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ビジネスパーソンにレジリエンスはなぜ必要?効果や高める方法を解説

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ビジネスパーソンにレジリエンスはなぜ必要?効果や高める方法を解説【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

困難に直面しても立ち直ることができる能力「レジリエンス」。変化の激しい現代では、予測困難な事象をいかに乗り越えていくかが個人にも組織にも問われています。
この記事では、レジリエンスがビジネスにもたらす効果や高める方法などについて分かりやすく解説します。

レジリエンスの意味とは

レジリエンスとは、英語で「回復力」「再起力」「弾力」などの意味を持ち、そこから「 困難に直面しても柔軟に対応し、立ち直る能力 」を指す言葉として浸透しています。
当初は、外から力を受けた物体の反応を表現するものとして、工学や物理学の分野で使用されていた概念ですが、心理学、生態学などの分野でも応用されるようになりました。いずれの分野でも「元の状態への回復力」や「変化や圧力に対する適応力」などを表現するのに用いられ、困難な状況から立ち直る能力を示す言葉として認識されています。

レジリエンスが高い人

レジリエンスが高い人は、困難な状況に直面してもそれを乗り越える能力を持っています。このような人は、逆境をむしろ成長の機会として捉え、より強くなる傾向があります。

以下は、レジリエンスの高い人に見られる具体的な特徴です。

感情の自己制御が得意 状況に応じて柔軟に思考を切り替えられる 他者と協調し、サポートを求めることができる 新たな挑戦に積極的に取り組む姿勢がある 困難な状況でも前向きな側面を見いだせる 自己肯定感が高く、自分の能力を信じている ストレス耐性が高く、プレッシャーにも動じない

レジリエンスが低い人

レジリエンスが低い人は、困難な状況から立ち直るのに時間がかかり、ストレスや逆境に対して脆弱である傾向があります。このような人は、問題に直面した際に容易に落ち込み、回復に苦労することがあります。

レジリエンスの低い人の特徴としては以下が挙げられます。

感情や気分の波が激しく、コントロールが難しい 固定観念にとらわれ、柔軟な発想が苦手 問題を一人で抱え込み、サポートを依頼するのをためらう 新しい環境に慣れたり、変化に適応したりするのが苦手 困難な状況下で悲観的になりやすい 自己評価が低く、自信を持ちにくい ストレスに弱く、小さな失敗でも極端に落ち込む

レジリエンスと似ている用語

レジリエンスをより深く理解するために、意味の似ている用語も知っておきましょう。

メンタルヘルス

メンタルヘルスは、心の健康状態を表す言葉です。日々の生活の中でストレスや様々な問題に直面すると心の健康が損なわれ、このような状態が続くとうつ病や不安障害などの精神疾患につながる可能性があります。そこで重要になるのが「メンタルヘルスケア」です。これは、心の健康を維持・向上させるための取り組みを指します。最近では、多くの企業がメンタルヘルスケアの重要性を認識し、従業員の心の健康を守るためのプログラムを導入しています。

一方、レジリエンスとは困難な状況から立ち直る能力です。つまり、 メンタルヘルスケアが日常的な心の健康維持を目指すのに対し、レジリエンスは特に困難な状況下での適応力や回復力 に焦点を当てています。

ストレス耐性

ストレス耐性とは、日々の生活や仕事で遭遇する 様々なプレッシャーや困難に対して、心身ともに健康を保ちながら対処できる能力 のことです。この能力が高い人は、ストレスフルな状況に直面しても、冷静さを保ち、効果的に行動することができます。

一方、レジリエンスは、困難な状況やストレスに直面した後、そこから立ち直る力を指します。ストレス耐性があれば、ストレスからもスムーズに回復することができます。レジリエンスを構成する要素のひとつといえるでしょう。

