桜を愛でる花見の城 2024【東北・北海道編】幕末の武士たちに想いを馳せる東北・北海道の桜|お城情報WEBメディア「城びと」
春の訪れを告げる桜の花。お城で楽しめる桜まつりやお花見スポットをご紹介。今回は東北と北海道の桜の名城をめぐります!※イベントについては中止・変更となる場合がございますので、各自治体・観光協会・お城のホームページなどを確認の上、お出かけいただきますよう、お願いいたします。
全国各地をめぐり桜の名城を紹介してきた「全国縦断!桜を愛でる花見の城」。最終回は東北・北海道の名城を紹介します。東北・北海道は桜の開花が遅いので、桜まつりなどのイベントもゴールデンウィークまで開催されています。東北や北海道では5月初旬まで桜まつりが行われている場所も多いので、連休を利用して足をのばしてみるのも良いかもしれませんね。
▼お花見ができる【桜の名城MAP】詳しくはこちら
[会津若松城]桜と赤瓦が奏でる春のハーモニー
「鶴ヶ城」とも呼ばれる、赤瓦の天守が美しい会津若松城(福島県)。戊辰戦争の戦いの一つで、新選組の齋藤一も参加していた会津戦争の舞台となった城です。新政府軍の砲撃にさらされた天守は大きく損壊し、戦後取り壊されてしまいましたが、1965年に外観復元されました。
会津若松城には約1000本の桜が植えられており、4月上旬頃から開花しはじめます。見頃時期に行われる「鶴ヶ城さくらまつり」では、蒲生氏郷が城下に敷いた十楽を再現したイベント「會津十楽春の陣」などが開催。夜桜のライトアップも行われ、1000本の桜と天守が幻想的な風景を織り成します。
天守と桜。全国唯一の赤瓦の天守と桜の調和が美しい(会津若松市提供)
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]鶴ヶ城さくらまつり
開催日:2024年4月5日~5月7日
会場名:鶴ヶ城本丸他
アクセス:JR若松駅からバスで「鶴ヶ城入口」下車、徒歩約5分
[二本松城]霞の城にたなびく桜雲
戊辰戦争激戦地の一つであり、二本松少年隊の悲劇などで知られる二本松城。城内には少年隊の銅像や顕彰碑が立ち、藩に殉じた少年たちの姿を今に伝えています。城跡には約2500本の桜が咲いており、城に桜色の雲がかかったような光景を楽しめます。
「霞ヶ城」の別名は、城内の桜が城をおおう霞のように見えることからついた名
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]霞ヶ城公園桜まつり
開催日:2024年4月5日~4月15日
会場名:霞ヶ城公園
アクセス:JR二本松駅から徒歩約20分
[船岡城]桜のトンネルをくぐり抜けて訪ねる山城
陸奥国の要衝に築かれ、江戸時代は仙台藩の支城として仙台城(宮城県)や白石城(宮城県)などともに防御ラインを形成していた船岡城(宮城県)。はじめ原田氏が城主として置かれていましたが、伊達騒動により原田氏が断絶すると代わりに柴田氏の城となります。廃城後は船岡城址公園となっており、1975年には山頂に船岡平和観音が建設されています。
船岡城址公園には約1000本の桜が植えられており、城下の白石川堤防沿いの桜並木と一体となった光景は宮城で唯一の「日本さくら名所100選」に選ばれるほどの美しさです。船岡城がある柴田市では4月上旬〜下旬にかけて「しばた桜まつり」が開催され、県内外から20万人もの花見客が訪れます。
花見客を乗せたスロープカーは、桜のトンネルを抜けて山頂の主郭を目指す
[桜の見頃]4月上旬 ~ 4月中旬
[イベント]しばた桜まつり
開催日:2024年3月31日〜4月16日
会場名:船岡城址公園
アクセス:JR船岡駅から徒歩15分
[白河小峰城]震災復興を果たした東北三名城の桜
奥州街道沿いの要衝の地に築かれ、東北三名城の一つに数えられる白河小峰城(福島県)。戊辰戦争時に奥羽列藩同盟と新政府軍で激しい争奪戦が繰り広げられ、新政府軍は白河小峰城を守り通したことでその後の戦いを有利に進めることができました。2011年の東日本大震災では石垣が崩落する被害を受け入城禁止となっていましたが、修復工事が無事に完了し2015年から入場可能となっています。
白河小峰城には城の改修時に人柱となった娘を悼む「おとめ桜」の他、約180本の桜が植えられており、桜の名所として知られています。桜が見頃を迎える頃に「白河桜まつり」が開催。
御三階櫓と桜。この御三階櫓とその周辺が人気のフォトスポットだ
[桜の見頃]4月上旬~4月中旬
[イベント]白河桜まつり
開催日:2024年4月14日
会場名:白河小峰城
アクセス:JR白河駅から徒歩約5分
[鶴ヶ岡城]お堀に散り積む花筏
鶴ヶ岡城は庄内藩の藩庁で、譜代大名の酒井氏が代々城主を務めていました。現在、城跡は公園となっており、初代藩主・酒井忠勝を祀る荘内神社などが建っています。四季折々の花が楽しめる城として知られており、春の桜の美しさは「日本さくら名所100選」に選ばれる程です。桜の開花時期に合わせて「鶴岡桜まつり」が開催され、ボンボリによるライトアップや茶会が行われます。
