【約21時間】横須賀〜北九州の「東京九州フェリー」に乗ってみた / サウナと海風でととのう究極の船旅
東京から福岡までは飛行機で約2時間、新幹線なら約5時間……そしてフェリーなら約21時間かかる。時間に余裕があるなら船旅を楽しんでみてはどうだろうか。
というわけで今回は、2021年7月に就航した横須賀〜北九州間の「東京九州フェリー」を予約。横須賀港を23時45分に出航して新門司港には翌日21時00分に到着する予定だ。約21時間、船内を思いっきり満喫してきたので報告したい!
・東京九州フェリー
横須賀フェリーターミナルは、京急線「横須賀中央駅」から15分ほど歩いた場所にある。荷物が多い場合はタクシーを利用してもいいかもしれない。公式サイトによると、日曜(祝日)以外の週6日、毎日同じ時間に運航しているようだ。
料金は1万4000円。今回は1番リーズナブルな「ツーリストA」なる客室を選んだ。ちなみに「ツーリストA」でも期間によって1万4000円・1万8000円・2万円と料金が異なるらしい。部屋については後で詳しく紹介しよう。
・横須賀フェリーターミナル
乗車券を印刷もしくはスマホで事前にダウンロードした場合は「出航時間の60分前までにお越しください」とのこと。
横須賀フェリーターミナルに到着したのは21時半過ぎ。すでに多くの方がターミナル内の軽食コーナーやベンチで時間を潰していた。
腹が減っていなければ、お土産コーナーをチラ見するくらいしかやることはない。乗船時間(23時10分)まで、ただひたすら時間が過ぎるのを待った。そして……
・船内へ
いよいよ船内へ。横須賀の市花から名付けられた『はまゆう』で新門司港を目指します。
乗船するや否や「ここカジノですか?」と言わんばかりの超豪華エントランスホールが登場。スゲエエエエエ! 吹き抜けの超開放的なセレブリティ空間。なんならここで21時間過ごしてもいいレベル。
・営業時間を確認
さて、先に確認しておきたいのがレストランや大浴場の営業時間。腹は減っていないので、客室に荷物を置いたら早めに大浴場(深夜1時30分まで)に行くのが良いかも……とプランを立てた。
・客室(ツーリストA)
1番リーズナブルな「ツーリストA」は、雑魚寝部屋ではなく仕切りのある半個室タイプの部屋だった。
ロールカーテンでプライベートもしっかり確保できるのが特徴。ベッドごとにボックス・コンセントが設置されていて、カプセルホテル感覚でいつでも使える。そんでもって驚いたのがほとんど揺れないこと。
実を言うと、乗船当日は西日本を中心に暴風警報が発表され「西日本から関東まで太平洋側を中心に警報級の大雨となる恐れがある」と言われていた。いわゆる「メイストーム(5月の嵐)」というやつだ。
しかーし、航海は順調そのもの。全く酔わなかったしペットボトルが倒れるようなことも1度もなかった。終始快適な船旅である。
・大浴場
21時間の航海中に大浴場を5回利用した。東京九州フェリー自慢の露天風呂とサウナが最高なのだ。「サウナで汗を流してから露天風呂の海風でととのう」という流れがヤバい。
露天風呂でトラックドライバーのおっちゃんから声をかけられた。
「明日はお天道様が出ないみたいですな。大荒れですわ。まあでも、この船は揺れを感じませんな。この間、苫小牧から仙台に行った時なんか湯船のお湯がひっくり返るくらい揺れましてな……でもやっぱりお風呂が1番ですわ」
やっぱりいい船なのかも。大浴場とサウナを満喫してベッドで寝ていれば九州に着くんだから言うことはない。
ちなみに陸地から近い場所は電波もギリギリあるし船内Wi-Fiも使えるが、仕事をする場合はあらかじめ必要なデータ等を保存しておく必要がある。私は事前にダウンロードしておいた『ガンニバル』を船旅のお供にした。
・施設が充実しすぎ
船内施設を順番に紹介する。売店ではオリジナルグッズはもちろんタオル類やスリッパ、酔い止め薬などが売っている。また横須賀・北九州土産もズラリと揃っていた。
カップ麺やお酒などが売っている自販機コーナーもあって、
カラオケBOXやキッズコーナーもある。小さなお子様からシニアまで誰でも楽しく過ごせるはずだ。
さらにプラネタリウムや映画鑑賞が楽しめるスクリーンルームまである。上映時間以外でもビーズクッションでゆったりくつろげる穴場スポットということはあまり知られていない。
ランニングマシン2台・コードレスバイク3台を設置したスポーツルームも人気だ。
・私の過ごし方
私はレストラン・大浴場・ベッドというローテーションをひたすらくり返した。レストランでは「朝カレー(1100円)」や三崎港名物の「三崎港まぐろ & 駿河湾産釜揚げシラス丼(1400円)」を食べたが……
それ以上に自販機で買ったカップラーメンと缶ビールが美味しかった。レストランメニューも美味しいのだが、船上という特別な場所で食べるカップラーメンと缶ビールが最高過ぎたのだ。「山頂で食べると激ウマ」と同じパターンだろう。
・バーベキューもできるらしい
そういえば、レストラン横のオープンデッキではバーベキューが楽しめる(乗船後に完全予約・抽選制)そうだが、メイストームという最強悪天候ということで利用者はいなかった。
・パブリックビューイング的な楽しみ方
例の吹き抜けエントランスホールでは、大画面ディスプレイによるテレビ放映が(深夜1時から朝8時までをのぞいて)音声付きで行われている。表示されているのはNHK BSで、おっちゃんたちと2試合の野球中継を存分に楽しんだぞ。
・新門司フェリーターミナル
そんなこんなで21時15分、定刻から15分ほど遅れて新門司港に到着した。あっという間に福岡県北九州市である。こんなに快適ならもっと乗っていたかった……と思いながら下船。
下船時間に合わせて、新門司フェリーターミナルからJR門司駅・JR小倉行きの連絡バスが運行しているから助かる。北九州は大雨だった。
というわけで、飛行機や新幹線と比べると時間はかかるが移動のストレスは限りなくゼロ。なんならサウナと海風でととのいながら移動できますからね。車やバイクも積める(別料金)ので家族旅行もアリだろう。優雅な船旅、機会があれば皆さんもぜひ!
参考リンク:東京九州フェリー
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.