海保と消防が直江津港で初の合同潜水訓練 連携強化を確認
上越海上保安署は2025年9月27日、海上保安庁の潜水士と同署管内の上越市、柏崎市、糸魚川市の3消防の潜水隊員による合同潜水訓練を上越市の直江津港西埠頭で行った。約60人の海上保安官や消防隊員が海中捜索などを行い、大規模な水難事故に備えた連携を確認した。
《画像:海中からダミー人形を発見し救助する隊員》
海保と3消防の合同訓練は初めて。上越海上保安署には潜水士が配属されていないことから、伏木海上保安部(富山県高岡市)所属の巡視船「やひこ」と潜水士を迎えて実施した。
《画像:海保の潜水士と消防の潜水隊員が参加した》
海上保安庁の潜水士8人と消防の潜水隊員15人が3班に分かれ、酸素ボンベなしの遠泳や、泳ぎながらマスク、シュノーケル、フィンなどの装備を一つずつ外していく障害ドルフィン、隊員が一列になって1本のロープを持ちながら海中を進む平行捜索などを実施した。
ダミー人形を海中で捜索する訓練では、水深約10mの海底に溜まった泥を巻き上げ視界を悪化させないよう、泳ぎ方に注意しながら捜索。平行捜索のほか、海上にブイを置き円を描くように捜索する環状捜索も行い、海中の人形を発見した。
《画像:2人1組で装備を順番に外しながら遠泳する障害ドルフィン訓練》
訓練後は潜水士と消防隊員が捜索方法や海中でのロープ信号などについて互いに検討した。
《画像:海保の潜水士からロープ信号の指導を受ける消防隊員》
やひこの坂田修船長は「広大な海上と長大な沿岸を海保だけで全てカバーするのは困難で、一人でも多くの命を助けるためには、消防との連携協力で近くで助ける“近助”が有効だ。今後も連携強化に取り組んでいきたい」と講評した。
上越消防署特別救助隊の服部達暉さん(31)は「充実した訓練だった。海中で使用するロープの種類や太さが海保と消防で違い、海保の潜水士からメリットも聞いたので、今後、消防でも取り入れたい。合同訓練は現場の活動力が向上し、連携も図れるので、継続して来年以降も実施してほしい」と話した。
《画像:訓練のため直江津港に入港した伏木海上保安部所属の巡視船「やひこ」》