【ワンオペ家事・育児をムリなく解消!】忙しい子育て期は「チーム家事」で乗り切ろう[家事シェア研究家監修]
新学期を控えたこの時期、ライフスタイルの変化が起きたり、「小1の壁」「小4の壁」に直面したりする方も多いのではないでしょうか。家事・育児もワンオペ気味で、家族と家事を分担したくても、うまく伝えられなかったり、「相手も仕事が忙しいから」とつい一人で抱え込んでしまったり。
家事シェア研究家の三木智有さんが提案する「チーム家事」は、家事・育児をワンオペではなく、チーム化された状態にして、一人に頼り切らない状態を作ることを目指します。まずは、それぞれの家族に合った「チーム」のスタイルを見つけることが、問題解決の近道になるといいます。
家事で夫婦がモメてしまう理由を深堀り!
「家事をどのように分担していますか?」と聞かれて、具体的に答えられる家庭は、あまり多くないのではないでしょうか。そして、多くの家庭では「できるときにやる」スタイル取っていて、「やる」のは特定の人に偏ってしまうことも多いもの。
その際に、やっているほうが、「できるときにもう少しやって」などと、場当たり的なお願いをし続けても、状況は改善されません。家事分担で夫婦がモメるのは、改善点がわからないから。まずは、自分たちの現在の家事スタイルを明確にして、具体的な改善点を探っていくのが近道です。
まずは、わが家の家事スタイルをチェック!
三木さんは、「家事シェア研究家」として14年間の活動をする中で培った経験を踏まえ、家庭での家事分担のスタイルを、大きく4つにまとめています。まずは、下記の中で、あなたの家族の家事スタイルに近いものを探してみましょう。
①シュフ型
家事・育児を中心的に担っているシュフ(主婦・主夫)的な役割の人が、他の家族に指示(お願い)を出しながら運用している。
こんな家庭が多い
・専業主婦(主夫)がいる
・夫婦で家事スキルに差がある
・家事に対してこだわりが強い人がいる
②担当型
「掃除はパパ担当で、料理はママ担当」というように、それぞれのタスクごとに担当者を決めて行っている。担当した家事は丸ごと責任をもつことが基本。例えば「洗濯」担当なら、洗剤のストック管理や、子どもの衣類が足りているかどうかなど、「洗濯」全般の責任を担う。その一部しか行わない場合は、「担当型」ではなく「シュフ型」になる。
こんな家庭が多い
・共働き家庭
・夫婦どちらか(またはどちらも)に、家事の得意不得意がある
③ハイブリッド型
「シュフ型」をベースに、部分的に「担当型」を取り入れている。例えば、「基本的な家事はママがやって指示出しをしながら、ゴミ捨てとお風呂掃除など限定的な家事のみパパが担当」というようなスタイル。
④自律型
それぞれが自分で考えて、必要なときにできる方がやるスタイル。
こんな家庭が多い
・夫婦の家事スキルに差がない
・夫婦の価値観や、生活に求めるものが近い
・お互いに気遣いができる
・夫婦共に、時間的制約が少ない働き方をしている
<シュフ型><担当型><ハイブリッド型>の家事スタイルをうまく回すコツ
4つのスタイルに共通して大切なことは、「お互いになるべくストレスを感じないように、家事・育児ができるかどうか」ということです。中でも、「自律型」の家庭は上級者レベル。ここでは、多くの家庭があてはまるであろう、「シュフ型」「担当型」「ハイブリッド型」の、3つのスタイルをうまく回すコツを紹介します。
スタイル別Tips①シュフ型 ――「何をやるか」ではなく「いつやるか」を決める
「シュフ型」は、指示(お願い)をしたり・されたりするときに、ストレスがかかりやすい面があります。例えば、お願いする側は、「気を遣ってしまい、なかなかお願いできない」「お願いをしたけれど、相手に嫌な顔をされた」といったときなどに、モヤモヤがたまりやすくなります。反対に、お願いされた側も「急に頼まれて断り切れなかった」などと、イヤな気持ちになることもあるでしょう。
こういった場合は、「何をやるか」は細かく決めず、「いつやるか」を決め、スケジュールを共有することが大切です。例えば、「平日の朝、家族が家を出るまでの時間は、何かしらお願いしたい」「土曜日の午前中は家族で掃除をしたい」などと、事前に合意を取っておきます。すると、相手も「急に言われても困る」ことがなくなり、スムーズに家事分担できる場合が増えるはずです。
モヤモヤがたまりにくい「パラレル家事」
家事をしている人がいちばんモヤっとするのは、自分が一生懸命家事をしている横で、自分時間を満喫している家族の姿を見たときではないでしょうか。
そんな時は、「パラレル家事」がおすすめ。「○○していないほうが●●する」というルールで、複数の家事を同時に行うやり方です。例えば、「一方がご飯を作っている間に、もう一方がお風呂を掃除する」など、何でもOK。並行して作業するだけで、フェアな気持ちになるはずです。
スタイル別Tips②担当型 ――「いつやるか」ではなく「いつまでにやるか」を決める
「担当型」は、「シュフ型」と反対に、「何をやるか」を決めたら、「いつやるか」については口出ししないことがポイントです。例えば、パパがお皿洗い担当なのに、食後すぐにお皿を洗わない場合、ママが「いつ洗うの?」とブツブツ言えば言うほど、お互いにストレスがたまります。担当を決めたら、「いつやるか」は担当者に委ね、担当者の「自主性」を大切にしましょう。
とはいえ、汚れたお皿がいつまでも残っていれば、家族にとってストレスになります。その際には、「いつやるか」ではなく、「いつまでにやるか」を決めましょう。例えば、「夜9時までに終わらせる」「入浴前までに終わらせる」などと期限を設け、その上でできていなければ指摘します。期限があいまいな状態で言われるのと、期限を明確に決めた上で言われるのとでは、言われた側の捉え方が全く違ってきます。
片方が忙しくて分担が偏ってしまう場合は?
