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かかりつけ医がいない!高齢者や要介護者の医療サポート選び方・見つけ方を紹介

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

かかりつけ医がいない場合の対処法と重要性

高齢者や要介護者の健康管理において、かかりつけ医の存在は非常に重要です。しかし、さまざまな理由でかかりつけ医がいないという方も少なくありません。ここでは、かかりつけ医がいない場合の対処法と、その重要性について詳しく解説していきます。

かかりつけ医がいない場合の一時的な対応策

かかりつけ医がいない状況で体調不良や健康上の不安が生じた場合、以下の対応策を検討してみましょう。

地域の診療所や病院の一般外来を受診する

まずは最寄りの診療所や病院の一般外来を受診しましょう。急な体調不良に対応できますが、この場合は過去の診療歴がないため、詳細な説明が必要になります。

休日夜間急患センターを利用する

休日や夜間の急な体調不良時には、地域の休日夜間急患センターを利用することができます。ただし、軽症の場合は待ち時間が長くなる可能性があるので注意が必要です。

電話相談サービスを活用する

多くの自治体では、看護師による電話相談サービスを提供しています。医療機関を受診すべきか迷うような状況であれば、連絡をして判断を仰ぎましょう。

これらの対応策は一時的なものであるため、継続的に健康管理をするためにはかかりつけ医を持つことは重要です。

高齢者・要介護者にとってのかかりつけ医の重要性

高齢者や要介護者にとって、かかりつけ医の存在は特に重要です。その理由として以下が挙げられます。

継続的な健康管理

定期的に同じ医師の診察を受けることで、健康状態の変化を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。

複数の疾患への対応

加齢に伴って複数の慢性疾患を抱えているケースも多く、それらを総合的にサポートしてくれます。

介護サービスとの連携

介護が必要な方の場合、医療と介護の連携が欠かせません。かかりつけ医は介護サービス提供者と連携し、適切なケアを提供する上で重要な役割を果たします。

緊急時の対応

急な体調変化や緊急時に、かかりつけ医がいることで迅速かつ適切な対応が可能になります。

心理的な安心感

信頼できる医師が近くにいることは、患者や家族の不安軽減につながります。

日本医師会総合政策研究機構の調査によると、70歳以上の高齢者の約8割がかかりつけ医がいるというデータがあります。

出典:『第7回日本の医療に関する調査』(日本医師会総合政策研究機構)を基に作成

この数字からも、高齢者にとってのかかりつけ医の重要性が伺えます。

かかりつけ医を持つことで得られる5つのメリット

かかりつけ医を持つことで、患者やその家族は以下のようなメリットを得ることができます。

健康状態の継続的な把握

定期的に同じ医師の診察を受けることで、健康状態の変化を的確に把握できます。これにより、疾病の早期発見・早期治療につながることもあります。

適切な専門医への紹介

かかりつけ医は患者の状態を把握しているため、必要に応じて適切な専門医や医療機関を紹介することができます。

重複診療・重複投薬の防止

複数の医療機関を受診する際に起こりがちな重複診療や重複投薬を防ぐことができます。これは特に高齢者の方にとって重要です。

在宅医療の提供

状態が悪化して通院が困難になった場合でも、在宅での継続的な医療提供が可能な場合があります。

地域包括ケアシステムとの連携

かかりつけ医は地域の医療・介護サービスと連携し、患者さんに適切なケアを提供する上で重要な役割を果たします。

かかりつけ医の見つけ方と選び方のポイント

かかりつけ医の重要性は説明しましたが、どのように見つけ、選べばいいのか分からないと悩む方も少なくないと思います。ここでは、高齢者や要介護者のためのかかりつけ医の具体的な見つけ方と選び方について解説します。

かかりつけ医を見つける方法

かかりつけ医を見つける方法として、以下の方法が挙げられます。

地域の医師会や自治体の情報を活用する

地域の医師会や自治体のウェブサイトには、地域の医療機関情報が掲載されていることが多いです。これらの情報を活用して、自宅や職場の近くにある診療所や病院を探してみましょう。

口コミや知人の紹介を利用する

家族や友人、近所の方などから、近隣で評判の良い医療機関や医師について話を聞くことも有効でしょう。特に高齢者の場合、同じような健康上の悩みを持つ人からの紹介は参考になります。