ハーディネス

ハーディネスとは、ストレスに強い心理的特性のことです。この特性が高い人は、多くの人がストレスを感じるような状況でも、比較的ストレスを受けにくい傾向があります。いわば、 心の丈夫さや強さを表す 概念です。また、ハーディネスは、問題やリスクに直面した時点で機能し始めるため、ストレスフルな状況を、それほど脅威に感じさせないようにする働きがあるのです。

一方、レジリエンスは、ストレスを感じる状況をいったん受け入れたうえで、そこから立ち直る力を指します。困難な状況に直面しても、柔軟に対応し、元の状態に戻ろうとするのです。つまり、 ハーディネスは「防御力」、レジリエンスは「回復力」 といえるでしょう。

ストレスコーピング

コーピングという言葉は「切り抜ける」「対処する」という意味を持ち、ストレスコーピングは、 ストレスの根源にアプローチしたり、ストレスの捉え方を調整したりする方法 を指します。

ストレスコーピングには、大きく分けて2つの手法があり、1つ目は問題の根本的な解決を目指す「問題焦点コーピング」、2つ目はストレスによって生じる感情や気持ちをコントロールする「情動焦点コーピング」です。これら2つの手法を状況に応じて使い分けることで、より効果的にストレスに対処できるようになります。

ストレスコーピングが「ストレスにうまく対処するための具体的な行動や考え方」であるのに対して、レジリエンスは「ストレスからの回復力」を指します。

レジリエンスが重要視されるようになった背景

現代社会においてレジリエンスの重要性は高まっていますが、その背景には急激な社会変化と予測不能な事態の増加があります。感染症の世界的流行や大規模災害、世界情勢の不安定化など、 予測困難な事象に対して柔軟に対応し、乗り越えていく能力が個人にも組織にも求められている のです。

このような急激な社会変化に適応していくためには心身ともに負荷がかかります。その結果、精神的・身体的問題で仕事を続けられなくなってしまう人もいるでしょう。そのため、企業においても従業員のメンタルヘルス対策として、レジリエンスの向上を重視するようになったのです。

レジリエンスがビジネスにもたらす効果

具体的にレジリエンスはビジネスにどのような効果をもたらすのか、期待される主な3つの効果について解説します。

個人のパフォーマンスや組織の生産性が向上する

レジリエンスが高い人は、困難を成長の機会として捉える傾向があります。この前向きな姿勢は、日々の仕事に活力を与え、業務のパフォーマンス向上につながります。つまり、企業は従業員のレジリエンスを高めることで組織全体の生産性向上を目指せるのです。

課題解決やプロジェクト成功に貢献できる

レジリエンスが高い人は、複雑な課題にも柔軟に対処できます。なぜなら、課題に対する要因や改善点の分析を行い、課題解決に前向きな姿勢で向き合えるためです。このような分析的思考があることで、新たなプロジェクトに取り組む際にも効果的なアプローチを取れるので、成功に導くことができるでしょう。

ストレスによる休職や離職のリスクを減らせる

レジリエンスが高いことで、ストレスフルな状況下でも自身の感情を適切に理解し、柔軟に対処できます。その結果、心身の健康を維持しやすく、メンタルヘルスの問題による休職や退職のリスクが軽減され、安定したキャリアプランを描きやすいでしょう。

レジリエンスを構成する6つのコンピテンシー

コンピテンシーとは、ある状況において高い成果を生み出す行動特性のことを指します。レジリエンスを構成するコンピテンシーを理解し、それらを発揮することでレジリエンスを高めることができるのです。そこで、ここではレジリエンスを構成する代表的な6つのコンピテンシーを紹介します。

自己認識

自己認識とは、 自分の内面や外面を客観的に把握する能力 です。自分の思考パターン、感情の動き、価値観、行動傾向などを理解することで、困難な状況下でも冷静に自分の状態を把握できます。これは、問題解決の第一歩となります。例えば、ストレスを感じたときに、その原因が何かを的確に認識できれば、適切な対処法を選択しやすくなります。

