【相模原市】こども医療費 27年春から助成拡充 18歳まで実質無償に
相模原市は11月12日、2027年4月から「こども医療費助成制度」の所得制限と一部負担金を撤廃する方針を発表した。これにより、市内の18歳までの小児医療費が実質無償化されることになる。
市内の現行制度では助成対象は0歳から高校生世代(18歳到達後の年度末)まで。高校生世代には所得制限があり、中学生以上は一部負担金を設けている。
市の子育て給付課によると25年4月時点で約8万4千人が助成対象で、新たに対象となる想定人数は高校生世代までの所得制限撤廃により約4600人、一部負担金の撤廃により約3万2千人(27年度の将来人口推計をもとに算出)。新たに必要となる予算額は年間約2億3千万円と見通している。
近隣市の動向
本村賢太郎市長は同日の記者会見で、「本来は国が統一制度を創設すべき」という従来からの考えを述べた上で、「『子育てするなら相模原』というスローガンを掲げる市として、子育て世帯の負担軽減や近隣市の動向などを踏まえながら議論を重ねてきた」と話した。
同課も「近隣の川崎市や横浜市の拡充の動きに加え、市議会からの緊急要望や請願が迅速な決定を後押しした」と背景を説明した。開始時期について市長は「各方面での調整が付けば早めることも考える」とした。
財源と削減効果
今回の拡充に伴う一般財源の増額は、県の補助金対象外で全額が市の持ち出しとなる。一方で、これまで毎年行っていた所得制限に関する資格審査が不要になるため、業務委託費や人件費を含め、「年間で約1300万円の事務費が削減できる見込み」と同課は試算している。
年間約2・3万円の負担軽減
新制度で特に影響が大きいのは、所得制限の対象となっていた高校生世代の子どもがいる世帯である。同課の試算では、高校生世代の家庭は年間で約2万3千円の負担が軽減される。
また、自己負担が完全になくなることで、「コンビニ受診」など、不要不急の受診が増えることを懸念する声もある。市は「今後、新しい医療証を交付する際などに、適正な医療機関のかかり方について改めて市民に啓発活動を行っていく」方針とした。