医療機能情報提供制度を活用する

「医療機能情報提供制度」とは、医療機関に対して医療機能の報告を義務付けた制度です。「医療情報ネット(ナビイ)」では、全国の医療機関や薬局についての情報が収集が可能です。

これらの方法を組み合わせることで、自分に適したかかりつけ医を見つけやすくなります。

高齢者・要介護者向けかかりつけ医の選び方チェックリスト

高齢の方や介護が必要な方がかかりつけ医を選ぶ際は、以下のようなポイントをチェックすることをおすすめします。

アクセスの良さ 自宅や介護施設から通いやすい場所にあるか
公共交通機関でアクセスしやすいか
駐車場は十分にあるか

診療科目と専門性 自分の持病や症状に対応できる診療科目があるか
高齢者医療や在宅医療の経験が豊富か

診療時間と待ち時間 診療時間が自分のライフスタイルに合っているか
予約制を導入しているか(長時間の待ち時間を避けられるか)

設備とバリアフリー対応 車いすでも利用しやすいバリアフリー設計になっているか
必要な検査設備が整っているか

コミュニケーション能力 医師や看護師が丁寧に説明してくれるか
質問や相談がしやすい雰囲気があるか

在宅医療への対応 状態が悪化した際に往診や訪問診療に対応してくれるか

地域の医療・介護ネットワークとの連携 地域の他の医療機関や介護サービスと連携しているか

緊急時の対応 休日や夜間の緊急時にも対応してくれるか、または適切な医療機関を紹介してくれるか

これらのポイントを総合的に考慮し、最適なかかりつけ医を選びましょう。

かかりつけ医との上手な付き合い方と相談のコツ

かかりつけ医を見つけた後は、良好な関係を築いていくことも重要です。以下に、かかりつけ医との上手な付き合い方と相談のコツをいくつか紹介します。

1. 定期的に受診する

症状がなくても、定期的に受診することで、健康状態の変化を把握しやすくなります。

2. 健康状態や生活習慣の変化を報告する

些細な変化でも、積極的に医師に伝えることが大切です。

3. 質問や疑問点をメモしておく

診察の際に聞き忘れないよう、事前に質問事項をメモしておきましょう。

4. 処方された薬の効果や副作用を報告する

薬の効果や副作用について、正直に報告することで、より適切な治療を受けられます。

5. 他の医療機関の受診歴や服用中の薬を伝える

重複診療や薬の相互作用を防ぐため、他の医療機関での受診歴や服用中の薬(サプリメントを含む)を必ず伝えましょう。

6. 介護サービスの利用状況を共有する

要介護者の場合、利用している介護サービスの内容を医師に伝えることで、より適切な医療・介護連携が可能になります。

7. 家族や介護者も診察に同席する

特に認知症の方や重度の要介護者の場合、家族や介護者が同席することで、より正確な情報共有が可能になります。

8. 遠慮せずに相談する

健康上の不安や生活上の困りごとなど、医療以外の相談も遠慮せずにしましょう。適切な支援につながる可能性があります。

これらのポイントを意識することで、かかりつけ医とより良い関係を築き、適切な医療サービスを受けることができます。

かかりつけ医がいない場合の医療サポート体制

ここまで紹介してきましたが、かかりつけ医を見つけようとしても、なかなか見つからない場合もあります。そのような状況でも、適切な医療サポートを受けることは可能です。ここでは、かかりつけ医がいない場合の代替的な医療サポート体制について説明します。

オンライン診療・訪問診療の活用方法と注意点

近年、オンライン診療や訪問診療の普及が進んでおり、これらのサービスを活用することで、かかりつけ医がいない場合でも適切な医療サポートを受けることができます。

オンライン診療の活用方法

オンライン診療では、スマートフォンやタブレット、パソコンを使用して、ビデオ通話で医師の診察を受けることができます。慢性疾患の定期診療や、軽度の症状の相談などに適しています。初診からオンライン診療を受けられる医療機関もありますが、多くの場合は一度実際に医療機関を受診する必要があります。

ただし、オンライン診療には注意点もあります。緊急性の高い症状や、詳細な身体診察が必要な場合は適していません。また、通信環境や機器の操作に不安がある場合は、家族や介護者のサポートが必要です。さらに、オンライン診療に対応している医療機関は限られているため、事前に確認が必要です。