また、自己認識が高まることで、自分の長所や短所を理解し、状況に応じて適切に振る舞う力も身に付きます。

自己効力感

自己効力感は、 「自分はできる」という確信や自信 のことです。この感覚が強ければ、困難な課題にも積極的に取り組むことができます。自己効力感が高い人は、失敗を恐れずにチャレンジし、新しい経験から学ぶ姿勢を持っています。

また、ネガティブな感情に囚われることなく、自分の能力を最大限に発揮できる傾向があります。日々の小さな成功体験を積み重ねることで、自己効力感を高められるでしょう。

自制心

自制心は、 自分の思考、感情、行動をコントロールする能力 です。セルフコントロールとも呼ばれるこの能力は、衝動的な行動を抑え、長期的な目標に向かって努力を続けるために不可欠です。ストレスフルな状況下でも、感情的にならずに冷静な判断ができるようになります。

例えば、締め切りに追われているときに、パニックに陥るのではなく、優先順位を整理して計画的に取り組むことができるのは、自制心の表れです。

精神的柔軟性

精神的柔軟性は、 状況を多角的に観察し、全体像や本質を捉える能力 です。この能力があれば、固定観念にとらわれず、新しい視点や解決策を見いだすことができます。

例えば、仕事でつまずいたとき、それを単なる失敗として落ち込むのではなく、学びの機会として捉え直すことができます。また、予期せぬ変化に直面しても、柔軟に対応策を考え出す力にもつながります。

現実的楽観性

現実的楽観性は、 将来に対してポジティブな見通しを持ちつつ、現実的な行動を起こす能力 です。ただやみくもに楽観的になるのではなく、現状を正確に把握したうえで、前向きな姿勢を保つことが重要です。困難な状況に直面しても、それを成長の機会として捉え、積極的に行動を起こすことができます。

例えば、失敗を経験しても、そこから学びを得て次の挑戦に生かそうとする姿勢が、現実的楽観性の表れです。

関係構築力

関係構築力は、 他者と信頼関係を築き、維持する能力 です。良好な人間関係は、困難な時期を乗り越えるうえで大きな支えとなります。信頼できる友人、家族、同僚がいれば、精神的なサポートを得られるだけでなく、問題解決のためのアドバイスや協力も得やすくなります。

また、他者との関わりを通じて新しい視点や情報を得ることで、自分一人では思いつかなかった解決策を見いだすこともあります。相手の立場に立って考え、適切なコミュニケーションを取る力を磨けば、関係構築力を高めることができるでしょう。

レジリエンスを高めるためのトレーニング方法

ここでは、個人のレジリエンスを高めるための方法を3つ紹介します。

自己分析を行う

レジリエンスを高めるための重要な要素として、自己認識が挙げられます。自分の強みと弱点を明確に把握することで、困難な状況に直面した際に、自分に最適なアプローチを選択できるようになります。

自己認識を高めるためには、自分の思考や感情を書き留める「ジャーナリング」、自分の強みと弱みの洗い出し、周囲の人からフィードバックをもらう、自分の現在の心身状態に意識を向ける「マインドフルネス」、性格診断ツールなどが役立ちます。 自分自身をよく知ることは、困難な状況下でも柔軟に対応し回復する力の基盤となる のです。

「マインドフルネス」については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
「マインドフルネスとは?効果や瞑想のやり方を分かりやすく解説」

成功体験を積む

成功体験を積むと「自分にはできる」という自己効力感が育まれます。この自己効力感を高めることは、レジリエンス向上の重要な要素となります。

自己効力感を高めるために効果的な方法としては、達成可能な小さな目標を設定しクリアしていくこと、尊敬する人や目標とする人の行動や思考パターンを真似すること、他者から評価や承認をしてもらうこと、過去の成功や失敗を振り返り今後に備えることなどが挙げられます。これらの方法を意識的に実践することで、困難な状況に遭遇した場合でも「私なら乗り越えられる」という確信が持てるようになり、逆境から素早く回復できるのです。

