ご飯に冷たい水をかけていただく郷土食「水飯」で夏を涼しく!
「水飯(すいはん)」は、「水まま」「水めし」とも呼ばれる水かけご飯。食欲の落ちる夏でもすっきり、しっかり食べられる山形の郷土料理です。本記事では、炊飯系フードユニット「ごはん同盟」のしらいのりこさんにおいしいつくり方を教わります。
涼感を呼ぶ郷土食
今回、編集部から依頼を受けたテーマは「すいはん」。「ごはん同盟」を名乗る私ですから、「炊飯」しない日はありませんけど……。え? そっちじゃない。ああ、「水飯」のほうですね。
水飯は山形県の郷土食だそうですが、「県内でも食べているのは内陸の地方だけだよ」とか、「山形県民ではないけれど、昔から食べている」なんていう人もいます。ともあれ、このような猛暑の折、日本中どこで食べたっておいしいのが、水飯なんです。「ご飯に水をかけるだけでしょ」って? そんな、身もふたもない。食欲の落ちる真夏に涼感を呼ぶ先人の知恵なんですから、きれいにつくって、すっきりいただきましょう。
そうめんより簡単!
じかに水をかけることもあるようですが、ご飯は流水で粘りを落としたほうがさらりとします。ふやけないように、サッと洗ってよく水けをきって。それをおのおの、茶碗によそって氷水をかけます。そうめんや冷や麦を氷水に浮かべるみたいな感覚ですね。あっ、今気がつきましたが、麺はゆでる手間がかかるけど、こっちは炊飯器に残ったご飯や冷やご飯を洗えばいいのだから、断然ラクです。
炊いたご飯が余ったら、冷凍しておき、レンジでチン。そんなことなどできない時代、傷みがちな残りご飯を洗って食べるのは衛生的でもあるし、冷たい井戸水なんかかけた日には、さぞかしおいしかったことでしょう(遠い目)。
……と、しみじみ情緒を味わったところで、おかわりしちゃおうっと。
水飯のつくり方
1ご飯を洗う
ご飯を食べる分だけ(茶碗1杯分なら150g ほど)ざるに入れ、流水をかけてサッと洗う。表面の粘りの落とし具合は好みでOK。
2水けをきる
ざるを上下に振り、水けをよくきる。時間をおくとご飯がふやけてしまうので、すぐに茶碗によそうとよい。
3冷たい水をかける
氷水をかけても、ご飯に氷をいくつかのせたところに冷水をかけても。
4しょっぱいおかずとともに食べる
おかずは少量で十分。漬物や焼いた塩ざけなど、塩けのあるものが合う。
食欲の落ちる夏にぴったりの水飯。炊飯器にご飯が残っていたら、ぜひ試してみてください。
教えてくれた人
しらい・のりこ
料理研究家。米農家に育った夫とともに、炊飯系フードユニット「ごはん同盟」を結成。白いご飯から日本酒まで、米にまつわる食なら何でもおまかせ!
■NHK『きょうの料理ビギナーズ』2024年8月号より
■撮影・撮影・竹内章雄/スタイリング・肱岡香子/取材&文・奈良結子