訪問診療の活用方法

訪問診療では、医師が定期的に自宅や施設を訪問し、診療を行います。通院が困難な高齢者や要介護者に適しています。かかりつけ医がいない場合でも、地域の訪問診療を行う医療機関に相談することで利用できる可能性があります。

訪問診療を利用する際も、いくつかの注意点があります。すべての医療機関が訪問診療を行っているわけではないため、対応可能な医療機関を探す必要があります。また、緊急時の対応について、事前に医療機関と確認しておくことが重要です。介護保険サービスを利用している場合は、ケアマネージャーに相談するのも良いでしょう。

2019年の国民生活基礎調査によると、60代以上の方は外来受診率(在宅を含む)も他の年齢層と比較して高いことがデータとして示されています。

出典:『2019年 国民生活基礎調査の概況』(厚生労働省)を基に作成

言うまでもありませんが、高齢者の医療ニーズは高い状態にあることを示し、オンライン診療や訪問診療などの代替的な医療サポートも重要となっていくことが考えられます。

地域包括支援センターを活用した医療相談の進め方

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口として、医療や介護に関するさまざまな相談に対応しています。かかりつけ医がいない場合でも、地域包括支援センターを活用することで、適切な医療サポートにつながる可能性があります。

1. 地域包括支援センターの役割

高齢者の健康や福祉、介護に関する総合的な相談窓口
介護予防ケアマネジメント
権利擁護や虐待防止
ケアマネージャーへの支援

2. 地域包括支援センターを活用した医療相談の進め方

最寄りの地域包括支援センターを探す
現在の健康状態や服用中の薬などの情報を用意する
地域包括支援センターに連絡し、かかりつけ医がいないことや求めている医療サポートについて相談する
提案された支援策を検討する
必要であれば継続的なサポートを受ける

地域包括支援センターは、地域の医療・介護資源に精通しているため、かかりつけ医がいない場合でも、適切な医療サポートにつなげてくれる重要な窓口となります。

緊急時の対応計画:かかりつけ医がいない場合の備え

かかりつけ医がいない場合、特に緊急時の対応に不安を感じる方も多いでしょう。以下に、緊急時に備えるためのポイントをまとめます。

1. 緊急時の医療機関リストを作成する

近隣の救急病院や休日夜間急患センターの連絡先と場所を調べ、リストにまとめておきます。
可能であれば、それぞれの医療機関の特徴(対応可能な診療科目など)も把握しておくと良いでしょう。

2. 救急電話相談サービスの番号を確認する

多くの地域で、#7119(救急安心センター事業)などの電話相談サービスが提供されているので、緊急時にすぐに相談できるようにしておきます。

3. 持病や服用中の薬の情報をまとめる

持病の症状や経過、服用中の薬の情報をまとめたメモを作成し、常に携帯します。
アレルギー歴や過去の手術歴なども記載しておくと良いでしょう。

4. 家族や近隣の支援者と情報を共有する

緊急時の対応計画を家族や近隣の支援者と共有し、協力を依頼しておきます。
独居の場合は、定期的に安否確認をしてもらえるよう依頼しておくことも重要です。

5. 介護サービスを利用している場合は、ケアマネージャーと相談する

ケアマネージャーを通じて、地域の医療資源について情報を得ることができます。
緊急時の対応について、ケアプランに組み込んでもらうことも検討しましょう。

6. 救急車の適切な利用方法を確認する

どのような状況で救急車を呼ぶべきか、事前に確認しておきます。
救急車を呼ぶ際に必要な情報(住所、症状など)をリストアップしておきます。

これらの準備をしておくことで、かかりつけ医がいない場合でも、緊急時により適切に対応することができます。ただし、これはあくまで一時的な対策であり、長期的にはかかりつけ医を見つけることが重要だと言えます。

かかりつけ医がいない場合でも、この記事で紹介した方法を参考に、医療サポートを受けることは可能です。しかし、継続的な健康管理や緊急時の迅速な対応のためには、やはりかかりつけ医を持つことが望ましいでしょう。

そして、かかりつけ医が見つかった後も、定期的な受診や適切なコミュニケーションを通じて、良好な関係を築いていくことが重要です。健康に不安を感じたり、医療に関する疑問があれば、遠慮せずに相談するようにしましょう。

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