっていきます。その言葉に至るまでの感情の流れを、演じるにあたってどのように組み立てていきましたか。

早見:今回はまっすぐに全身でぶつかっていくことを意識していました。いつもの穏やかに作り込もうとしているしのぶさんではなくて、童磨に対してスッとセリフが出てきました。

その中で、しのぶさんが姉さんに弱音を吐くシーンがありまして、実はそこが私の好きなシーンのひとつなんです。相手が姉さんだからそういうことを言えたのだろうし、しのぶさん自身が自分の限界を知っているからこそ言ってしまったのかなと思います。ですが、そのとき、姉さんが厳しいんですよね。これを言ったら、しのぶは立ち上がれる、と分かって言ってくれているのではないかと感じました。

ーーあのシーンに心を打たれる方は多いと思います。

早見:アフレコ収録時に、カナエ役の茅野(愛衣)さんとマイクを並べて一緒に録らせていただいたんです。収録での姉さんの言葉の芯の強さに驚いたところもありました。「こんなに強く言ってくれるんだ」「こんなにいい意味で厳しいんだ」と。それは想像していなかったところでした。

それだけしのぶさん自身も弱っていて、そんな弱っているところを姉さんにさらけ出してしまうぐらい切羽詰まっていたのだと思います。そのギリギリの状態に対して、あの強さで姉さんが言ってくれる。「この人の強さはここにあるんだな」と感じました。

ーー「無限城編」第一章では、胡蝶カナエの最期のことばを回想するシーンが描かれました。早見さんは、カナエの思いをどのように受け止められましたか。

早見:「しのぶ…鬼殺隊を辞めなさい 普通の女の子の幸せを手に入れてお婆さんになるまで生きて欲しいのよ…」と姉さんは言ってくれていて、幸せになってほしいと、長生きしてほしいと願ってくれている思いがひしひしと伝わってきました。

あくまで私個人の解釈ですが、その言葉の裏では、そう言っておかないと、いえ、そう言ったとしても、しのぶさんが自分の仇を追ってしまう人だと姉さんは分かっていたのではないかなと思うんです。だから、しのぶさんのことを理解した上で、それでもああいう言い方をしたんだろうなと思いました。

ーー本作を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。

早見:いよいよ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開となりました。しのぶさんの思いを自分も全てとは言い切れないですが、その隣で一緒に感じながら、収録させていただきました。ぜひ劇場の大きなスクリーンで、いい音響で、楽しんでいただけると嬉しいです。

[インタビュー/宋莉淑 撮影/MoA]

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 半信半疑だったけど大当たり。【フジパン公式】の「食パン」の食べ方がウマいよ

    4MEEE
  2. BAND-MAID、最新EPがアメリカiTunesランキングで1位獲得の快挙!日本人で初めて米音楽雑誌『NEW NOISE MAGAZINE』の表紙に登場!これまで全公演SOLD OUTの全国ツアーファイナル公演のチケット先行期間は残りわずか!

    WWSチャンネル
  3. <子どもがうつ状態?>モラハラ旦那のせいで家庭崩壊。離婚したいけれど自信がない

    ママスタセレクト
  4. ペロッといけちゃうよ。ぜひ試してみてほしい「小松菜」のウマい食べ方

    4MEEE
  5. 【ABC-MART×ディズニー】神デザイン!ツイステのローファーが登場、留め具までこだわり仕様ですごい!!

    ウレぴあ総研
  6. 最終未来少女、新メンバーオーディションは「該当者なし」。現3人体制最大キャパとなるZepp Shinjukuワンマン公演開催が決定!

    WWSチャンネル
  7. =LOVE・大谷映美里、可愛すぎるセットアップコーデで美スタイルあらわに!

    WWSチャンネル
  8. ミスユニバーシティ代表らがハロウィン仮装披露!日本一・飯田樺楽さんも参加

    WWSチャンネル
  9. 創部120周年、OBも祝う 伊賀・上野高校サッカー部

    伊賀タウン情報YOU
  10. 毎日使う「キッチンペーパー」が4倍お得に感じる…?「節約になる」「早くやりたかった」「長持ちする」

    saita