ふるさと納税 過去最多33億円が流出 取り組み強化で寄付額増へ
ふるさと納税制度に伴う相模原市の2024年度住民税控除額(流出額)が過去最多の約33億円に上ることがこのほど、総務省の調査でわかった。相模原市への「返礼品つき」の寄付額は前年比約2億円増加したが、流出額との差は広がっている。市場規模が拡大する中、その差を縮めようと市は新たな取り組みを開始する。
ふるさと納税は、選んだ自治体に寄付することで住民税の控除などが受けられる制度。近年では返礼品目的の寄付が増え、特に都市部の自治体で市税流出が課題となっている。
相模原市の住民税控除額は24年度、過去最多の33億6617万円を記録。前年度と比べて4億円以上増加しており、県内では横浜市、川崎市に次いで3番目に多い結果となった。
「返礼品つき」寄付額は2億円増
一方で23年度の相模原市への寄付額をみると、「返礼品つき」は前年比で約2億円増加し過去最多。ただ全体で見ると前年に比べて約3億円減の約6億円となっている。これについて市財政課の担当者は、21、22年度に「返礼品なし」の大口の寄付があった影響だと話す。
相模原市は以前から寄付額増とふるさと納税制度を活用したシティプロモーションに力を入れており、22年度には制度に関する事務を財政課から観光・シティプロモーション課(現シティプロモーション戦略課)に移管。返礼品の充実やPRを強化している。現在、返礼品は470品目まで増えており、手続きで使うサイトも6つに増えた。
こうした取り組みの結果、返礼品つきの寄付額はここ数年で大きく増加。昨年は返礼品の基準が厳格化されたことによる「駆け込み寄付」の影響もあり、さらに寄付額が伸びたと考えられる。
市財政課の担当者は「返礼品つきの寄付額については順調に伸びているが、市場規模の拡大で流出額も増えており追いついていない状況。返礼品つきの寄付額を増やしその差を縮めていく必要がある」と話している。
「現地型」導入
流出額が全国トップの横浜市や国からの補填が受けられない川崎市も返礼品競争に本格参入し寄付額を伸ばす中、相模原市では9月上旬から新たな取り組みとして現地決済型ふるさと納税サービス「ふるまちPay」を開始する。「ふるまちPay」は、スマートフォンから寄付を行い、その場で返礼品として市内の加盟店で使える電子クーポンを受け取ることができるサービス。手軽に寄付ができることに加え、市内への来訪者増加や地域経済活性化への効果も期待されるという。
市は現在、サービス開始に合わせて「ふるまちPay」を利用できる「加盟店」を募集している。