片方が仕事などで忙しく、分担が偏ってしまう場合は、メインで家事をしている人が、「いちばん負担を感じる家事」をお願いするのも手です。例えば、排水口掃除やトイレ掃除など、「やってくれたらとても助かる」と思える家事さえお願いできれば、量的には少なくても、気持ち的にはうれしいはず。「やってくれてありがたい」という気持ちが、自然に芽生えることが大切です。
スタイル別Tips③ハイブリッド型 ――「シュフ型」「担当型」の合わせ技
「ハイブリッド型」は、「シュフ型」「担当型」のよい点も悪い点も併せ持っています。「シュフ型」で回している部分は「いつやるか」、「担当型」の部分は「いつまでにやるか」を決めることがポイントです。
夫婦で必ず共有しておきたい2つの事柄
自分たち家族の「家事スタイル」が定まったところで、さらに円滑に家事・育児を分担するために、夫婦で共有しておくべき、2つの事柄についてご紹介します。
夫婦と子どものスケジュールを共有する
1つ目は、夫婦でスケジュールを共有すること。
まずは、お互いの仕事や私用の予定を共有します。細かい内容は不要で、帰宅時間、残業の有無、外出の有無などでOK。子どもの送迎や、急な発熱時などの対応がスムーズになります。
また、保護者会や授業参観、運動会など、子どもの予定も共有します。ただし、「予定」だけを共有しても、あまり意味がありません。予定を入れる際に、その予定の頭に「(保護者のうち)どちらが行くのか」も明記します。つまり、その予定に対しての責任の所在をはっきりさせておくのです。学校行事などあらかじめ日程が決まっている場合は、月初めなどに夫婦で話し合い、誰が行くのか決めておきます。そうすれば、どちらか一方に負担が偏るのを防ぐことができます。
「時間は夫婦の共有財産」という共通認識をもつ
2つ目は、「時間は夫婦の共有財産」という共通認識です。
ワンオペの家事・育児で何がつらいかというと、「自由に使える時間が極端に少なくなる」ことではないでしょうか。子育て期間中の親が、自分の時間を確保するには、妻(夫)や祖父母、保育園、シッターさんなどに子どもを預けるしかありません。つまり、別の大人の時間と引き換えにしないと、自分の時間が得られない状態なのです。極端な話、時短で働く人にとっては、「残業できる」ことすら、自由時間のように感じることもあるはずです。
実は、「家事を5対5に振り分ける」よりも、「自由時間の公平性」のほうが、結果的に公平感につながるものです。例えば、休日の朝、ゆっくり眠りたいけれども、子どものお世話がある場合。「土曜日はママが起きるから、日曜日はパパが起きる」というふうに、自由な時間をお互いに確保し合いましょう。平日の夜や休日の数時間、それぞれが自由に過ごせる時間を作るのも◎。その場合、カレンダーにも予定として入れて、きちんと共有します。このようにして少しずつ、お互いがもつ自由時間の公平性を作っていきましょう。
子どもにも「チーム」に参加してもらうには?
お子さんが年長さんくらいになったら、家族の一員として、できれば「チーム」に参加してもらいたいものです。ここでは、基本的な考え方を紹介します。
まずは子ども自身を「自立」させる
最初にやってもらうべきは、「お手伝い」ではなくて、「自分のことは自分でできるようになる」ことです。そのほうが、結果的に親は楽になります。例えば、朝、親に起こされなくても自分で起きる、自分で登校の準備をする、自分の部屋は自分で片づけるなど、「親に手伝いをさせない」ことが、第一の目標です。
家事のひとつを子どもの「担当」にする
お子さんが自分のことは自分で行い、自立できた上で、家事を何かひとつお願いしたいという場合、先に知っておきたいのは、「お手伝い」と「家事」が違うものだということです。お手伝いは、「ほかの誰かがするべきことを助ける」こと。対して家事は、「自分が責任をもって行う役割」です。つまり、「子どもがしなかった日は親が代わりに行う」ということになると、それは「家事」ではなく「お手伝い」になります。
子どもは意外と、「信頼され、役割を与えられる」こと自体に喜びを見出すものです。お小遣いやごほうびがなくても、しっかりやり方を教えてあげて、責任をもたせることで、子どものやる気が芽生え、「チーム家事」の一員になることができるのです。
おすすめの家事は、お風呂掃除やトイレ掃除。年齢や時間的に難しい場合は、玄関の靴をそろえる、ご飯をよそう、お箸を並べるなど、まずは小さなことでも、責任をもってやってもらうことから始めるのが大切です。
家事スタイルには家族それぞれの形がある
家族や夫婦の形は本当にさまざまで、家事分担に関しても、「こうすればうまくいく」という絶対的な答えがあるわけではありません。また、家事スタイルを一度決めたからといって、ずっとそのまま続ける必要もありません。
その時々の家族の状況に応じて、自分たちなりのスタイルを模索し、その時々に合った家事スタイルを探してみるとよいでしょう。