お堀沿いに咲く桜。水鏡に映る逆さ桜や散り際の花筏を楽しみたい
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]鶴岡桜まつり
開催日:2024年4月上旬~4月下旬(桜の開花~散り始めの時期)
会場名:荘内神社境内ほか
[弘前城]日本三大桜名所
弘前藩の初代藩主・津軽為信と息子・信枚(のぶひら)が居城として築いたのが弘前城(青森県)。もとは鷹岡という地名でしたが、城の完成後に天守をはじめとする城内の建物が落雷で焼失してしまい、これを伯母の祟りと信じた信枚は鷹岡を弘前と改称し、城も弘前城と改めました。江戸時代後期に建てられた天守(御三階櫓)は弘前城のシンボルとして現在まで残っています。
弘前公園には明治時代から市民による桜の植栽が行われ、今ではその数、約2600本。これらの桜が一斉に咲く光景の美しさは「日本三大桜名所」に数えられるほど。弘前城では毎年「弘前さくらまつり」が開催されており、津軽の名物が楽しめる他、子どもたちも大喜び間違いなしの遊具施設も設置される予定です。弘前城では、現在、本丸の石垣修復工事のため天守の曳屋が行われているので、普段とは違う桜景色も楽しめます。
曳屋工事前の天守と桜。本丸内ではシダレザクラやヤエベニシダレなどの桜を楽しめる
弘前城水濠の桜。最盛期には濠を埋め尽くすほどの花筏を見ることができる
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]弘前さくらまつり
開催日:2024年4月12日〜5月5日
会場名:弘前公園
アクセス:JR弘前駅から土手町循環100円バスで「市役所前」下車、徒歩すぐ(追手門)
[松前城]町の「花守」たちが残した江戸の桜
松前城(福山城/北海道)は、ロシアの艦隊が日本に接近していた幕末に北方警備を目的として築かれた城。戊辰戦争の戦場ともなっており、この戦いで城の建物の多くが失われました。天守は明治の廃城令後も残っており、旧国宝にも指定されていましたが、1949年の火事で焼失。しかし、町民たちの働きかけなどにより1961年に再建され、現在は松前公園として町民の憩いの場となっています。
松前公園には藩主一族や藩士らが植えた桜など約250種類1万本の桜が残されており、これらは町民や研究者たちよって大切に守られてきました。毎年行われる「松前さくらまつり」では郷土芸能やこどもイベント、松前の美味しいものが堪能できる物産フェアなどが行われます。まつり後半には「関山」「普賢象」や遅咲きの桜、また松前でしか見ることのできない八重さくらが見事な花を咲かせます。
松前城本丸内の桜。春になると城内は色とりどりの桜が咲き誇る
[桜の見頃]5月上旬 ~ 5月中旬
[イベント]松前さくらまつり
開催日:2024年4月20日〜5月6日
会場名:松前公園他
アクセス:JR木古内駅からバスで「松城」下車、徒歩約10分
〈東北・北海道の桜の名城 その他14城〉
仙台城(宮城県)
仙台藩初代藩主・伊達政宗が築いた城で、現在は青葉山公園となっています。青葉城資料展示館を中心に500本近くの桜を楽しむことができます。復元された大手門脇櫓が人気のスポットです。
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]なし
[アクセス]JR仙台駅からバス「仙台城跡」下車、徒歩すぐ。
白石城(宮城県)
仙台藩の支城として、代々片倉氏が城主を務めた城です。廃城令によって建物や石垣は破却されてしまいましたが、1995年に天守が木造復元されています。城内には桜が約200本あり、天守をバックにキレイな写真を撮ることができます。
[桜の見頃]4月上旬〜4月中旬
[イベント]白石城桜まつり(2024年4月1日〜4月21日)
[アクセス]JR白石駅から徒歩約10分
猪苗代城(福島県)
会津藩の支城でしたが、戊辰戦争で焼失。戦後は荒れ放題となっていましたが、明治38年(1905)に町内の有志が私財を投じて桜やツツジなどの樹木を植え、公園として整備しました。公園内に設けられた観桜橋や東屋から見る桜が絶景です。
[桜の見頃]4月下旬
[イベント]亀ヶ城桜まつり(2024年4月下旬)
[アクセス]JR猪苗代駅から徒歩20分
涌谷城(宮城県)
涌谷城は仙台藩主・伊達氏の分家が居城としていた城です。現在は城山公園となっており、現存櫓と天守を模した資料館が建っています。公園ではソメイヨシノをはじめ、シダレザクラやヤマザクラ、泰山府君など様々な種類の桜を楽しむことが可能。
[桜の見頃]4月中旬〜4月下旬
[イベント]わくや桜まつり(2024年4月1日〜4月29日)
[アクセス]JR涌谷駅から徒歩約15分
上山城(山形県)
上山城は最上氏の支城で、幾度も伊達氏や上杉氏との攻防が繰り広げられた城です。公園として整備された城跡には模擬天守が立っており、天守と桜、そして蔵王の残雪が楽しめます。公園内には足湯もあり、桜を眺めながら足湯で暖まる…、なんてこともできますよ。
