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私の航海日誌~あの人の人生譚~佐久間 英利さん Vol.6

チイコミ!

私の航海日誌~あの人の人生譚~佐久間 英利さん Vol.6

佐久間 英利さんプロフィール千葉県商工会議所連合会会長、千葉銀行 前取締役頭取
生年月日/1952年10月1日
出身地/千葉県君津郡中郷村(現木更津市)
趣味・特技/音楽鑑賞、ガーデニング、読書

インドから帰国後すぐに頭取に

2008年、偶然にもインド・ムンバイ同時多発テロに遭遇した私は、なんとかホテルの部屋から脱出。その晩は見ず知らずのインド人のオフィスにお世話になり、翌日はみずほ銀行の支店長がゲストルームを提供してくれた。やっと安心して眠ることができ、本当にありがたかった。もっとも本当の意味でほっとしたのは、その翌日に日本に帰国して、家に到着した瞬間だった。この数日間の冒険物語については、いくら話しても時間が足りない。

上層部に事態を報告する必要があったので、ムンバイの空港で新聞などを集めてきたが、日本に帰国した翌日に前任の頭取が倒れてしまった。約2週間後の12月半ばに病室に呼ばれて後を託され、私は3月1日から頭取の職に就くこととなった。

職員とその家族を守るという使命感

インドで大変な事態に巻き込まれてから、日本に帰国してしばらくの間の出来事は、今でも鮮明に記憶に残っている。日本で家族の出迎えを受けた時、訪問の約束をしていたお客様に会えた時、生への喜びとともに、人との縁やつながりの尊さを実感した。この体験で芽生えた「何にも増して人が大事だ」という思いや「職員とその家族を守らなければならない」という使命感が、経営者としての私のバックボーンとなった。当時はリーマンショックの最中で日々大変な思いで過ごしていたが、人の命と比べれば、大した事ではないと思えた。

銀行経営において、2つ心がけてきたことがある。1つは「多くの人と会い、ふれあいを大事にする」こと。常に一期一会を意識し、感謝の気持ちで人と接してきた。2つ目は「やるべきことはすぐにやる」ということ。「5分後、10分後は何が起きるかわからない」と考え、正しいと思ったことや決断したことは躊躇なく実行した。以前は食べたいものは最後に食べる性格だったが、この経験を経て真っ先に食べるようになった。

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