ポジティブ思考を意識する

楽観的な姿勢を持つ人は、困難な状況に直面しても、それを乗り越えようとする強い意志を持っています。このポジティブな思考態度は、レジリエンスを高めるうえで非常に重要な要素です。

ポジティブ思考を育む方法としては、ネガティブなことでもポジティブな表現に言い換える、些細なことにも感謝する、情熱を注げるような目標を立てる、他者比較ではなく過去の自分と比較することなどが挙げられます。

また、怒りなどのネガティブな感情をコントロールし適切に対処する「アンガーマネジメント」の実践も効果的です。ストレスフルな状況下でも冷静さを保つ能力が高まり、結果としてレジリエンスの向上につながります。

企業のレジリエンスを高める方法

レジリエンスが必要なのは個人だけではありません。組織全体のレジリエンスを高めることで、予期せぬ困難や変化に対してより強靭に対応できるようになります。ここでは、企業として取り組むべきレジリエンス向上の方法を3つ紹介します。

BCP対策に取り組む

事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定と実施は、企業のレジリエンス向上に不可欠です。BCPとは、緊急事態や災害が発生した際に、企業の重要な業務を継続または速やかに復旧させるための計画です。この対策を進めることで、企業の危機対応能力が大幅に向上します。

具体的には、自然災害やサイバー攻撃などのさまざまなリスクを想定し、それぞれに対する詳細な対応手順やガイドラインを整備します。例えば、地震や台風などの自然災害に備えた避難訓練や安否確認システムの導入、サイバーセキュリティ対策の強化、重要データのバックアップ体制の構築などが含まれます。これらの対策を通じて、企業は予期せぬ事態に直面しても、迅速かつ効果的に対応し、事業の継続性を確保することができます。

心理的安全性を高める

職場の心理的安全性を高めることは、企業のレジリエンス向上に大きく寄与します。心理的安全性とは、従業員が自由に意見を述べたり、新しいアイデアを提案したりできる環境のことを指します。このような環境では、失敗を恐れずにチャレンジできるため、イノベーションが生まれやすく、また問題が発生しても早期に対処できます。

心理的安全性を高めるためには、経営層が持つ情報を社内にオープンに共有し組織の透明性を確保すること、定期的な意見交換の場を設けコミュニケーションを促進すること、ミスが起きた際は批判するのではなくフォロー体制を整備することなどが効果的です。従業員が安心して挑戦できる環境をつくることで、組織全体の適応力と回復力が高まり、レジリエンスの向上につながります。

「心理的安全性」については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「心理的安全性とは?高める方法やぬるま湯組織との違いを解説」

ビジョンを浸透させる

企業のビジョンを従業員に深く浸透させることは、組織のレジリエンスを高めるうえで非常に重要です。明確なビジョンが共有されることで、企業と従業員の方向性が一致し、困難に直面した際にも協力して乗り越える強固な基盤が形成されます。

ビジョンの浸透には、継続的かつ多角的なアプローチが効果的です。社内メールやチャットツール、朝礼などを活用した日常的な情報共有はもちろん、ワークショップやグループディスカッションなどを通じて、従業員がビジョンについて深く考え、自分の言葉で表現する機会を設けることも重要です。

さらに、ビジョンの実現に貢献した従業員を評価・表彰する制度を設けたり、成功事例を社内で広く共有したりすることで、従業員のモチベーションを高め、成功体験を積み重ねることができます。このような取り組みにより、困難な状況下でも従業員が一丸となって目標に向かって進むことができ、企業全体のレジリエンスが強化されるのです。

まとめ

今回は、困難に直面しても柔軟に立ち直る能力である「レジリエンス」について、ビジネスにもたらす効果や個人や企業として取り組むべきレジリエンスの高め方などについて解説しました。変化の著しい現代社会を生き抜いていくためには、個人としても企業としてもレジリエンスは欠かせません。この記事を参考に、ぜひレジリエンスの向上に努めてみてください。

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