【アッチじゃない方】例のプールに行ってみた / CDの大海原!
「例のプール」と聞くと何を思い浮かべるだろうか。すぐにピンと来る人もいるだろう。しかし今回の「例のプール」はアッチじゃない。なんとCDに埋め尽くされた、今、DJ界隈などに話題沸騰中のプールなのだ。
プールにCD? なんとも理解しがたいこの状況の謎を探るべく、筆者はその場所に突撃した。それは懐かしき思い出がよみがえる旅でもあった。
・行きはコロッケトレインで「揚げ揚げ」!
この「例のプール」を知ったのは昨年の夏頃。たまたまXで流れてきて、すごいところがあるなと眺めていた。
倉庫の廃墟か何かかな、と思っていたら、それからどんどこDJ界隈が現地に行き、「例のプール」の正体がリサイクルショップということを知る。
そして友人のDJ、コスプレ声ちゃんと竹井ガガーリンさんも行っていたので、すぐさま詳細を聞き、私も突撃することにしたのだ。
「例のプール」はDisc-auntという中古CDとDVDのお店で、茨城県内の倉庫にて予約制で営業中。予約方法はしごく簡単。XでのDMで日付・時間・人数を送るだけ。
・東京から1時間チョイ
最寄駅は、関東鉄道竜ヶ崎線の竜ヶ崎駅。東京駅から上野東京ラインで龍ケ崎市駅まで行き、同じ敷地内の佐貫駅より竜ヶ崎線に乗り換える。
東京駅から竜ヶ崎駅は乗り換えも含め1時間6分。茨城県と聞くと遠い気がしたけど、かなり行きやすい。
ちなみに龍ケ崎と竜ヶ崎は表記が違うだけで同じ地名だそう。以前まで「龍ケ崎」と「竜ケ崎」の使用がまちまちだったが、住民票などの市の公文書等については平成8年度より「龍ケ崎」に統一しているとのこと。
龍ケ崎市駅から佐貫駅への乗り換え時間がかなりタイトだったので、慌てて駆け込んだ竜ヶ崎線。つかんだ吊り革にはよく見るとコロッケがついている!
周りを見渡しても、コロッケ、コロッケ、コロッケ。めちゃめちゃコロッケ推し!
調べてみると、龍ケ崎市はコロッケで町おこしをしており、2016年「全国コロッケフェスティバル」に合わせてコロッケトレインを企画。本来半年間ほどの予定のところ、好評で延期した模様。
つり革のコロッケは本物のコロッケから型を取り、2両分の小判型96個、俵型60個を約4カ月かけて手作りで制作! 食品サンプルの材料を使い、重ね塗りや、つや出しの加工をするなど、質感にこだわったそう。確かにめちゃめちゃ本物っぽい。
ちなみに今回は、2回目の訪問となるコスプレ声ちゃんと、なんと3回目の訪問の竹井ガガーリンさんにアテンドしてもらった。お世話になります!
竜ヶ崎線は3駅だけのローカル線。都電荒川線のようで、のどかな風景の中を走る。ガガーリンさんいわく、これも「例のプール」への醍醐味だそうだ。確かに遠足みたいでワクワク!
そうこうするうちにオレンジ色の大きなパチンコ屋が見えてきた! 事前にパチンコ屋の建物にあると聞いていたので、テンションマックス。
竜ヶ崎駅に到着!
駅から歩いて6分、廃墟になったショッピングセンターを横目に進んで行く。ちなみにここ、リブラという名前で30年くらい営業した後、2020年1月に閉店したそうな。
んで……
あったー! 出てきたー!
この建物にあのCDに埋もれた「例のプール」がある!
・CDに埋め尽くされたプール
入り口にあった謎の鳥のオブジェと記念撮影をしつつ、
エレベーターで3階へ。入り口の詳細はDisc-auntの公式Xに記載してある。
3階ではXのDMにてやりとりをしてくれた男性スタッフが待ってくれており、待望の「例のプール」に案内してくれた。
ドキドキしながら入っていくと……、
来たー!!
CDの大海原! 何千枚、何万枚、いや何億枚もありそうなCDで埋め尽くされたプール! ド迫力である。
ちょっと角度を変えて見ても……、うん、すごい。
呆気にとられていると、スタッフがピンクの可愛い軍手を貸してくれた。
声さんも薄手のビニール手袋をくれたので、探しやすいように左手に軍手を、右手にビニール手袋を装着。さすが経験者は準備万端!
しかもこのビニール手袋は装着したままスマホの操作ができるので、のちのち重宝することになる。
準備も整い、いざ、プールにイン!
ザブーン!
