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創業から50年。親子2代でひたすら美味しいコーヒーを追求する名店「三和珈琲館」【福岡市西区】

フクリパ

創業から50年。親子2代でひたすら美味しいコーヒーを追求する名店「三和珈琲館」【福岡市西区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡にあるそんな「昭和レトロを感じられる喫茶店」や「ネオ喫茶」をご紹介していきたいと思います。

三和珈琲館の場所は今宿から前原方面に向かう国道202号線沿い

 

今回ご紹介する「三和珈琲館」の場所は今宿から前原方面に向かう国道202号線沿い。

姪浜方面からだと、今宿を過ぎて九大学研都市方面に進んでいると、ドン・キホーテ今宿店の道向かいにある大きなグリーンの看板が目印となります。

 

 

急角度の三角屋根が特徴的な外観。

無駄を削ぎ落としたシンプルさがなんとも美しいです。

 

 

木をふんだんに使用した外壁には「三和珈琲館」の看板が掲げられています。

店内は禁煙ですが、エントランスに灰皿が完備されていますので、愛煙家の方はぜひこちらをご利用ください。

 

 

エントランスのガラス越しには巨大な2台の焙煎機が鎮座しています。

 

 

創業当初から使われているという、ドア前の木彫りの看板。かなり手が込んだ秀逸な作りになっています。

 

昔懐かしいクラシカルな空気をまとった店内空間

 

入店するやいなや出迎えてくれるのはコーヒーの木。真っ赤なコーヒーチェリーを実らせていました。

 

 

ショーケースには様々な抽出器具がズラリと並んでいます。

もちろん購入することもできますので、抽出までこだわる方はぜひチェックしてみてくださいね。

 

 

外観と同様にウッドを基調に構成された店内。クラシカルさも感じられます。

 

 

店内はテーブル席とカウンター席があり、席数は合計40席。

こちらはブルーのソファーが印象的なテーブル席。アール型の窓からはやわらかな光が差し込みます。

 

 

カウンターの上にはアンティーク調のライトが吊り下げられており、クラシカルな雰囲気にさらに拍車を掛けています。

 

 

銅色に鈍く光る大きな世界地図のアートは、創業当初にお客様から寄贈されたものなんだとか。

年季を帯びて良い味わいを醸し出しています。

 

三和珈琲館の歴史

創業者であり初代マスターの井手一博さん(右)と2代目マスターの息子・公太郎さん。

 

三和珈琲館の創業者は井手一博さん。

元々福岡でサラリーマンとして働いておられ、同僚だった奥様と出会い、結婚。その後、元来のコーヒー好きが高じて「コーヒーを仕事にしたい」という思いから一念発起。夫婦で勤め先を退職し、コーヒーを勉強するために上京。大手焙煎会社に入社し、コーヒー焙煎の業務に携わられました。

 

大手焙煎会社に在籍中、今や全国に200店舗以上を展開する「珈琲館」が、「自家焙煎コーヒーをはじめるので手伝って欲しい」との誘いを受けて転職。まだ東京都内に5店舗しかなかった時代に珈琲館初の焙煎工場の立上げから携わり、工場長として着任されました。

 

しかし、「自分がこだわった美味しいコーヒーを提供したい」という思いが募り、福岡に戻り、中央区六本松の六本松交差点そばに昭和49年(1974年)8月、焙煎室を持つ自家焙煎のコーヒー専門店「三和珈琲館」を開業されました。

当時の福岡では自家焙煎のコーヒー専門店は非常に珍しかったんだそうです。

 

ありし日の三和珈琲館 六本松店の外観。

 

開業直後の11月、息子の井手公太郎さんが誕生。

開業と子育てが重なったことで大変だったそうですが、「美味しいコーヒーが飲める店」として当時六本松にあった九州大学の学生や教授の間で評判となり、とても繁盛したそうです。

 

オープンから5年後の昭和54年(1979年)には2号店となる「今宿店」が開業。夫婦2人で2店舗を切り盛りすることになりました。

 