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]なし
[アクセス]JRかみやま温泉駅から徒歩約15分
山形城(山形県)
最上義光が築いた大城郭ですが、最上氏の改易後は領地が減少していったため、代々の藩主に持て余された山形城(霞城)。廃城後、霞城公園となった城跡には、約1500本の桜が水堀沿いに咲き誇ります。霞城観桜会では、ライトアップや大茶会などが催される。
水堀沿いに咲く桜。満開時には見事な花筏を見ることができる
[桜の見頃]4月上旬~4月中旬
[イベント]霞城観桜会(2024年4月上旬~4月中旬/桜の咲き始め~散り始め)
[アクセス]JR山形駅から徒歩約10分
新庄城(山形県)
新庄城に藩庁をおいた新庄藩は、戊辰戦争で奥羽列藩同盟に参加。しかし、同盟から離脱したため、庄内藩から攻撃され落城してしまいました。最上公園として整備された新庄城跡では、新庄に春を告げるカド(ニシン)の到来を祝う「新庄カド焼きまつり」が開催されます。
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]新庄カド焼きまつり(有料:1000円、カドのみ。2024年4月29日〜5月5日)
[アクセス]JR新庄駅から徒歩約15分
米沢城(山形県)
もとは伊達氏の本拠地で、伊達政宗が産まれた城ですが、豊臣秀吉の天下統一後に上杉氏の居城となった米沢城。本丸跡には上杉神社が鎮座しており、樹齢100年を超える桜の古木が本丸の堀に花筏をつくります。
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]米沢上杉まつり(2024年4月29日~5月3日)
[アクセス]JR米沢駅からバスで「上杉神社前」下車、徒歩すぐ
久保田城(秋田県)
久保田城は秋田氏の支城として築かれ、江戸時代は久保田藩の居城となった城。桜の見頃時期には桜まつりが開催され、夜間ライトアップの他、露店が立ち並びます。
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]千秋公園桜まつり(2024年4月12日〜4月23日)
[アクセス]JR秋田駅から徒歩約10分
本荘城(秋田県)
本荘藩六郷氏の居城だった本荘城。公園となった城跡では約1000本の桜を楽しむことができます。城の近くには鶴舞温泉があるので、そこから桜を眺めるのもよいですね。
[桜の見頃]4月中旬~4月下旬
[イベント]本荘さくらまつり(2024年4月5日~4月14日)
[アクセス]JR羽後本荘駅から徒歩約8分
盛岡城(岩手県)
盛岡藩主・南部氏の居城だった盛岡城。現在は桜の名所として市民から親しまれています。「盛岡さくらまつり」の期間中はライトアップが行われ、夜桜とともに盛岡名物も楽しめます。
[桜の見頃]4月中旬 ~ 4月下旬
[イベント]盛岡さくらまつり(2024年4月3日〜4月30日)
[アクセス]JR盛岡駅からバス「盛岡城跡公園」下車、徒歩約1分
三戸城(青森県)
南部信利が盛岡城を築くまで南部氏の本拠だった三戸城。現在は城山公園となっており、約1600本の桜が毎年花見客の目を楽しませてくれます。「さんのへ春まつり」では、ダンスやブラスバンドなどのイベントステージが予定されています。
[桜の見頃]4月中旬 ~ 4月下旬
[イベント]さんのへ春まつり(2024年4月29日~5月5日)
[アクセス]青い森鉄道三戸駅からバスで「三戸町役場前」下車、徒歩約10分
角館城(秋田県)
久保田藩の支城だった角館城。山上の城は一国一城令で廃城となりますが、城下町はそのまま残りました。江戸時代の町並みが残る角館には、樹齢300年を超えるシダレザクラの並木道があり、春になると訪れる人を楽しませてくれます。
[桜の見頃]4月中旬 ~ 4月下旬
[イベント]角館の桜まつり(2024年4月15日〜5月5日)
[アクセス]JR角館駅から徒歩約15分
五稜郭(北海道)
西洋の技術を取り入れて築かれた五稜郭。戊辰戦争最後の戦いの舞台となり、土方歳三最期の地となった城です。五稜郭の堀沿いには約1600本の桜が植えられており、五稜郭タワーからは城内を桜色に染める桜を上空から見ることができます。
上空から見た五稜郭。桜に埋め尽くされた城は桜色の星のようだ(はこだてフィルムコミッション提供)
[桜の見頃]4月下旬~ 5月上旬
[イベント]夜桜花見電飾(2024年4月20日〜5月4日)
[アクセス]JR函館駅から市電で「五稜郭公園前」下車、徒歩15分
※イベントの日程や内容は、変更となる場合がありますので、事前にご確認の上、お出かけください。
執筆・写真/かみゆ歴史編集部(小関裕香子)
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。編集制作物に『さかのぼり現代史』(朝日新聞出版)、『ニュースがわかる 図解東アジアの歴史』(SBビジュアル新書)など。
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