栄区在住森内さん 平和考える紙芝居披露 「こどもの国」60年に合わせ
栄区在住で紙芝居実演家の森内直美さん(77)が18日、こどもの国(青葉区)で行われた定例ライブで紙芝居「こどもの国から平和を」を披露した。10年前に自作したもので、今月の同園60周年に合わせ再び演じた。
「こどもの国」は(社福)こどもの国協会が運営するレジャー施設。上皇・上皇后両陛下の結婚時に国民から寄せられたお祝い金によって1965年、「子どもの遊び場」として開園した。
森内さんは大阪府出身。中学生の時、同園がロゴマークのデザインを全国公募すると、作品を送り採用。その縁もあり2012年から毎月紙芝居を上演するライブを行うようになった。そして2015年、開園50周年を機に制作したのが冒頭の「こどもの国から平和を」だ。
作品は8場面。園内に点在する人工的な穴に疑問を持つシーンから始まり、それが第二次世界大戦中に使われた弾薬庫の遺構であることを紹介。学徒動員され弾薬製造に携わった女学生、横浜大空襲の際に、同園から見えた燃える市街の場面と続き、美智子さまが作詞された「ねむの木の子守歌」で締める内容だ。
森内さんは制作以前から「弾薬庫の遺構について聞かれることがよくああった」という。そこで弾薬庫をテーマに据え、同園の職員や実際に学徒動員され働いていた元女学生の話も聞いて構想を練った。
「『平和のために何ができるか』『自分のできることで誰かの役に立つことは何か』を考えてほしい」。18日に同園で演じた際も、親子25人ほどが鑑賞し「自分が何をすればよいか、考えるきっかけになった」との感想も寄せられたという。
他者との共感が魅力
森内さんと紙芝居の出会いは小学生の時。両親が作ったものをクラスメートに披露したという。学生時代はボランティアで演じ、横浜市に移住した後も紙芝居、絵本の読み聞かせなどの活動を行ってきた。
そんな森内さんが語る紙芝居の魅力が「他者との共感」。「紙芝居は大勢で見る。他者と感情を共有することで情操教育につながる」とする。自作の作品に加え、童話、児童文学を紙芝居にしたものを多く演じているという。「『楽しかった』と感じたら、『今度は誰かに楽しさを分けたい』と考えると思う。今後も心に響く作品を演じていきたい」と話している。
なお、森内さんの定例ライブは毎月第3日曜日、同園ふれあい学び館にて。