介護職は人見知りでも大丈夫!現場で使えるコミュニケーションのポイントを解説します!
本日のお悩み:人見知りでも介護職に挑戦できる?
介護職に興味はありますが、人見知りです。
介護職にコミュニケーション能力が必須であるという記事をよく目にします。人見知りだと介護職に挑戦することは難しいのでしょうか。
人見知りのあなただからこそできる介護があります!
執筆者/専門家
古畑 佑奈
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19
「人見知りで介護職をやっていけるかどうか…」
不安な気持ち、よくわかります。なぜなら、私も人見知りだからです。何年も介護の仕事をしていますが、いまだに初めましての方は緊張します。
介護職にコミュニケーション能力は必須です。
しかし、人見知りであっても介護職として活躍することは十分に可能であると思います。なぜなら、介護の現場で求められるコミュニケーション能力は、決して「誰とでも流暢に話せる能力」だけではないからです。
そもそも人見知りはなぜ起こるのか
そもそも「人見知り」はどうして起こるのでしょうか。
ここでは、以下3つの視点から考えてみましょう。
1.脳の働きによるもの
2.心理的な要因
3.環境や経験によるもの
1.脳の働きによるもの
● 扁桃体(へんとうたい)の影響
人の脳には「扁桃体」という部分があり、これは恐怖や不安を感じたときに活発に働くとされています。初対面の人と会うとき、扁桃体が「この人は安全かどうか?」を瞬時に判断し、警戒モードに入ることがあります。
この扁桃体の反応が強い人ほど、知らない人と接するときに強い緊張を感じやすく、人見知りになりやすいのです。
● 進化の観点から
人見知りは、生き残るための本能的な反応とも考えられています。昔の人類は、「知らない人=敵や危険な存在」である可能性が高い環境で生きていました。そのため、初めて会う人に対して警戒することが生存戦略の1つだったのです。
この警戒心が、現代にも「人見知り」として残っていると考えられます。
2.心理的な要因
●自己意識の高さ
人見知りの人は、「相手にどう思われるか」を強く意識しやすい傾向があります。
例えば、「変なことを言ったらどうしよう」「相手に嫌われたらどうしよう」「うまく話せなかったら恥ずかしい」といった不安があると、緊張して言葉が出にくくなり、結果として人見知りのような反応をしてしまいます。
●過去の経験の影響
過去に「話しかけたけど無視された」「会話で失敗して恥ずかしい思いをした」といった経験があると、新しい人との会話を避けようとする傾向があります。
その結果、人見知りとなり、話すことへの自信を失ってしまうでしょう。
3.環境や経験によるもの
●幼少期の育ち方
子どもの頃に、家族以外の人と接する機会が少なかった場合、人見知りが強くなることがあります。
例えば、「あまり外で遊ばず、親しい家族とだけ過ごしてきた」「幼少期に人見知りが強い親に育てられた(親の影響を受ける)」といった環境だと、新しい人との関わりに慣れておらず、大人になっても人見知りしやすくなります。
●文化的な影響
日本では、「空気を読む文化」が強く、人前での発言や目立つ行動を避ける傾向があります。
そのため、「失敗したらどうしよう」「周りからどう見られるか気になる」といった意識が強まり、人見知りが生まれやすい環境になっています。
自分らしくいられるペースで過ごしましょう!
これらの原因が複合的に絡み合い、人見知りを引き起こすと考えられます。ただ、人見知りは変えられない性格ではなく、経験を積むことで克服することが可能と言われています。
また「人見知り=悪いこと」ではありません。無理に性格を変えようとせず、自分らしくいられるペースで人と関わることが大切です。
介護現場で本当に求められるコミュニケーション能力
なぜ、私がこんなに「人見知り」について詳しくお伝えしたかというと、我々介護職のみならず、利用者さんのなかにも人見知りの方が必ずいると思うからです。
コミュニケーションは双方向に行うものなので、こちらが思ったような反応が利用者さんから返ってこなかったとしても落ち込まず、「もしかしたら相手も人見知りなのかもしれない」と考えることも必要ではないかと思います。
そのうえで、介護職に求められるコミュニケーション能力は主に以下の3つではないかと考えます。
1.傾聴力:相手の話に耳を傾け、共感する力
2.観察力:相手の表情や仕草から、言葉にならない思いを汲み取る力
3.受容力:相手の個性や価値観を受け入れ、尊重する力
1.傾聴力
介護の現場では、利用者さんの話に耳を傾け、気持ちを理解しようとする姿勢がとても大切です。利用者さんの中には、お話しすることが好きな方も多く、会話をすることで安心感を得る方もいます。
無理にたくさん話さなくても、相づちを打ったり、うなずいたりするだけで「この人は話をちゃんと聞いてくれる」と信頼してもらえることが多いです。
2.観察力
利用者さんは言葉で気持ちを伝えるのが難しい場合もあります。
そのため介護職の方は、表情や仕草から「何を求めているのか?」を察する力が求められます。
3.受容力
人見知りの方は、最初は打ち解けるのに時間がかかるかもしれません。介護の現場では、利用者さんとの信頼関係を築くことが何よりも大切です。派手な会話がなくても、誠実な態度で接することで「この人といると安心する」と感じてもらえるでしょう。
これら3つは、決して話上手である必要はありません。利用者さん一人ひとりと向き合い、丁寧なコミュニケーションを重ねることで、厚い信頼関係を築いていくことができるでしょう。
介護現場で働く際にできるコミュニケーションの工夫
人見知りであるからこそ、相手の気持ちを深く理解し、共感することができたり、慎重に言葉を選ぶことで、相手を傷つけることなく思いやりを持って接することができたりなど、強みとなることもあるでしょう。
とはいえ、いざ関わるとなると緊張しますよね。働く際に意識していただきたいことを具体的に挙げていきます。
1.挨拶+一言を意識する
2.笑顔や相づちを意識する
3.仕事の流れを覚えて余裕を持つ
4.無理に社交的になろうとしない
1.挨拶+一言を意識する
「おはようございます」という挨拶に加えて、「今日は天気がいいですね」「寒いですね」など、短い言葉を意識するだけでも十分なコミュニケーションになります。
最初から長く話そうとせず、シンプルな言葉をかけることで、利用者さんとの距離を少しずつ縮めることができます。
2.笑顔や相づちを意識する
言葉が少なくても、笑顔で接することや、うなずくことで相手に安心感を与えることができます。
利用者さんは、話を聞いてくれる人に対して安心感を抱くことが多いため、会話が苦手でも「ちゃんと聞いていますよ」という姿勢を示すだけで好印象になります。
3.仕事の流れを覚えて余裕を持つ
人見知りの方は、初めての環境では緊張しやすいですが、仕事の流れが分かれば安心感が生まれます。
最初は戸惑うことも多いですが、少しずつ業務を覚えていくことで余裕ができ、人との関わりもスムーズになっていきます。
4.無理に社交的になろうとしない
「もっと話さなきゃ」と無理に自分を変えようとすると、かえって疲れてしまいます。
人見知りの方は、自分らしい接し方を大切にしながら、少しずつ関係を築いていくことが重要です。派手な会話がなくても、「誠実に接すること」が利用者さんにとって一番大切です。
最後に:自分らしいコミュニケーションを心がけましょう!
コミュニケーションについて意識をすると、どうしても「話さなきゃ」「盛り上げなきゃ」などといった気持ちが出てくると思います。しかし、介護業界のコミュニケーション力で必要なのは、「盛り上げる力」以上に「寄り添う力」です。
人見知りのあなただからこそ、できる介護があります。自信を持って、あなたらしい介護の道を歩んでいってください。応援しています!
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