かつての今宿店。当時もグリーンの看板が目印になっていました。

 

幼少時代から働く両親の姿を見ながら育った公太郎さんも、高校時代に家業を継ぐことを決意。大学卒業後は飲食業界に従事しながら店舗運営を学び、27歳で三和珈琲館に合流。以来、親子2代で三和珈琲館の看板を守り続けています。

 

六本松店は2019年12月、福岡市の都市計画により惜しまれつつも閉店。今宿店はそのまま本店となり、創業当初の志を今でもしっかりと受け継いでいます。

 

六本松店閉店の際には新聞記事としても取り上げられました。多くの方から愛されていた証拠ですね。

 

なお、初代マスターの井手一博さんは珈琲研究家として1981年〜2019年まで福岡市の講師となり、コーヒーの普及活動にも寄与されました。

現在御年87歳ながらも、お店でハンドピックなどの業務に携わっておられます。

 

コーヒーへのこだわりが詰まったメニューブック

 

三和珈琲館が大切にしていること。

それは「希少な最高級の豆」を「完全に手作業で選別(ハンドピック)」し、「生鮮食品である豆の個性を十分に焙煎で引き出し」、「豆本来の純粋な味をネルドリップで抽出する」ということ。

メニューブックにはそんなマスターのコーヒーに対する考え方やこだわりが記載されています。オーダーする前にぜひ目を通してみてくださいね。

 

 

さらに「ブラックコーヒーに挑戦!」と名付けられたファイルもありました。

「コーヒーは3口目が本当の味」。

まだブラックコーヒーを飲んだことがない方は、これを読んでぜひチャレンジされてみてはいかがでしょうか?

 

上皇様にも献上されたブレンドコーヒーを筆頭とした豊かなメニュー構成

 

ストレートコーヒーは最上位のブルーマウンテンNO.1(税込 1,650円)を筆頭に、世界各地の豆がラインナップされており、そのひとつひとつにマスターの解説が記載されています。

 

 

オリジナルブレンドコーヒーは6種類。その中にある「エンペラーズ・ブレンド(税込1,150円)」と「ミレニアム・ブレンド(税込1,050円)」は、なんと長年上皇様に献上されてきたものなんだそうです!

さらにエスプレッソ系からアレンジコーヒーまで様々な種類のコーヒーが揃っています。いろんな味わいのコーヒーを楽しめるのは、やはりコーヒー専門店ならでは。

 

 

三和珈琲館はコーヒー専門店ですが、フードメニューもあるんです。

手作りハンバーグやタカナライス、生姜焼きやカレー、パスタなど全7種類が揃っています。

そのほかにもピザやサンドウィッチ、ホットケーキといった軽食から、コーヒーゼリーやケーキといったデザートもオーダーできますよ。

 

 

今回オーダーしたのはバリエーションコーヒーの中のひとつウィンナーコーヒー(税込680円)。

コーヒーの表面が厚いクリームで覆われており、クリームをスプーンですくって食べたり、溶かしたりしながら味わうスタイルの、オーストリアが発祥のコーヒーです。

元々ウィーンの馬車の御者がコーヒーを飲む際、冷めないようにクリームで蓋をしたのが由来だとされているそうです。

とにかくコーヒーのバリエーションが豊富なので、ぜひ通っていろんなスタイルのコーヒーを味わってみてほしいですね。

 

 

創業から50年。

親子2代にわたり「美味しいコーヒー」を追求するその揺るぎない姿勢は、今や福岡のみならず、全国にファンを持つほどの名店になりました。

あなたも「最高の一杯」に出会うために、三和珈琲館まで足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

三和珈琲館

■住所:福岡市西区横浜3-34-8

■TEL:092-807-0344

■営業時間:10:00~20:30

■定休日:無休(年末年始は休業)

■喫煙:NG

■公式サイト:http://sanwacoffee.jp/

 

 

 

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