目の前には、CDが詰め込んである段ボールの山、山、山。一体どういう状況なんだこれは。
どこから手をつけていいか分からず呆然とする私を横目に、ガガーリンさんと声さんは黙々と発掘作業を開始している。
よし! 私も負けてられないと、作業開始!
特にお目当てのCDはなかったのだが、心奪われるおもしろCDと出会いたい!
事前にスタッフから伝えられた注意事項は「散らかさないこと」のみ。以前は段ボールに詰め替えながら見る、というルールがあったらしい。
膨大なCDの数に圧倒されながらも、夢中になってCDを掘っていると、床に散乱しているCDをついバキッと踏んでしまう。
注意はしているのだが、散乱具合もなかなかで、CDを探しているのにCDを踏んでいるという、背徳感なるや。申し訳ない……。スニーカーで良かった。
それにしてもすごいCDの数だ。全部見ることは不可能だろう。
・青春を彩ったCDたち
CDの大海原を泳いでいると、たびたび懐かしい気持ちに襲われる。ちょうど私はMD世代。お気に入りの曲をCDからMDに入れていた。その頃のCDが山のようにあるのだ。
ZARDのアルバム『ZARD BLEND〜SUN&STONE〜』。中学生の頃、擦り切れるほど聞いていて、家族旅行の車の中でもエンドレスでかけていた思い出の1枚。ちなみに現在、兄の車で再びエンドレスで流れている。
PUFFYもめちゃめちゃ世代だった。それにしても8cmCD、久しぶりに見る。
私の時はシングルといえばこの形で、今でも何十枚と実家にある。
大好きだったゲーム「サクラ大戦」のCDを発見! これは買い! と思って開くと、
大月みやこ全曲集……。
こういうフェイントがたびたびあるので要注意。
珍しいCDというよりもメガヒットしたCDが多く、同じCDが数十枚あることもしばしば。
CDの他にもビデオテープやカセットテープなどもあって、手描きラベルの何かがダビングされた自家製ビデオテープやDVDなどもあった。
怖いもの見たさ、聞きたさもあったけど、呪われたら嫌だなとやめた。
CDむきだしのコーナーもある。もしかしたら「サクラ大戦」のCDとか、ここに紛れてたりするかもしれない。残念ながら探す余力はないけど。
・8cmCDコーナー
「例のプール」の他にも8cmCDがメインの部屋があり、後半はそちらに移動。
タイトルが見える分だけ探しやすいが、こちらもなかなかの量。
8cmCD世代としても、何か思い出のものを! と意気込んでいると、
あったー!! はじめて自分のお金で買ったCD。
JUDY AND MARYの「そばかす」!!
今日の締めにぴったり!
そんなこんなであっという間に2時間が経過し、後ろ髪引かれながらもそれぞれ発掘品を購入。滞在時間については特に言われてなかったので、いようと思えばもっといれたのかもしれない。
・一度は行きたい珍百景
帰りの駅の待合室でお互いの戦利品をお披露目。
声さんは21枚。ガガーリンさんは約30枚。なんとガガーリンさん、1回目来店時は約180枚で、2回目は約20枚というから、合計230枚ほど「例のプール」より捕獲している。
私はというと合計14点、1900円。
CDは1枚100円で、10枚買うと1枚サービス。DVD、ビデオテープ、カセットテープは1枚200円。
お目当てのCDはなんと6枚だけ。
大好きな森田童子に、形が珍しいHYDE、友人が最近はじめたケーナ、明治・大正浪漫メロディー、そしてジャケットが可愛かったミッフィーの胎教は3枚組だったが2枚しか入ってなかった。
箱根と日光のレトロなポストカードと世界地図も購入。こちらは各100円。世界地図はまだソ連の時のもの。他にもクラシックや、なんだかんだ一番期待していたカセットテープを購入。映像の世紀系のビデオテープはもっと欲しかったな。
そもそもこの「例のプール」はかつてはジムのプールだったようで、ジム廃業後はサバゲーに使われていたらしい。なかなか面白い過程をたどっている、稀有なプールである。
そんな「例のプール」を堪能し、CDをはじめとする各種アイテムもGETできて大満足!
10代の頃はサブスクなんてなく、好きな歌手のCDは予約して発売日に店まで買いに行き、お気に入りの曲はMDにまとめひたすら聞いていた。あの多感な頃がフラッシュバックする。
今はネットでほぼ何でも聞くことができる時代。便利でもあるがちょっと味気なく、あの円盤に詰まった夢というか、愛というか、なんともいえない魅力には及ばない。
そんな思いを馳せる貴重な経験だったともいえる。
「例のプール」に行く際は、ビニール手袋とエコバッグと思い出をお忘れなく! あと汚れてもいい動きやすい服と底が厚い頑丈な靴が吉。
執筆:千絵ノムラ
Photo:RocketNews24.